新代表者紹介インタビュー Marubeni Canada Ltd. 林孝至氏

Marubeni Canada Ltd. President & CEO 
林孝至氏

CEO

今回は、Marubeni Canada Ltd.の林孝至氏にお話しを伺いました。丸紅のカナダ現地法人である同社は、1960年の設立以来、カナダで食品、農業、金属資源、自動車、産業用資材、化学品、オイル&ガス、電力など幅広い分野でビジネスを展開しています。
2025年7月には、自動車向けの延長保証サービスを提供するLGM Financial Services社に出資・子会社化し、新事業を開始。このサービスは、カナダで販売されている新車10ブランドと提携し、自動車オーナーの皆さまやメーカー様をサポートしています。
林氏は2024年4月からニューヨークを拠点に、カナダを兼任し、米州副総代表および丸紅米国会社の副社長COOとして、主にアメリカを中心に米州全体の業務を担当されています。

ー御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。
丸紅カナダ会社は、総合商社丸紅のカナダ現地法人として、1960年の設立以来、カナダにおいて、食品・農業・金属資源・自動車・産業用資材・化学品・オイル&ガス・電力など多岐にわたる商品・サービスに関わるビジネスを行っています。

ー御社の強みについてお聞かせください。
総合商社丸紅は、世界中でビジネスを展開しており、特に北米はグループ企業が多く、丸紅にとっても非常に重点市場の 一つになっております。北米におけるグループ企業は40社以上あり、ビジネスネットワーク、事業・収益規模の大きさを生かした成長を続ける事業・人材の基盤を有している点が強みです。

カナダに本社を置くグループ企業は、アルミニウム精錬・販売を行っているAluminerie Alouette社/Marubeni Metals & Minerals (Canada) 社 、コンベアベルティング販売・サービスを行っているViacore Solutions社、自動車レンタル・リースを行っているThe Driving Force社、自動車・二輪用各種延長保証サービスを行っているLGM Financial Services社の4社となっています。

ー今後特に力を入れていきたいことについて、お聞かせください。
丸紅グループとしては、時代を求める社会課題を先取りし、社会それから顧客に向けたソリューションを創出できる、総合商社の枠組みを超えるような価値創造企業グループとなることを目指しています。カナダでは高い付加価値を生み出すサービスを提供している拡張性の高い地場事業への投資を増やしていくことが目標です。モビリティや金属資源、農業や食料など知見のある分野だけでなく、 エンジニアリングやコントラクター、ロジスティックスなど、これまで比較的経験の少ない領域でもチャレンジすべく活動しています。

カナダはG7のメンバーということで、先進国、主要先進国の一つでもありますし、人口も4000万人を超え、さらには1人当たりの購買力も非常に高く、世界的に見ればマーケットしてはとても良い市場なのですが、隣に米国という超巨大市場がありますので、投資リソースをカナダの内需事業に持ってくるという選択肢を実行するというのは、なかなか簡単でありません。

チームカナダとして、しっかりと戦略を立てて、いかにカナダがどういう市場が魅力的で成長性があるか、それに合致した良い事業を見つけて、開拓し、投資していくというような形で活動していきたいと考えております。

ー新規事業のご紹介をお願いいたします。
丸紅グループでは、今年度からの3カ年中期経営計画がスタートしています。この計画の中で、重点を置いている分野の一つが北米モビリティ事業です。北米モビリティ事業は、今後さらに拡大していくべき戦略的な事業と位置付けられています。

LGM Financial Services社買収完了時の現地マネジメント・前オーナーとの記念写真

その一環として、2025年7月に自動車用の各種延長保証サービスを提供するLGM Financial Services社に出資し、経営に参加しました。延長保証サービスとは、自動車メーカーさんが元々提供している保証(例えば5年間など)が終了した後も、さらに保証を続けるサービスです。主に新車向けにこのサービスを提供しており、現在カナダ国内の約10の自動車ブランドと提携しています。私たちは表に出ることは少ないですが、高品質な顧客サービスを強みに、自動車オーナーや自動車メーカーの皆さまをサポートし、各ブランドの価値維持や向上に貢献したいと考えています。

ー林さんご自身についてお伺いします。ご出身、ご経歴などお聞かせください。
私は岡山県の出身で、大学に進学するまでの18年間を岡山で過ごしました。実家は長い歴史を持つ由緒ある呉服屋でした。しかし、私は家業を継がずにサラリーマンの道を選び、結果的に呉服屋は親の代で廃業しています。呉服屋の息子ではありますが、着物に関する知識はほとんどなく、着付けもできません。今となっては、着付けぐらいは覚えておけばよかったと少し後悔しています。呉服以外にも洋服などを別店舗で展開していたこともあり、呉服・着物、アパレルやファッションに対してはどこか懐かしさや親しみを感じています。

会社に入ってからは、自動車関連の仕事に長く携わってきました。丸紅には新卒で入社し、転職せずに32年目を迎えました。途中、経営企画部門を2度担当しましたが、それ以外は主に自動車販売や自動車金融(ファイナンス)の事業に従事してきました。2024年4月からはニューヨークを拠点にし、カナダも兼任する形で仕事をしています。ニューヨークでは米州副総代表および丸紅米国会社の副社長COOとして、アメリカを中心に米州全体を担当しています。

丸紅カナダの社長も務めているため、カナダにも、月2~3回と頻繁に足を運んでおり、トロントの本社オフィス以外にも、バンクーバーやエドモントン、モントリオールなど、主要都市に本社を持つグループ会社を訪問することも多いです。

ーカナダ駐在前のご経験についてお聞かせください。
長年自動車関連の仕事に携わり、日本からの製品輸出や、海外での市場開拓、海外での輸入卸代理店・小売事業・金融事業などを経験しました。海外勤務も多く今回で6回目となります。最初はドイツ・ケルン、その後イギリス・ロンドン、そしてオーストラリアのシドニーとゴールドコーストに赴任しました。これらの場所で行ったのは全てリテール事業で、現地での事業経営は厳しいものが多かったのですがが、各地で貴重な経験を積むことができました。

stadium
ロンドン駐在時のスポンサーをしていたサッカーチームのスタジアムでの記念写真

ニューヨークへの赴任は2回目で、コロナ前にもニューヨークに駐在していました。全部で5都市を経験し、社内でも海外勤務の回数・都市数は多いほうだと思います。また、途中で一年半ほど日野自動車さんへ出向し、東京の日野本社で勤務させて頂きました。とても充実した良い経験であったこともあり、日野トラックにも強い愛着があります。

カナダではグループ会社の「The Driving Force」という自動車のレンタル・リース会社で、日野ディーラー事業も行っていて、ユーザーからの良い評価が頂けるように日々頑張っています。駐在先ではディーラー事業に携わることが多く、ほぼすべての日本ブランドの車を販売した経験があります。やはり日本車には特別な思い入れがあり、今でもプライベートで購入する車は日本ブランドを選んでいます。

ー今まで一番印象に残っているプロジェクトについてお聞かせください。
色々なプロジェクトが印象に残っていますが、特に苦労したことや失敗した経験は強く心に残っています。若い頃には、今では考えられないほどダイナミックな出来事も多くありました。

例えば、1997年にアジア通貨危機が起きた当時、私はアジアを担当していましたが、東南アジアが急激な成長を続ける中で起こった通貨危機だった為、正に天国から地獄のような状況でした。延滞債権の回収を専門とするチームにも数年間所属し、ただひたすら延滞債権の回収だけを行うという、今の環境からみれば少々特殊な仕事もやりました。

その後も難航し泥沼化した案件も多く担当したため、信じられないような出来事にも多く遭遇しました。振り返ると非常に苦しい時期でしたが、延滞債権の回収や事業撤退・再建など、今となってはかけがえのない経験だったと感じています。苦労が多かった分、学びも大きく、振り返ると面白い時間・経験をさせてもらったと思います。

ーお仕事を進める上で大切にされていることは何ですか。
私は「明るく楽しく仕事をしたい」という思いを大切にしています。これまでの経験では、部下からは「甘い」とか「緩い」と指摘されることもあったことからも、良い面も悪い面もあると思うのですが、明るく前向きな雰囲気は自分自身だけでなく、周囲の人たちにも良い影響を与えると考えて続けています。「明るく楽しく」という姿勢は、悪い面も含めて自分の一番の特徴で、自分らしさだと思っています。

ー休日はどのように過ごされますか。
休日をみなさんと楽しむことができるゴルフをやりませんし、これといった趣味が無く、我ながら休日に何をやっているかよくわからないくらい、のんびり過ごしています。

ただ、昔サッカーをやっていたので、今でもサッカー観戦は好きです。特にイギリスのプレミアリーグの試合を見るのが好きで、アメリカにいると時差の関係で休日の午前中や昼間に生中継をテレビで楽しめます。日本だと深夜になってしまい、仕事や学校があると見るのが難しいですが、アメリカではとても見やすいです。なので、サッカーのシーズン中はいつも試合を観戦しています。2026年北米開催のワールドカップも楽しみにしています。

スポーツでは、野球もそれなりに好きですが(阪神ファンです。こちらでは勿論ブルージェイズを応援しています)、英国や豪州に駐在していたこともあり、野球やアメフトよりもサッカーやラグビーの方が好きです。ちなみに文化的な事柄を考えても、アメリカのものより、カナダ・英国・豪州のコモンウェルス的な文化や国民性の方が自分に合うような気がしています。言語(アクセント)も、アメリカ英語よりもカナダ英語の方が好みです(笑)。

ー最後になりますが、商工会会員の皆様へメッセージをお願いいたします。
ニューヨークを拠点に生活しており、トロントには住んでいませんが、トロントの皆様には毎回とても温かく迎えていただき、本当に感謝しています。

アメリカでは、ニューヨークやロサンゼルス、シカゴといった大都市でも、トロントのように全業種の方々が一堂に集まる機会はほとんどありません。そもそも全業種の方が揃うこと自体が珍しいと思います。多様な業種の方々が集まり、しかも団結力が強いというのは、トロント商工会ならではの特徴です。規模も大きく、世界的に見ても有数の素晴らしい地域であり、日本人コミュニティであると感じています。

私が所属する丸紅カナダ会社は、小さな組織ですが、トロントの「チームジャパン」の一員として、日本の発展に少しでも貢献できればと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

本日はお忙しい中ありがとうございました。これでインタビュー終わります。