オンタリオ州政府は、9月22日からワクチン接種証明により特定ビジネスへの入場制限を導入した。特定されたのは、レストラン、バーなどの飲食場所、ジム、フィットネス教室など、これまで感染リスクが高いといわれている場所が中心。この特定ビジネスに補習校の活動が対象になるのかどうか正式な通知がないまま、10月16日からの借用許可が下りた。
借用許可申請にあたっては、これも直前になって英語でのコロナ感染対策ガイドラインを提出せよとの条件付けがあり、7ページにも及ぶ日本語で書かれた保護者・教職員向けガイドラインを急遽英訳する必要が発生。翻訳のプロに急遽依頼し、週末にかけて作業をしていただき、3日で仕上げていただいた。
やっと許可が下り、待ちに待った対面授業再開の前日、夕刻6時過ぎに突然トロント教育委員会から通知が届いた。それによると、「12歳以上のワクチン接種対象者には、ワクチン接種証明の確認を実施し、記録を保持すること。ワクチン未接種者の学校施設内への立ち入りは認めない」とのこと。
オンタリオ州政府の決定、法制化とはいえ、あまりに対応が遅い。前日の夕刻6時過ぎに通知を配信し、翌朝の補習校生徒400名に検査を行えという無謀な要求。保護者への連絡、教職員への指示などに時間がなく、トロント教育委員会には「できない」と通知し、了解を得た。
ワクチン接種証明確認の対象になるのは小学部6年生以上で全体の三分の一。ワクチン接種については、本人・保護者の意思によるもので、決して強制はできず、またプライバシーにかかわる面もある。ただ、施設立ち入り制限となると、授業に参加できない児童生徒が出てしまう可能性があり、その影響を知るために児童生徒のワクチン接種状況を知る必要があり、急遽アンケートを実施した。結果、一定数の未接種者がいることが判明したが、その中には近日中に接種完了予定である児童生徒も相当数いることがわかった。
こうしたデータをもとに緊急運営委員会を招集し、延々3時間にわたる議論の結果、補習校の目的に沿い「公平平等な教育機会の継続的提供」を第一として、全校公平に、6週間の暫定オンライン移行を決定した。6週間という期間設定は、ワクチン接種1回目、3週間後の2回目、その後14日間を踏まえたもの。その間、学校としても対面授業再開時のワクチン接種証明確認手順などを作成することができる。
一日だけとなった対面授業再開を喜ばれた多くの児童生徒、保護者の方には、大変申し訳ないこととなったが、12月からは対面授業再開を決定しており、その補習校からの決定通知と同日、オンタリオ州政府からも再開プランステップ3解除ロードマップが発表された。それによると来年3月末にはワクチン接種証明制度を含めた全面規制解除される見通しとなった。それまでの間、児童生徒への教育をどのように続けるか、まだまだ検討が必要である。