商工会には、さまざまな質問が寄せられる。毎月開催しているトロント生活不安疑問質問懇談会にも、商工会会員ご家族に加え、大学・病院に来られる方や留学、移民で来られる方からも、トロントでの生活に必要な医療、教育、治安などの質問が数多く寄せられる。
ビジネス団体である商工会には、ビジネスに関する質問も当然多い。これまでは、オンタリオ州に新規進出しようと検討している企業さんからのカナダ、オンタリオ州のビジネス環境に関する問い合わせや、出張ベースで市場調査に来る際に、日系企業の状況や市場全体、経済の状況などの話を伺いたいというケースが多かった。
最近は、米国の企業がカナダにビジネス展開するので話を伺いたいというケースが増えており、業種としては人材サービス、IT関連サービスなどが多い。問い合わせは、総領事館、JETROトロントからの紹介も多いが、ホームページのお問い合わせからのメールでの問い合わせも増えている。今月は、ホームページの問い合わせを通じて、日本からの問い合わせが2件あった。
ひとつは、日本でチェーン展開しているレストラングループで海外マーケティングを担当されている方からの問い合わせがあり、北米でのさらなる展開を計画しており、カナダ市場の状況や可能性などを知りたいとのこと。飲食業界については、専門とされる方がいるのであまり役にたつ業界情報はお伝えできないと思うが、市場規模、人種、慣習などについてはお話しできるのではないだろうか。
もうひと方は、20代半ばの若い方で、総合商社に勤めた後、今、日本で起業準備を進めている方。日本の伝統工芸品を世界に広めたいという思いで、世界各地の市場を調査中とのこと。まずは、自分がコミュニケーションをとれる英語圏を検討し、オ―ストラリア、アメリカなどもアプローチしたが、独特のなまりに馴染めなかったとのこと。一方、カナダの英語は聞き取りやすかったとの経験から、トロント商工会を見つけ、連絡をしてきたそうだ。Zoomで面談しカナダの状況、市場、人種、文化などをお話しし、親日的で、日本の文化伝統に興味を持つ人が多いことを伝えた。
しかし、取り扱う伝統文化品は、それなりに高額で見せないとなかなかビジネスにはつながらないことも伝えた。BtoBの商談ができる相手を探しており、ある程度まとめて購入してくれることを望んでいるようで、なかなか難しいと思う。それでも、日本の伝統工芸品をビジネスとしていそうな方とつながりがあるのではないかと思われる方を紹介した。せっかくの縁なのでビジネスの糸口が掴めるといいのだが。
5月に昼食会で利用したお店も、若い方が店長としてがんばっていた。世の中、全て自分のような時代遅れのおじさん(おじいさん)が物事を決めているから、よくならないと言われているが、実際には多くの若い人も一生懸命がんばっている。自分のような世代はそうした若者を応援する側に回ることが必要と実感した月であった。