私の○○

色々ビックリ!私のカナダ初Emergency&手術体験
Starts Realty Canada Inc.
増田 利加

昨年12月中旬の週末。シュミレーションゴルフをしながらティムホートンのチキンラップを食べていたら急にお腹が痛くなった。食中毒かな?!と思い、胃腸薬を飲んで多少治まったものの、鈍痛が1週間以上続き、ふと8年前の慢性盲腸を思い出しイヤな予感が…。

5年ぶりにウォークインクリニックに駆け込み診てもらったが、医師から「盲腸ではないね。明日予約できるかわからないけどエコー検査してきて」と検査用クリニックの連絡先を渡された。クリスマスシーズンはすべてがスローダウンするトロント。エコー検査の予約と結果を待っていたら年末いや年始になってしまうのでは?と不安に襲われた。友人に相談したところ、「病院のEmergencyに行った方が絶対いい!」と言われ、5、6時間待ち覚悟でカナダ赴任以来初めてのEmergencyに行くことになった。

「Emergencyでは日本人的謙虚さは要らないよ。“痛みレベルは10の内いくつですか?”と聞かれたら、本当は5、6くらいでも“レベル9です。イタタタ~!”と演技するんだよ!大した痛みじゃないと思われたら、本当に追い返されるからね」と友人たちに言われ、演技なんて絶対ムリ〜と弱気になりながらも、ノースヨーク総合病院に到着。

Emergencyサインのある入口を入ったら、まず受付の人にOHIPカードを見せて症状を伝え、血圧計測。Emergencyってもっとごった返しているイメージだったが、意外にも日本の普通の病院の待合室と同じくらい静か。しばらく待たされた後、窓口担当者に呼ばれて友人の予言通り痛みレベルを聞かれ、レベル7、8くらいと回答。これが合格ラインだったのか「じゃあそこの黄色いドアに入って」と治療待合室に通された。

治療待合室に入った後は、まず尿検査。1時間待って血液検査。さらに1時間半待って問診。その後、内容も告げられずに点滴が始まりびっくりしたが、さらに待つこと2時間半でようやくエコー検査にたどりついた。3つの検査と問診1回が終わるまでに6時間近く経過したが、エコー検査だけで1週間以上待たされるクリニックよりは断然速い。

お水も飲ませてもらえず、かなりグッタリしてきたところで再度問診に呼ばれ、「なんで今日はここに来たの?」と聞かれ4度目の症状説明。説明が終わると「あなた盲腸ね。即手術したいけど、手術が面倒になる可能性もあるからボスと検討するので待って。CT検査して選択肢をあげるから。」と言われ、またまた待つこと1時間。

マックのLサイズ並みの紙コップの水をすぐに飲めと言われ、頑張ってた矢先に再度呼ばれ、「やっぱりCTはいらないわ。この後すぐ手術になったから。大丈夫、すぐに終わる手術だから。」と告げられ、え?!えー-??えっと、選択肢は無いんですか?!と、インフォームドコンセント不足な診断にびっくり。

盲腸とはいえ、生まれてはじめての手術、しかもカナダの病院…そもそも手術はどのくらい時間がかかるのか?麻酔から目覚めるのは何時くらいか?今晩は入院になるのか?家族にはどう連絡してくれるのか?など、疑問と不安しかない。でも聞かれた質問にはしっかり答えてくれるので、こういう情報って先に丁寧に説明してくれるはずでは??と日本との違いを痛感。ちょっと時間をください、と慌てて家族や友人たちに連絡し状況を伝えた。(携帯のモバイル充電器をフル充電しておいてよかった!)

手術室の前で執刀医、麻酔担当医、オペ看護師の方から挨拶と説明を受け、内容は全部理解できなかったものの、OKととりあえず返事。「Are you ready?」と自力で手術台に上らされてびっくりしたが、それ以上に横たわった手術台が裸の背中には心臓が止まるかと思うほど寒かった。

麻酔担当医が「じゃあ今から自分の行きたいビーチを想像してね~」と陽気に言う姿がカナダだなぁ~と思うと同時に、オペ看が当ててくれる酸素マスクからは酸素出てませんけど!?と思いながら、あっという間に麻酔の眠りにつく。麻酔から目覚めた時、まず目に入った時計を見てまだ1時間半くらいしか経っていないことを知り、手術の速さにびっくり。

その後病室に移され、「明日の朝には退院だと思うから」と言われ、それはつまり12時間後?!と、噂通り長居させてもらえない入院事情を実感。痛みが強く夜中何度か起きたが、痛みを告げると看護師が痛み止めの点滴をしてくれたり、お水を持ってきてくれたりと丁寧なケアだった。

翌朝、医師がお腹を診るなどの具体的な診察は全くなく、「手術は問題なく終わりました。術後痛い時はアドビルかタイレノール、もしくはモルヒネを飲んで。それとここに電話して術後経過のアポ予約取ってね」と連絡先を渡されて、あっという間に退院。

これまで馴染みのないモルヒネという薬に、これって普通なの?とびっくりしたが、院内薬局で薬を処方してもらい帰宅。(薬代以外はすべて無料。さすがOHIP!)帰宅後数日はお腹が痛くて、自力では階段を上がったり、ソファから起き上がることもできず、モルヒネや他の鎮痛薬を数時間起きに服用していたら、2日後からひどい吐き気に襲われた。

退院時に渡された書類に「熱や吐き気のある時は連絡」と書いてあったので、ノースヨーク総合病院に電話したが、つながらないか留守電ばかり。アポ予約するよう言われたクリニックに電話しても「あなたのことはまだ聞いていない」と言われ、誰に相談していいかわからず泣きそうに気分になり、こんな時のためにもやっぱりファミリードクターを登録しておけばよかった!と後悔。何度かクリニックに電話して、ようやくアドバイスをもらえることができた。

手術後すぐに電話したにもかかわらず、執刀医と術後経過のアポ予約が取れたのは、術後6週間ほど経った1月下旬。対面ではなく電話での診察と言われ再び不安がよぎったが、術後4、5週間目に再び感じた痛みは正常であること、術後2か月間は疲れやすいことなど、それまで感じた疑問をすべて聞くことができてようやく安心でき、私の盲腸手術はこれにて無事完了した。


振り返って思うことは、不安を感じる時はEmergencyに行くのも一つの方法であること、疑問や質問、知りたい情報はすべて自分から積極的に聞く必要があること、病院よりも自宅療養に備えた準備をしておく必要があること、ファミリードクターはいたほうがいいことなど。

日本とのカナダの違いや、カナダの医療事情を垣間見た貴重な経験でした。何より、自宅療養期間中の食事など、家族や友人の助けがなければ何もできなかったので、改めてこの場をお借りして助けてくれた皆さんに心から感謝します。

Emergencyのおかげで無事に年末年始を過ごすことができ本当によかったなぁとしみじみ感じた、カナダ初のEmergency&手術体験でした。少しでも皆さんの参考になれば幸いです!