専務理事のばたばた日記

第168回
4月宣言日 教科書配布が前夜に中止
商工会事務局 伊東 義員

Mr Ito

補習校では、4月から新年度がスタートした。第三波の最中、予想していたこととはいえ、トロント教育委員会から現地校校舎借用許可は得られず、1学期もオンライン授業となった。ただ園児児童生徒も教員もオンライン環境に慣れてきており、大きな不安はない。入学式もオンラインで行うことで準備を進めてきた。この4月から入学・転入する方には、事前に説明会を開催した。

実は、こうした取り組みはこれまで補習校では行っていない。登校の場合には、学校初日・入学式の日に、学校に来ていただくことで説明、お願いなどはすべてお伝えすることができる。しかし、オンライン環境では、事前のセットアップがないと、学校が使用しているGoogle Classroomにさえ入ることができない。

入学・転入する生徒保護者向けに、事前に郵送でお子さんの学校使用メールアドレスを記載した書類を送り、所定の日までにアクセスして使える状態にしてもらうようお願いした。実際はそれさえ行っていただければ授業参加はできることになるが、それを行っているかどうかの確認も含め、また学校方針、今年度の体制、教育方針などを説明する機会として、説明会を開催したところ、ほぼ全員の児童生徒さんの保護者の方が参加された。

この4月は、幼稚部年中組(4歳児)を募集していない。昨年度、パンデミックとなりオンライン授業を余儀なくされたことから、補習校をやめられたお子さんが多かった。その理由の一つとして、同年齢のお子さんとの交流が取れないためというご意見を伺った。そのほか、オンライン授業では保護者の負担が大きすぎる、授業料に合わない、土曜日に働いており家庭支援ができない、なども上がっていた。

新年度もオンライン授業継続の可能性が高いことが予想されていたため、そうした理由を解消することは難しいと判断し、年中組の募集中止を決定した。そのため、初めてオンライン授業を経験することになるお子さんは少なく、生徒アカウントのセットアップ、説明会参加、開校初日の授業参加と入学式などに大きな問題はなく、無事に新年度のスタートとなった。

一昨年までは、開校初日に教室で教科書や副教材を配布してきた。しかし、オンライン授業の環境下では、教科書配布が大きな問題。昨年は、6月に基礎教科(国語と算数・数学)のみ郵送で各家庭に郵送し、秋には、コロナが一服した合間を縫って、日系文化会館、商工会事務所での配布も行った。しかし、今年度は可能な限り教科書を早く配布したいと考え、日系文化会館での配布を計画、館内での保護者によるピックアップとしていた。

しかし、4月3日よりロックダウンとなり、館内でのピックアップは、屋内での集会に相当するということから、禁止となった。即時、オンタリオ州保健省、トロント市保健局に問い合わせ、屋外でのカーブサイドピックアップ形式であれば可とのお墨付きを得た。天候が気になるところではあったが、この計画に変更し、準備を進め、保護者にも通知。

ところが、4月16日の夕方、オンタリオ州政府は翌日、すなわち教科書配布日当日から、緊急事態宣言、Stay-at-Home Orderを発令、不要不急の外出に対して警察による取り締まりを強化、罰金を課すとの発表を行った。外出は居住地の周辺に限定され、遠出は原則禁止。となると、教科書ピックアップもできないことに。

正式文書が交付されたのが金曜日の午後7時。それを待って、翌日の教科書配布を急遽中止とした。急ぎ、学校関係者と運営委員、関係各位に連絡を入れ、学校からは保護者向けに緊急連絡をしていただいた。保護者への連絡に夜11時過ぎまでかかった先生もおられたと聞き、本当に感謝。そうした先生方の努力により、教科書配布中止による混乱はほとんどなかった。

次の問題は、その後、どのように教科書を配布するか。ワークブックなど副教材も届くことになっており、物量は相当数になる。Stay-at-Home Orderが解除される見込みはなく、緊急運営委員会を招集し、対応に入った。

(上記記述は、筆者の個人的意見、判断で書かれているもので、商工会の意見・意向を反映しているものではありません。また、個別内容について、誤解、理解不足等があるかもしれませんが、それらは全て筆者の責任によるものです。)