「書道カナダ」のご紹介
丸紅カナダ 新規事業開拓
奥澤 麻美
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皆様、冬のトロント生活を満喫されていますでしょうか。この度は、カナダに移住した当初からお世話になっているHub International Ontarioの大塚絵梨香さんからパトンをいただきました、奥澤麻美と申します。2023年6月から丸紅カナダで新規事業開拓を担当しております。丸紅グループは総合商社の強みを活かし、エネルギー、農業、鉱物、テックなど幅広い産業で多様な事業を展開しています。この多様性こそが魅力であり、カナダでの新規事業開拓に携わる私にとって大きなやりがいとなっています。
祖父も商社に勤務し、80年代にトロントとバンクーバーに駐在した経験があり、幼い頃からカナダについて聞かされて育った私にとって、今、日加間の事業開拓に携わることができるのは大変嬉しく、感慨深いものがあります。
また、副業として日加経済団体であるジャパン・ソサエティに務めていることから、トロント商工会の皆さまには様々な場面でお世話になっております。この場をお借りして、日頃のご支援へのお礼を申し上げます。同時に、トロントでやりがいのある仕事を見つけるまで支えてくださり、ご指導くださった方々にも深く感謝申し上げます。
さて、異国の地で仕事に励む中、日本文化との繋がりを感じる機会は貴重です。今回は、カナダで書道を広めている「書道カナダ」と、ディレクターとして指導を続けてくださる前田典子先生についてご紹介します。
書道カナダは2008年から、カナダ全土から誰でも参加できる書道展を開催し、書道の素晴らしさを発信することを目的に活動しています。前田典子先生は、技術指導にとどまらず、書道を通じて日本文化の精神性と様々な文化表現の楽しみを伝えています。基本的な技術はもちろん、文字の成り立ちや日本の詩人、季節の楽しみ方なども織り交ぜて指導されます。
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前田先生のクラスの印象的なエピソードとして、漢字を知らない外国人音楽奏者が「音楽」と書く際、「楽」の字の点は、人が踊る様子を表しているため、弾けるように元気に書いてよいと説明されたことが心に残っています。また、先生は構図、色、形の表現、余白の重要性も教えてくださいます。
例えば、同じ「月」という字でも、季節や時間帯、また情景によって表情が異なることを書道で表現できるのです。これは仕事や人生においても通じるものがあり、お手本を写すだけでなく、自分なりの解釈と表現が大切だと気づかされます。
書道カナダは地域社会との交流も大切にしており、日系文化会館でのデモンストレーションや企業でのワークショップなど、様々な形で書道の魅力を広めています。毎年開催される書道展では、エントリーした自分の作品を立派な掛け軸にしてもらうことができ、未経験の子どもから経験豊富な大人まで、幅広い層の作品が展示されます。2024年のオンライン展示もこちらからご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。
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忙しい日々の中で、筆を持ち、墨をすり、心を落ち着かせて文字を書く時間を持つことは、心身のリフレッシュにもつながるでしょう。皆様も、ぜひ寒く長い冬に一度、筆を手に取ってみてはいかがでしょうか。