DJK CANADA, INC.
President 森本修司氏

今回はDJK CANADA, INC. 森本修司氏にお話を伺いました。
第一実業株式会社は独立系総合機械商社として、プラント・エネルギー、エナジーソリューションズ、産業機械、自動車、エレクトロニクス、ヘルスケア、航空・インフラの7事業を展開し、グローバルな事業拡大に取り組んでいます。2025年にはカナダ現地法人DJK CANADA, INC.を設立し、地域に根ざした運営と事業基盤の強化を目指しています。森本氏は大阪出身で、1996年入社以来、現航空・インフラやプラント・エネルギー事業を経験。現在はカナダおよび米国現法社長兼米州エリア統括マネージャーとして、北中南米の事業拠点を管轄し、幅広い業界で活躍されています。同社は2025年8月トロント日本商工会へ入会しました。
―御社の事業内容の紹介をお願いします。
私たちは産業機械の専門商社として事業を展開しています。当社の祖業であるプラント・エネルギー事業では、石油精製・石油化学をはじめ、石油・ガス・地熱などの資源開発向けの掘削設備や、鉄鋼・発電・製紙・化学プラント向けの機器など、エネルギーと社会インフラを支える設備を提供しています。エナジーソリューションズ事業では、リチウムイオン電池の製造設備を主に販売しています。
さらに、自動車事業、産業機械事業、エレクトロニクス事業、ヘルスケア事業、そして航空インフラ事業と、7つの事業があります。当社は米州を重点エリアとしており、アメリカやカナダでも積極的に事業展開に取り組んでいるところです。DJK CANADA, INC.は2025年4月16日に設立いたしました。そこから一年が経ちましたが、時間が本当に早く過ぎたように思います。実際の事業活動はこれからが本番です。
―カナダに進出を決めた経緯について差し支えなければお聞かせください。
まず弊社DJA[DAIICHI JITSUGYO (AMERICA), INC.]についてご紹介します。1972年に設立しまして、50年以上の歴史があります。その後、メキシコやブラジルをはじめとした中南米にも拠点を開設し事業を広げてきましたが、一番近いカナダにはこれまで進出していませんでした。
私たちのお取引先には、自動車関係のお客様をはじめ、さまざまな業種のお客様がいらっしゃいます。このような状況を踏まえ、カナダに拠点がないのは逆に不自然ではないかと思うようになりまして、お客様の投資動向も後押しとなり、今回カナダ進出を決断した次第です。カナダでは特に、自動車、プラント・エネルギー、エナジーソリューションズ、ヘルスケアを主軸にビジネスを展開していきます。
―御社の強みを教えてください。
第一実業全体としては、1948年の創業以来、産業機械一筋で今年8月に78周年を迎えます。機械単体の販売はもちろんですが、私たちはワンストップサービスを強みとしています。例えば、システムインテグレーションや据付工事、エンジニアの派遣、アフターサービスまで、総合機械商社としての知識と経験を活かして幅広いサービスをご提供しています。
創業当初は、機械を仕入れて販売する、いわゆるディストリビューターとしての役割が中心だったんです。でも、時代とともにグローバルネットワークを広げ、今では各国での機械単体販売はもちろん、国際物流の手配や、現地での建設・据付工事、その後のアフターサービスまで幅広く手がけています。こうした経験やノウハウは、当社の大きな財産だと感じています。
最近では「次世代型エンジニアリング商社」をビジョンに掲げていまして、お客様の現場に入り込んで直接お悩みを伺い、課題解決のソリューションをご提案することを大切にしています。独立系の機械総合商社として長年培ってきた経験と、いわゆる右から左と言った商社の枠を超えて現場に深く関わる力、そして18ヵ国に広がるグローバルネットワーク、これらが私たちの強みです。
―今後特に力を入れていきたいこと、目標や展望についてお聞かせください。
先ほどもお伝えした通り、DJKカナダを設立してからまだ具体的な活動はそこまで進んでいない状況です。まずは、多くの方に当社のことを知っていただきたいと思っています。そして、ネットワークを広げて皆さんと一緒に仕事ができる環境を早く整えていきたいですね。 今年の初めに、商工会の新年懇親会へ参加させていただきましたので、そういった場をきっかけに、さらに人脈を広げていきたいと考えています。
先ほど7つの事業があるとお話ししましたが、カナダ、特にトロントやオンタリオエリアでは、自動車やヘルスケア、プラント・エネルギー、各種プラント建設やリサイクル関係に力を入れていきたいと思っています。これらの事業をベースに、早く事業計画に乗せていきたいという気持ちが強いですね。
現在当社は、長期ビジョンである「V2030」の目標達成に向けて、事業拡大を急ピッチで進めています。今後は現地の製造現場で当社がしっかり認知され、事業拡大とともに米州エリアの中で重要な役割を担う企業へと成長させていきたいと考えています。具体的には、米州エリアの営業利益のうち25%をカナダが稼ぎ出すような会社に早く育てたいですね。

―現在は森本さんがカナダとアメリカを行ったり来たりしているのですか。
私はDJAの社長を兼任するとともに、ブラジルやメキシコを含む米州エリア全体の統括責任者も務めています。そのため、米国とカナダを行き来しながら経営に携わっています。また、大牧というトレジャラーがおり、彼もアメリカに住みながら、カナダとアメリカを行き来しつつ、会社設立の準備を一緒に進めてきました。現在は、いよいよ実際のビジネスに本格的に取り組むフェーズに入っています。
実務面では、各事業のDJA営業担当がカナダとアメリカを頻繁に行き来しています。こうした体制のもと、「人をつなぎ、技術をつなぎ、世界を豊かに」という経営理念・ミッションに基づき、グローバルに事業を展開しています。
カナダ初の事務所はミシサガ市に構えましたが、2025年末時点ではまだ常駐のスタッフはいません。今後は現地採用などを進めてしっかりと現地化を図っていく予定です。
―特筆すべきニュースや新事業についてお聞かせください。
私たちは新しい製品の探索やご提案に日々取り組んでおります。新製品だけに限らず幅広い製品を扱っていますが、その中でも事業の中心となる主力製品について、皆さまに理解を深めていただくため、この機会にまとめさせていただきました。
主な事業ごとに代表的な製品をいくつかご紹介しますね。
自動車事業:完成車検査設備、樹脂成形機、各種自動機、塗装設備
プラント・エネルギー事業:撹拌機、押出機、ポンプ類、製缶品、ユーティリティー設備
エナジーソリューションズ事業:電極製造装置、電池セル製造装置、充放電検査装置
ヘルスケア事業:錠剤検査機、錠剤印刷機、細胞培養装置、インキュベーター
最近では、昨年4月に巻線機で世界トップレベルのシェアをもつNITTOKU株式会社との業務提携を発表しました。モーターやコイルなどの巻線関連設備や自動機について、北中南米でも営業していますので、もしご要望があればぜひ当社までお問い合わせください。
「第一実業は大きな仕事しかお願いできない」とお得意様から言われることもありますが、実際は機械本体から部品1点の供給まで幅広く対応しています。例えば、日本から急ぎでOリング1つを入手したい場合や、複数メーカーの部品をまとめて輸入したい場合など、ご相談いただければ柔軟に対応しますので、ぜひお気軽にご連絡ください。
―森本さんのご出身はどちらですか。これまでのご経歴についてもお聞かせください。
私は大阪枚方で生まれ、泉北・泉州地域で育ちました。幼少期からずっと大阪で過ごし、関西弁が抜けず、標準語はほとんど話せません。
1996年に第一実業に入社し、最初は現航空・インフラ事業に配属され、3年間従事しました。その後、プラント・エネルギー事業本部で主に化学メーカーのお客様を担当し、東京勤務は7年間、大阪勤務やアメリカ・ヒューストンでの駐在も経験しています。会社人生は今年で29年になります。
初めての海外駐在はヒューストンで、6年間現地の業務に従事しました。その後、2024年からはシカゴに二度目の海外駐在となり、米国現法の社長と米州エリアの統括責任者を務めています。主に化学プロセスや粉体プロセスで使用する機械を専門とし、エアライン、自衛隊、半導体、石油化学、自動車、製薬など様々な業界のお客様とお仕事させていただきました。
― ヒューストン駐在時には、どのようなお仕事をされていましたか?
ヒューストンでは主にプラント・エネルギー事業の業務に従事し、日系化学会社さんの、プラント建設に携わりました。当時大きな案件が2つほどありまして、日本製機器を輸入したり、現地で設置工事を行ったり、またアメリカ製機器を現地調達して納品するなど、工場建設に必要な業務全般を行っていました。

プラント・エネルギー以外の案件としては、米国製のカテーテル製造装置を日本や中国に輸出する業務も手掛けていました。ヒューストンでの6年間は、こうした幅広い業務に携わることができた貴重な経験でした。
― 今回が2度目の北米駐在ということですが、懐かしさや変化を感じることはありますか?
そうですね、今回は単身赴任ですので前回とはまた違った生活になるかなと正直不安もありました。でも実際に来てみると、これまでの経験が活きていて、シカゴもヒューストンもエリアや気候は全く違いますが、すんなりと新しい環境に馴染むことができました。知っていることや慣れていることが多かったおかげで、すぐに現地の生活に溶け込めたと感じています。
―一番印象に残っているプロジェクトについてお聞かせください。
印象に残っているエピソードとして、成功事例と失敗事例を一つずつご紹介します。まず失敗事例ですが、前回アメリカ駐在中に担当した自動車部品の製造ライン設備導入プロジェクトがありました。日本で導入されていた低温小型乾燥炉を、アメリカ現地製作する案件でした。設計思想、文化の違いに加え、メトリックからインペリアル図面への変換など様々な壁があり、結果的に納期が大幅に遅れ、お客様にご迷惑をおかけしてしまいました。
更に苦労したのは、在ユニオンステイトのサプライヤーでしたので、労務問題でこちらの要望を受け入れてもらえず、現場に半年間張り付くなど苦労しました。精神的にも体力的にも非常に辛い経験となりました。 良い経験と言ってしまうと、当時ご迷惑をお掛けしたお客様には大変申し訳ありませんが、今でも印象深いお仕事です。
一方の成功事例は、ある化学関係のお客様の海外工場建設プロジェクトです。日本で立ち上げたマザープラントを基にアジア・ヨーロッパ・アメリカなど各国に連続して建設する案件でした。1200立米を超える物流の日本製機器を取りまとめ、タグ付け梱包・現地倉庫での仕分け・工程に合わせた現場納入まで細やかな対応を行いました。
また、機械製作に際しては納期・品質管理に加え、現地法規の認証取得サポートも実施。雨でぬかるんだ現場への重量物の搬入、梱包のカビ発生、輸送中に破損した機器の再手配など困難もありましたが、後半には現地据付まで当社が請け負うなど、商社の枠を超えた取り組みができました。結果として、お客様には大変ご満足いただき、現在も当社が納入した機械でものづくりをされています。この経験が「次世代型エンジニアリング商社」ということにつながっていると自負しています。
―お仕事を進める上で大切にされていることについてお聞かせください。
私が最も大切にしているのは「お客様に感謝される存在でありたい」ということです。これは私個人としても、また会社としても常に意識しています。お客様に必要とされ、その期待に応えること、そしてたとえ失敗があったとしても最後までやり遂げることで、必ず「ありがとう」と言っていただけると信じています。
そうした信頼関係が今後の取引の継続にもつながりますし、どんなに大変な状況でも逃げずに一生懸命取り組むことが私のポリシーです。入社以来、感謝される関係が人と人をつなぎ、そこからビジネスが始まり、広がっていくものだと感じています。そのためにも、当社のVALUEを最大限に活かし、お客様のニーズを先読みして、最適な製品やサービスを提供することを常に心がけています。
― お好きなスポーツや趣味、休日の過ごし方について教えてください。
営業職ということもあり、現在は週末の多くをゴルフに費やしています。シカゴはシーズンが短いのが残念ですが、ヒューストンやメキシコへの出張時にはゴルフバッグを持参しプレーするほどです。昨年末のサンクスギビングには、社内の単身者や独身者とともにカリフォルニアでゴルフを楽しみ、良い思い出となりました。
今後はフェニックスやフロリダの有名なゴルフ場でもプレーしてみたいですし、カナダでゴルフをするのも楽しみにしています。ラウンド数は多いものの、実力はアベレージゴルファーですが、皆さんとご一緒できるのを楽しみにしています。
また、中学・高校時代は陸上部で中長距離を専門に走り込んでいましたので、ランニングも再開したいと考えています。仕事が忙しくなかなか時間は取れませんが、シカゴマラソンに参加し、学生時代に出場したホノルルマラソンのベストタイム4時間半を上回る、サブスリー(3時間切り)を目指したい思いがあります。50代前半の今ならまだ挑戦できるのではないかと期待しています。
その他にも、ルート66の車での完走、残り7州となりましたが全米50州制覇、グランドキャニオン谷下りやコロラドでのスキーなど、アメリカならではのアクティビティにもチャレンジしたいと思っています。
―カナダ滞在中に挑戦したいことはありますか。
まずプライベート面では、カナダの生活をより深く楽しみたいと考えています。前回ヒューストンに駐在していた際にも家族と何度かカナダを訪れましたが、まだまだ知らない魅力的な場所や文化がたくさんあると思います。特にトロントには美味しいレストランが多いと聞いていますので、滞在中に様々な食体験を重ね、情報や知識を身につけたいです。
家族旅行で訪れたカナディアンロッキーやウィスラーも素晴らしかったですが、今回は単身赴任なので、気軽に一人でできることにもチャレンジしたいと思っています。皆さんに色々教えていただきながら、今後の挑戦を考えていきたいです。
一方ビジネス面では、会社を軌道に乗せ、事業計画通りに運営していくことが目標です。まだ立ち上げたばかりの会社なので、事業を安定させるために早い段階でスタッフを増やし、現地に根付いた活動を展開したいと考えています。ナイアガラ滝やワイン以外にもカナダには多くの魅力があるはずなので、積極的に現地のことを学びながら、会社の成長に努めていきたいです。
― 最後に、商工会会員の皆様へメッセージをお願いします。
昨年はなかなか会合に参加する機会がありませんでしたが、今年は積極的に商工会イベントなどに参加し、皆様とお会いする機会を増やしたいと考えています。ビジネスだけでなく、交流やネットワーク作りも大切にしたいと思っています。以前ヒューストンに駐在していた時も、ゴルフなど仕事以外の交流が日本に帰国後の財産になりました。
駐在期間中に皆様と良い関係を築き、帰国後も繋がりが続くようなご縁ができれば嬉しいです。出身大学である関西大学のご縁も含め、どんな繋がりでもお声がけいただければ幸いです。今年は多くの方と交流できるのを楽しみにしています。カナダは文化やコミュニティの面でも住みやすいと伺っていますので、新参者ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
―本日はお忙しい中ありがとうございます。これでインタビューを終わります。