Ricoh Canada Inc
VP, Corporate Planning 中井 隆之

今回はRicoh Canada Inc 中井隆之氏にお話しを伺って参りました。
グローバルに展開し、カナダ市場における販売およびサービスを担う中核企業としてデジタルサービスやプリンティング、画像ソリューションを通じて、カナダ全土の幅広いお客様に価値を提供される同社。現在は「ワークプレイスサービスプロバイダー」への進化を掲げ、業務の自動化やIT環境整備など多様化する働き方を支えるソリューションを展開しています。同社は2023年6月にトロント商工会へ入会されました。中井氏より、前任地フランスで視覚障害者向けソリューションを開発・導入されたご経験をはじめ、貴重なお話を伺いました。
–御社の事業内容のご紹介をお願いします。
Ricoh Canadaは、グローバルに展開するリコーグループの一員として、カナダ市場における販売およびサービスを担う販売会社です。リコーは、世界約200の国と地域でデジタルサービス、プリンティング、画像ソリューションを提供しており、カナダにおいても幅広いお客様に価値を届けています。
現在当社は、「ワークプレイスサービスプロバイダー」への進化を目指しており、従来のプリンティング事業に加えて、業務プロセスの自動化を支援するManaged Document Servicesや、会議室システム・ITサービス・受付業務などを包括的に支援するManaged Workplace Servicesを中心に、働き方の多様化に対応したソリューションを展開しています。カナダには主要都市をはじめとして14か所事業所がございます。
-御社の強みについて、お聞かせください。
世界中に約140万社の中小〜大企業の顧客基盤を持ち、それらに提供する製品・サービスの多くを自社技術で開発・提供している点にあります。カナダ国内でも1万社以上の企業・政府機関と毎年取引実績があり、1200名を超える従業員と、全国に広がる販売・保守サービス網が、当社の競争力を支えています。
-今後特に力をいれていきたいことは何ですか。
今後、当社はオフィスプリンティングメーカーからデジタルサービス企業への変革をさらに加速させ、2025年度にはグローバルにおけるオフィスサービスの売上構成比を60%以上に引き上げることを目指しています。カナダ市場においては、現時点でプリンティング以外のオフィスサービス売上比率が約3割にとどまっているため、今後は特にBusiness Process Automation(業務プロセスの自動化)やCommunication Services(会議室システムなどハイブリッドなコミュニケーション環境の整備)といった分野に注力し、企業のバックオフィス業務におけるDX支援を強化していきたいと考えています。また、その実現に向けて、戦略的な投資を実現できるよう、取り組んでいきたいと考えています。
–ご出身、今までのご経歴など、ご自身についてお聞かせください。
米国で生まれ7歳までニューヨーク州ポートワシントンで過ごしました。その後は、高校時代をイギリスで過ごした数年間を除いては、大学卒業まで奈良や大阪など関西で過ごしました。
大学卒業後、2002年にリコーへ入社してからは、東京へ移り、プリンティング商品のマーケティングを担当しました。2009年からはイギリスへ2年半、そしてそのままフランスへ4年ほど駐在しました。それぞれ欧州の統括販売会社とフランスの販売会社で過ごし、海外のオペレーションを肌で理解し、体験することができました。
また、プライベートでも家族や同僚・友人などと一緒に、旅行や文化を楽しむことができました。妻もお酒が好きで、イギリスではビールとウイスキーの蒸溜所、フランスではワインの醸造所を何度も訪問したのは良い思い出です。また、フランスは言語で苦労しましたが、美味しい食事や車で欧州大陸を巡る旅行など楽しい想い出を作ることができました。
その後、日本へ戻り、5年ほど秘書室で経営トップをサポートする仕事を経験させてもらった後、2022年12月よりリコーカナダの経営管理・戦略担当として赴任しました。
–今までで印象に残っているプロジェクトについて、お聞かせください。
商品企画やマーケティング、また販売会社の支援など、これまでさまざまな業務に携わってきましたが、最も印象に残っているのは、フランス駐在中に手がけた官公庁向けの大規模案件です。このプロジェクトでは、数万台規模の複合機導入を提案・受注することに成功しました。
採算性の面では厳しい条件もありましたが、視覚障害者向けのソリューションを求める要望があり、日本および欧州の開発チームと連携しながら、専用の機能を一から作り込んでいきました。特に、リコーフランスのお客様であった視覚障害者団体の協力を得られたことは大きく、現場の声を反映した実用的なソリューションを形にすることができました。
多くのステークホルダーを巻き込みながら、社会的意義のある製品を開発・提供できたこの経験は、入社当初に抱いていた「メーカーとしての価値を直接届ける」という想いを体現するものであり、私にとって、忘れがたいプロジェクトとなりました。その後、このソリューションはグローバルでも視覚障害者向けの標準機能として展開されることとなり、自分の仕事が世界中の誰かの役に立っているという実感を得られたことも、大きな励みとなっています。
–仕事を進める上で大切にしていることについて、お聞かせください。
尊敬する方が仰っていた「3つの非」、非連続・非日常・非常識という考えを大切にしています。ビジネスもプライベートも、日々のルーティンにとらわれず、新しい発想や変化を積極的に取り入れるよう心掛けています。
特にビジネスの場においては、駐在員という立場だからこそ持てる外部視点を活かし、組織に新たな視座や刺激をもたらすことを意識しています。限られた任期の中で、単なる業務遂行にとどまらず、「形に残る成果」を生み出すこと、そして会社の長期的な安定と成長に資する道筋を描くことを、自身の使命と捉えています。
–お好きなスポーツや趣味は何ですか。


身体を動かすことが好きで、現在は子どもと一緒に、ノースヨークのサッカー・バスケ部に参加させていただいています。毎週日曜日の早朝8時から9時の開催なので、家族に迷惑をかけることもなく(笑)、定期的な運動の機会として、また貴重な情報交換の場としても大変ありがたく感じています。その他、冬はアイススケート、夏はサイクリング、また昨年からSUPを始めました。住まいが湖から近い場所なので、特に夏は湖に足を運ぶことが多いです。また、スポーツ観戦も好きで、野球・バスケ・ホッケー・サッカー・ラクロスのプロリーグを生で観戦しています。NBAやMLSだけでなく、その下部組織になるサッカーのカナダプレミアリーグやバスケのGリーグなど含めて見に行っています。近い場所で気楽に見に行けるので、楽しんでいます。
また、自転車での長距離サイクリングにも挑戦したいと考えています。カナダでは自転車をそのまま電車に乗せることができるので、「行きはサイクリング、帰りは電車」というスタイルで、少し遠くまで足を伸ばしてみたいと思っています。自然の中を走る爽快感は、カナダならではの魅力ですね。
さらに、カナダは多様な文化が共存する国ですので、多国籍料理の“全制覇”にも密かに意欲を燃やしています。何種類あるのかは正直わかりませんが、そこは自分の気持ち次第でゴールを決められるという、ある意味“達成しやすい”目標かもしれません(笑)。ちなみに現在19か国程達成しました。
–最後になりますが、会員の皆さまへメッセージをお願いします。
一人駐在員でミシサガ勤務、また日本人が少ないミシサガ南部に住んでいるので、商工会の存在はありがたい交流の場となっています。ダウンタウンのイベントにはあまり参加出来ませんが、ミシサガ近辺での集まりがあれば、是非お声がけ下さい。よろしくお願いします。