「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

Nippon Express Canada Ltd.
Vice president 百澤 智明

NXjapan

今回はNippon Express Canada Ltd. Vice president 百澤智明氏にお話しを伺いました。世界56カ国・地域に展開し、航空・海上・陸上輸送をはじめとした総合物流サービスを提供する同社。カナダ国内では6拠点、約200名体制で地域密着のサービスを展開しています。テクノロジーやモビリティ、ヘルスケアなど重点産業に特化した専門的物流に加え、日本流のきめ細やかな対応力とリスクヘッジ提案で、グローバルなサプライチェーンを支えています。百澤氏はブラジルでの研修・駐在を皮切りに、ニューヨーク、シカゴを経て2023年にトロントへ着任されました。学生時代はスポーツ一筋で、アメフト中の度重なる怪我にも負けず全力投球されたそうです。トロント商工会では今期理事を務めていただいております。

-御社の事業内容のご紹介をお願いします。

弊社は総合物流企業として、グローバルで航空貨物輸送、海上貨物輸送、陸上輸送をはじめ、通関、倉庫管理、国際引越し、プロジェクト貨物輸送・サプライチェーンマネジメントなど、多岐にわたるサービスを展開しています。日本以外ですと、世界56カ国、389都市、903拠点を持ち(2024年12月31日時点)、地域ごとのニーズに応じた柔軟な物流ソリューションを提供しています。

また、弊社では重点産業として、テクノロジー(電機・電子、産業用機械)、モビリティ(自動車、建機・農機、鉄道・航空機)、ライフスタイル(アパレル、家具・装飾品・コスメティクス)、ヘルスケア(医薬品、医療機器)、半導体を挙げており、各産業分野において、専門知識と技術を活かした物流サービスが強みです。

カナダ国内では、ミシサガに本社を置き、その他、バンクーバー、モントリオール、エドモントン、ハリファクス、ウィンザーに拠点があり、全6拠点、約200人の社員で運営しています。

-御社の強みについてお聞かせください。

まずは、世界56カ国・地域に広がるグローバルネットワークと、航空、海上、陸上輸送を組み合わせた総合物流サービスを提供し、世界中でモノを運べない地域はないといわれております。また、先に挙げました産業分野での専門性を発揮し、特殊貨物や温度管理が必要な貨物にも対応可能です。また、日本人ならではという部分ですが、仕事に対する正確さ、きめ細やかなサービス、先を見越したリスクヘッジなど、物流目線でお客様にもご提供できるというのが我々の強みだと信じています。

リスクヘッジの部分を具体的に申し上げますと、お客様の生産地や消費地が国や地域をまたがり複雑化する中、コロナや昨今の関税問題などが発生すると、サプライチェーンが崩れることがあります。それを見越して、弊社のネットワークを生かしたBCP(事業継続計画)を提供するなど、お客様のサプライチェーンを守るためのソリューション提案も得意としています。

-今後特に力を入れていきたいことは何ですか。

現在はカナダでの倉庫・トラックなどの国内事業に力を入れています。カナダ国内全体では面積で約50万sqf.の倉庫を運営していますが、トランプ関税の関係もあり、現在、多数のお引き合いをいただいており、面積を拡張しながらビジネスを拡大していく予定です。

昨今の関税問題はあるものの、カナダはやはりアメリカとの関係が一番強いので、短期的には先ほど申し上げたBCP と国内事業の強化、中長期的にはアメリカとメキシコを含めたトラックでのクロスボーダー物流事業を拡大していきたいと考えています。

また、社内的な話ですが、社員満足度のさらなる向上、ということも挙げたいと思います。社員満足度の向上が生産性の向上につながり、それによって、お客様の満足度のさらなる向上も実現できると考えているためです。

-ご出身はどちらですか。また、今までのご経歴についてもお聞かせください。

生まれは母の故郷の秋田県なのですが、生れてすぐ東京に移ってきて、社会人3年目までの25年間を江戸川区という下町で過ごしました。小学校は野球、中学校・高校でバスケットボール、大学ではアメリカンフットボールを、勉学そっちのけで取り組んでいました。

アメフトではコーナーバックとワイドレシーバーという足の速さと俊敏さが求められ比較的目立つポジションでしたが、大学在学中に右足と両鎖骨を骨折して、常にどこかを怪我しているような状態でした。指の骨折はしょっちゅうでしたので、骨折は怪我に入らないぐらいでしたね(笑)。試合中に骨折をして救急車で運ばれたこともあり、ボロボロです(笑)。

実家を出た後は、同じく下町の月島と勝どきに住み、日本ではずっと東京の下町生活です。海外経験は、まず初めに2001年から弊社の海外業務研修でブラジルのサンパウロで1年を過ごしました。

大学時代にポルトガル語を専攻していたので、それもあってブラジルに行くことになったのですが、大学時代はスポーツに明け暮れていましたので、最初の頃は現地のポルトガル語に全くついて行けず、その後、結構必死に勉強したのを覚えています。とはいうものの、大学で文法などを学んでいたので、帰るころには仕事に支障がないくらいにはなることができました。

-ポルトガル語を専攻される方は多くないと思いますが、選んだきっかけは何ですか?

すごく消極的な理由ですが、大学の外国語学部の数ある言語の中で、当時一番入りやすかった言語がポルトガル語でした。ブラジルの勉強などもしていて、肌に合うなと感じ、結果的によかったと思っています。

-すごくいい選択をされたのですね。その後のキャリアについてお聞かせください。

1年後、日本に戻って6年間、航空輸送関連部署での営業に従事し、2008年に再度、ブラジルに駐在員として赴任し、5年間を過ごしました。当時、リーマンショックで世界景気が後退する中、BRICsの一角としてブラジルが注目され、日系を始め、多くの企業の現法設立に物流の側面からサポートさせていただきました。

ブラジルは世界で最も輸入通関業務が複雑で高関税な国のひとつで、グローバルスタンダードでは想像できないことが起こる日々でしたが、いま振り返れば大変エキサイティングでスリリングな日々を過ごすことができたと思っております。

ブラジルから日本に戻り、航空輸送関連部署での営業と本社で営業戦略部門での業務に従事した後、2019年にニューヨークに赴任しました。ブラジルのようなラテン系にしか縁がないと思っていたので、ニューヨークというのは全く想定外でしたが、ここでは弊社米州本社の営業本部で現地セールスマンと日々切磋琢磨しながら、主に非日系企業の営業推進に携わっておりました。

そうこうしているうちに、2020年春からニューヨークでパンデミックが始まり、在宅勤務を余儀なくされる中、私ももれなくコロナに罹患し、当時は未知の病気ながら、風邪の延長だと思いボケーっと単身で過ごしてましたが、一方で、日本に残した家族はヒヤヒヤだったのではないかと思います。いま振り返ると、生きててよかった、とう思いです。

パンデミックもあり、ニューヨークをあまり満喫できないまま、弊社米国本社がシカゴに移転したことに伴い、1年3か月でニューヨークを後にし、2021年にシカゴに移りました。シカゴでは同じく米州営業本部で2年9か月を過ごしましたが、米国で計4年が過ぎ、あと1年くらいで帰国かと思っていた矢先、これまた全く想定外で2023年10月にトロントへの横異動となりました。

サンパウロに始まり、ニューヨーク、シカゴ、トロントと赴任地が米州をどんどん北上しており、これより北に弊社拠点はありませんが、米州で弊社現法がある中では、あとはメキシコに行けば米州制覇になります。弊社ではまだ制覇した方がいないので、機会があれば喜んで行きたいと思っています。

-一番印象に残っているプロジェクトについてお聞かせください。

我々の業界ですと、国をまたがる設備輸送などの大型プロジェクトは印象に残ることが多いのですが、中でも、日本で航空輸送部門に従事していた時に担当した、カナダの火力発電所の設備入替プロジェクトは印象に残っています。

成田から長さ10メートル、高さ3メートルもの大型精密部品を貨物専用機で航空輸送し、積み下ろし後、シカゴからサスカチュワン州まで1,200kmもの距離を陸送し、大平原のど真ん中にある火力発電所に緊急輸送するプロジェクトでした。私はシカゴ空港での航空機からの積み下ろしに立ち会った後、シカゴからカルガリー経由でリジャイナまで飛び、リジャイナから車で南下し国境でトレーラーと落ちあい、そこから配達先まで同行しました。

当時は携帯電話の電波が届かないような場所でしたので、衛星電話まで持ち込んでやり取りしながら、サイトで多くの方が待ち構える中ミッションコンプリートし、非常に感慨深かったのを覚えています。また、その時は将来、自分がカナダに駐在することになるなんて想像もしてませんでした。

-お仕事を進める上で大切にされていることは何ですか。

先ほど申し上げたようなプロジェクトを完遂するたびに、「段取り八分」という言葉の重みを強く感じます。これは弊社に浸透している精神なのですが、物事を成功させるためには事前の準備や計画が重要であり、仕事を効率的に進めるための心得として、これまで多くの場面でこの言葉の意味を実感しています。

また、弊社では様々なモノを、様々な国に輸送した経験を持った社員が多数おり、何か困難に直面した場合には、とにかく「やり切る」ために、社内の誰に聞いて、どのリソースを活用すれば物事がスムーズに進むかを考えながら仕事をしています。

marathon
ブラジル・リオデジャネイロマラソン完走時

-プライベートな時間の過ごし方についてお聞かせください。

もともとは根っからの体育会魂で、カラダを動かすことが好きなので、社会人になってからも野球、柔術、ブラジルの国技カポエイラ、ボクシング、スノーボード、テニス、マラソン、ゴルフなど多くのスポーツをやってきましたが、歳を取ってきてハードなスポーツができなくなってきたので、最近はスポーツ観戦がメインになってきています。

もっぱら、息子のサッカー観戦と、アメリカのカレッジフットボールとNFLはシーズン中は飲みながら観戦しています。あとはゴルフと、とにかく食べることが好きなので、気候がよくなるとバーベキューを楽しんでいます。

-カナダ駐在中に挑戦したいことは何ですか。

せっかくの駐在の機会ですので、旅行とグルメとお酒を楽しみたいと思っています。ブラジル駐在時は、時には危険な思いをしつつも南米大陸の全ての国に足を踏み入れ、アメリカでもフロリダ、ラスベガス、グランドキャニオンなど、行きたい所にはだいたい行けました。

trip
ペルー・マチュピチュにて
アルゼンチン・パタゴニア地方を旅行

カナダでは出張でバンクーバー、カルガリー、エドモントン、モントリオールには行きましたが、まだまだ見所はありますし、特に、カナダは他の国とは比較できないほどブリューワリーが多いので、できるだけ多くのビールを味わってみたい思います。あと、20年ほど前までは日本で頻繁に行っていたスノーボードは、怪我をしない程度に満喫したいと思っています。

-会員の皆様へメッセージをお願いいたします。

2023年10月にカナダに着任し、既に1年半以上が経過しますが、カナダのことをもっと深く知りたく、より理解されている皆様と情報交換ができればうれしく思います。ミシサガ勤務、ミシサガ在住で、平日はなかなかトロントに行くことが叶いませんが、飲むこと食べることはとても好きですので、いつでもお誘いいただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

-本日は忙しい中ありがとうございます。これでインタビューを終わります。