<第263回>Mitsui High-tec (Canada) Inc.
President 田代 圭

今回はMitsui High-tec (Canada) Inc.の田代氏にお話を伺ってきました。プレス用精密金型、工作機械、リードフレーム、モーターコアを主な事業とし、独自の技術力でお客様のニーズに応え、生産性と品質の向上に貢献する同社。「最適な生産地の提案を通じて、グローバルなお客様のニーズに対応され、信頼されるパートナーとして、最高の技術を提供すること」を使命とされています。
前任地であるタイには長年赴任されていた田代氏、2024年2月にカナダへ着任されました。
–事業内容の紹介をお願いいたします。
三井ハイテックではプレス用精密金型・工作機械、リードフレーム、モーターコアなどの事業を展開しています。三井ハイテックにしかない技術力で、お客様のひとつひとつのニーズに的確にお応えし、生産性と品質向上に寄与します。お客様に信頼されるパートナーとして、求められる最高の技術を提供することが、私たちの最大のミッ ションです。
その中でカナダ工場としては、モーターコア事業を行っております。こちらはモーターの部品の一つで薄い材料を何枚も積層して一つの製品にしており、文字通り、モーターの核となる部分です。
グローバルな対応力として、日本、中国及びアジア圏内、欧州、北米、中南米地域に生産拠点を持ち、消費地立地の観点で最適な生産地をご提案します。そして、モーターコアを製造する工法として、カシメ積層(ダボ形状により積層を保持する工法)や接着積層(接着剤を塗布した電磁鋼板に打抜きを行う工法)をお客様のご要望に応じて提案をいたします。
また、生産技術において、モーターコアの生産性の向上に貢献する「MAC(Mitsui Automatic Core assembly system(三井オートマチックコア・アセンブリ・システム)」は、打抜きから結束までの工程を一つの金型内で行なえるものとなっています。三井ハイテックが開発したシステムで、現在でもなお世界中の電機メーカーの注目を集めています。MACシステムにより、電気自動車の大型の駆動モーター等大径モーターのコアも精度良く作ることができます。
–御社の強みについてお聞かせください。
三井ハイテックの真価は超精密加工技術にあります。創業時から一貫して変わることのない精度へのこだわりと挑戦をしており、その飽くなき追求が、現在の三井ハイテックを形づくり、お客様からの確かな評価にも繋がっています。
今、時代や社会の変化・進展と共に、市場のニーズは高度化かつ多様化し、さらに地球環境問題への対応など新たなテーマが浮かび上がっています。これらのテーマを実現するためには、最高の精度で加工された最先端の製品が必要とされます。私たちは、超精密加工技術で、 お客様のニーズに対応した製品を供給し、産業の発展、ひいては人々の豊かな生活に広く貢献できる企業を目指します。
–今後の目標や展望をお聞かせください。
三井ハイテックでは、モーターコア事業をグローバルに展開し、高品質な製品をタ イムリーに供給しています。製造の核となる精密金型は、超精密加工技術により 製造された自社製精密金型であるため、様々なお客様のニーズに対応することが 可能です。これからも、地球環境保全・省資源・省エネに対応した製品に求められる「微細化」 「軽量化」を実現していきます。
–特筆すべきニュースなどご紹介下さい。
「マグネットモールド®(当社特許技術、登録商標)」とは、熱硬化性エポキシ樹脂を使いローター内のマグネットを固定する技術です。この技術をご使用頂く事で、モーターの小型化および効率化を実現可能です。従来の接着工法と比較し充填率が高く、短時間で硬化します。高精度ポスト基準でモールドを施す事で、高性能かつ低価格のローターコアを提供いたします。
当社が提供する価値として、多列化による電磁鋼板の使用量削減や要求される品質に対して、最適な金型設計で提案し、モーターコアを生産いたします。品質のこだわりとして、三井ハイテックは長年培ってきたカシメ技術によって、高品質な自動車用モーターコアを提供して参りました。後工程に不良を流さないことにこだわり、不良を作らない品質システムを持ち最高の生産を行ってまいりました。その結果として、多くのサプライヤーアワードを受賞しています。
–ご出身から今までのご経歴についてお聞かせ下さい。
出身は本社所在地と同じ福岡県の北九州市です。入社当時は技術開発部隊に配属となり、主には社内向け新規装置の機械設計・加工・組立・調整や各種試作対応等々をしておりました。その後に社内における研修制度において、米国1年間と中国1年間での研修を経て日本に戻った際は弊社根幹技術である金型事業部隊への配属となりました。そこで約1年間は主にはモーターコア金型の営業を経験したのちに弊社タイ工場へ出向となりました。
タイ工場では車載、家電、産業等の幅広い種類におけるモーターコアを製造しており、それぞれの各種業界の方々より多くの経験をさせて頂きました。その後、タイには約11年程いまして、カナダへは2024年2月にタイからスライド式での異動となりました。カナダ工場においては、主にはハイブリッド自動車や電気自動車に用いられる駆動・発電用のモーターコア製造を行っております。
–暖かいところから、寒いところへ来られていかがでしたか?
タイは2月でも平気で30℃以上ある一方、カナダは寒い時は-20℃と聞いており、少々不安でした。実際来てみて、現地の方は今年はマイルドだと言っていましたが、やはり寒かったですね(笑)。今年初めて、本当の冬を迎えます。
–一番印象に残っているプロジェクトは何ですか。
タイ工場へ赴任した際は2011年にタイで大洪水が発生し甚大な被害を受けたあとでした。弊社タイ工場も洪水の被災を受け建て直しが急務の時でしたが、そこで現地スタッフと共にある意味で家族のように協力し活動していく中、徐々に回復していきました。現地スタッフには心より感謝しています。
–お仕事を進める上で大切にしていることは何ですか
特に海外で仕事を進める上では、現地と日本の良いところを融合させたシナジー経営をすることです。また結局はヒトが最重要と個人的には考えているため、シナジー経営を可能とさせるための現地のハイブリッドマネジャーの存在がキーとも考えています。
–プライベートの時間は、何をしてお過ごしですか。

腕前はさておきゴルフが趣味で長年続けています。一緒にプレーする仲間との会話、各ゴルフ場それぞれの雰囲気、打った際の芯に当たった時の快感などなど、今後も続けていきたいです。
–今年はカナダでゴルフは楽しまれましたか?
そうですね、平均すると週一ぐらいのペースで行っていました。
–カナダ駐在中に挑戦したいことは何ですか。
北米市場にマッチした弊社技術の提供で、お客様になくてはならない存在として頼りにされることを目指したいです。プライベートでは、オーロラを見てみたいですね。また冬の間ゴルフができませんので、皆さんにも色々伺って、その中で昔釣りをしていましたので、アイスフィッシングに挑戦をしてみたいと思っています。
–会員の皆様へメッセージをお願いいたします。
皆様と一緒にカナダへの貢献が出来るよう取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願い致します。
–本日はお忙しい中、ありがとうございます。これでインタビューを終わります。