私の○○

わたしの朝ごはん
吉留ゆかり 3H Communications Inc.(アートディレクター)

◇カナダに移住して長い吉留ゆかりさんは、総合広告代理業を行うカナダの会社でアートディレクターを務めています。読者のみなさんもきっと、スーパーなどトロントのさまざまなところで吉留さんのデザインを目にしているはず。今回は吉留家のすてきな朝ごはんについて書いていただきました◇

breakfast

「朝はとりあえず食べて胃から起きる」と言うと、ほとんどの友人は「あなたならあり得るね」といった表情をしてニヤニヤする。笑いを取ろうとしているわけではなく、単に事実だ。月曜から金曜の朝は、仕事に持って行くサンドウィッチを作りながら、何かサッと用意してサッと食べる。その時間、約15分。

最近のお気に入りは、オートミールにお湯をかけ、卵を混ぜて30秒チンし、醤油を少し垂らして食べる即席「おじや」。日本にいた頃は、若い頃から毎朝コーンフレークの洋風かぶれの朝食だったが、海外生活30年、今更のようだがサッパリ醤油味の方が胃と舌にしっくりくる。でも、だからといって手間をかけて和食の朝食を作る気は全くない。普段はパンにジャムやクリームチーズ、ヨーグルトにグラノーラなど、簡単に済ませるのが私の朝食だ。

週末になると状況が一変する。平日は朝ぐっすり寝ている夫が、「平日一緒に食べない分、週末はちょっと良い朝食を食べよう」をモットーに降臨する。ポーランド出身の夫は基本的にコンチネンタルブレックファースト派だが、ベーカリーで買ったフレッシュなパンやデリのコールドカットとチーズを好むので、ちょっと手間がかかる。

毎回同じものを食べるのを嫌い、ある日は具材入りスクランブルエッグ、次の週はエッグスタンドで半熟卵、たまにはエッグサラダと変化をつける。2ヶ月に一度くらいの頻度でクレープやワッフルも食べたがる。飲み物はコーヒーではなく紅茶。イングリッシュブレックファーストティーのリーフティーをポットに入れて、たっぷりと淹れる。

朝食は、北東向きのベイウィンドウに作りつけのベンチと椅子が一脚、小さなガラステーブルがあるキッチン横のスペース「ブレックファーストヌック」でいただく。直射日光ではないが、ちょうど良い明るさで、写真を撮るには絶好のライティングだ。たまに料理の写真を撮ってインスタグラムに投稿するのだが、数枚撮っているうちに、待つのが嫌いな夫は不機嫌な顔をし、撮り終わる前に食べ始めてしまったりする。

そうかと思えば、見た目にもうるさい夫は、自分で作った朝食の盛り付けが良い感じだと「写真を撮れ」と面倒くさいことを言う。食器は、私が趣味で作った陶器を多く使っている。陶芸を始めて10年になるが、週に一度のペースで遊び感覚で続けているため、なかなか上達しない。それでも「完璧なお皿は買えばいい。この不完全さが手作りの良さなの!」と力説し、自分の作った『味のある』食器で朝食に彩りを添えている。(と、私は思っている。)

いつか、日本風の朝食を作って夫を驚かせたいと密かに思っているが、たぶんやらないだろうな…(笑)。