新代表者紹介インタビュー Kubota Materials Canada Corporation 栗原誠氏

Kubota Materials Canada Corporation
President 栗原誠氏

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今回はKubota Materials Canada Corporation栗原誠氏にお話を伺いました。カナダのオリリア市に本拠を置く同社は、今年で創業90年を迎える歴史ある鋳鋼製品メーカーです。クボタグループの一員として35年目を数え、主に石油化学産業向けのニッケル系配管を製造・販売しています。エチレン製造設備用配管で世界トップシェアを誇り、グローバル企業とも強固な関係を築いてきました。日本・大阪とカナダ・オリリアの2拠点体制で、アジアから北米・欧州まで幅広く事業を展開しており、地域や顧客の多様なニーズに応え続けています。

主に営業畑で30年以上キャリアを積んできた栗原氏は2025年2月に着任。前任地サウジアラビアでのお話や中国での輸出許可証についてのエピソードもお聞かせいただきました。

-事業内容の紹介をお願いいたします。 
今年で創業90年を迎え、クボタグループの一員になってから35年目になる、オリリア市にある鋳鋼製品の製造・販売会社です。創業初期は鉱山産業向けが中心でしたが、今では石油化学産業がメインの市場になっています。主力商品は、エチレンと呼ばれる石油化学産業の基礎原料の製造設備用ニッケル系配管です。例えば、自動車の内装やペットボトル、パソコンの部品など私たちの暮らしを支える「プラスチック製品」に関わっています、と言えばイメージしやすいかもしれません。

トロントから当社へ来る場合、バリー市を過ぎて400号線から分かれる11号線(アルゴンキン公園方面)に入り、そこから20分ほど走ると、11号線沿い右側に私たちの工場が見えてきます。「クボタ」と聞くとトラクターや小型建設機械を思い浮かべる方が多いですが、私たちは素形材部門に所属しています。

-御社の強みについて、お聞かせください。
私たちはエチレン製造設備用の配管という、ちょっとニッチな分野ですが、実は世界でトップシェアを誇っています。そのおかげで、エクソンやダウといったグローバル企業や、各国の主要な石油・石化会社ともしっかりとした繋がりがあります。お客様が求める、生産性の向上や安定操業等のニーズ応える機能系配管材のラインナップを揃えているのが、私たちの強みです。

生産拠点はカナダのオリリアと日本は大阪の枚方市の2箇所。日本拠点はアジアや中東、カナダ拠点は北米と欧州を中心に展開しています。大きな新設案件などがあった時は、両拠点で協力して対応しています。私たちのビジネスは「Made in Canada」というより、「Made by Kubota」というイメージで展開しています。

-今後特に力をいれていきたいことは何ですか?
これから特に力を入れたいのは、北米と欧州でのビジネス拡大です。北米の主な市場は、カナダではアルバータ州とオンタリオ州、アメリカではテキサス州とルイジアナ州が中心です。アメリカの両州では、2020年前後のシェールガスブームで複数の大型プラントが動き始め、これから新しい需要が生まれてくると見込んでいます。そうした流れをうまくキャッチして、北米でのトップシェアを維持・拡大しながら、欧州でも存在感をもっと高めていきたいと考えています。

-特筆すべきニュースのご紹介をお願いいたします。
ちょっとローカルな話ですが、2025年11月22日にオリリア市のクリスマスパレードに参加しました。大型トレーラーに弊社従業員製作の木製機関車を乗せて走ったところ、100台以上の山車の中で大型事業者部門で1位となり、オリリア市から表彰を受けました。コロナ以来久しぶりの参加だったので、とても嬉しかったです。

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-ご出身から今までのご経歴についてお聞かせください。
私の出身は群馬県東部の館林市の近くにある、のどかな町です。生活の拠点は埼玉県の鴻巣市で、子どもの頃から40代半ばで初めての転勤で海外赴任するまで、ずっと関東で過ごしてきました。昭和63年(1988年)にクボタに入社してからは、主に営業畑で30年以上キャリアを積んできました。作業着とヘルメット、安全靴で働くようになったのは、50代後半の前の赴任先が初めてで、今回が2拠点目。工場勤務はまだ初心者なんです。

駐在経験としては、シンガポール、2回のサウジアラビア、そして今回のカナダがあります。シンガポールでは営業所の運営や、今カナダで作っているパイプやステンレス製品を東南アジアやインド向けに販売する仕事を3年半担当しました。その後、サウジアラビアではエチレン製造設備用のパイプ工場が立ち上がったばかりだったので、お客様の開拓に2年ほど奮闘しました。一度日本に戻った後、2回目のサウジアラビア駐在では4年間現地で過ごしました。

出張では、アジア、ヨーロッパ、中東、アフリカなど様々な地域を訪れました。北米は数回しか行ったことがなく、中南米はまだ未経験です。事業部内でもアジア系人材と見られていたので、今回のカナダ赴任には自分でもびっくりしています。

-サウジアラビアでの生活はいかがでしたか?
2回目のサウジアラビアは、1回目に比べて随分と開放的な雰囲気でした。日本人駐在員は東部のペルシャ湾沿いのアル・コバールや内陸部の首都リヤド、西部のジェッダに住んでいます。基本的にお酒は禁止ですが、うちの工場は東部にあって、近くにバーレーンという島国があり、海上橋を通ってバーレーンまで行けるので、そこでは規制も厳しくなくて、リフレッシュできる場所でした。

-いままでで印象に残っているプロジェクトは何ですか?
私が30歳の頃、中国の吉林省向けに新しいエチレン工場を建てるプロジェクトに関わったことが印象に残っています。当時、私たちが東側の国々へ製品を輸出するには、通産省(今の経産省)の輸出許可証(EL)が必要でした。うちのニッケル系パイプは高温で使えるため、化学兵器製造に転用されるリスクがあると見なされていて、中国もその対象国の一つだったんです。

そこで、ELの申請に必要な中国側の書類3つを集めるため、日本から遠隔でやりとりするのは無理だということで、私が一人で吉林と北京に出張することになりました。 まず一つ目は、本当にプロジェクトが進んでいるのかを証明するために、現場で写真を撮ってきました。これについては、現地に直接行ってすぐに対応できました。でも、残りの二つの書類を集めるのが本当に大変で…。

特に「製品をエチレン製造設備以外に使いません」という誓約書については、日本の通産省から、中国側のエンドユーザー(吉林石化)とプロジェクトを管轄する北京の化学工業部、それぞれの幹部から署名と社印をもらうようにと言われました。でも、これは日本側の都合なので、なかなか理解してもらえず何度も足を運んで、時には土下座したり泣き落としまでして、ようやくご協力いただけたんです。

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何とかELを取得して無事に製品を出荷できたのですが、実はこの中国出張により、友人の結婚披露宴と二次会の司会を急きょキャンセルしてしまいました。結局、共通の友人に代わってもらったんですが、帰国後に直接お詫びしに行ったときの光景は、今でも鮮明に覚えています。その二人の友人とは今でも付き合いがありますが、お酒の席では時々この話が話題に上り、今でもちょっと胸が痛みます。

-お仕事を進める上で大切にしていることについて、お聞かせください。
細やかなことばかりですが三つほどあります。まず一つ目は、営業の発想かもしれませんが、社員やお客様に接する時、あえて効率的じゃない方法を選ぶこともあります。そうすると、思いがけない出会いや会話が生まれることがあるんですよ。

二つ目は、後輩や現地スタッフにいろんなチャンスを作ること。つまり後方支援ですね。かつて自分も先輩たちに配慮頂き、様々な経験を重ねる事ができたので、私が次の世代に返していきたい、そんな気持ちです。もちろん、いざという時は自分から率先して動くことも心がけています。

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そして三つ目ですが、工場を預かるようになってからは、自分のキャリアや知識を必要以上に飾らないようにしています。工場経営って一つ判断を誤ると取り返しがつかないことになるので、正直でいることをすごく意識しています。もちろん工場運営のルールをしっかり覚えたり、知識や経験を積む努力も続けています。

-好きなスポーツや趣味は何ですか?
2025年2月にカナダに赴任しましたが、単身赴任なので時間を持て余しています。週末は、土曜日に近所でひとりゴルフを楽しんだり、時々トロント周辺のコンペにも参加しています。日曜日はバリーからGo Trainに乗ってユニオン駅まで行き、トロント市内をのんびり散歩しています。歩くのが好きなので、出張の時もよく訪問先の街を歩いていました。今はカナダの冬の過ごし方を模索中です。

北米は未経験なので、これから自然や遺跡などの有名スポットを巡ってみたいと思っています。とりあえず、クリスマス休暇にはグランドキャニオンへ、2月にはポルトガルとスペインにも行ってきました。どちらもゆったりとして素敵な場所でした。もしおすすめのスポットがあればぜひ教えてください。

-最後に商工会会員の皆様へメッセージをお願いします。
住まいはBarrie、職場はOrilliaなので、皆さんと直接お会いする機会は少ないですが、各種集まりにはぜひ参加したいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。

-本日はお忙しい中ありがとうございます。これでインタビューを終わります。