「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第222回>
双日カナダコーポレーション
Sojitz Canada Corporation
Vice President and General Manager 富田 尚良

Mr Tomita

今回はSojitz Canada Corporation(双日カナダコーポレーション)の富田 尚良氏へお話を伺いました。「事業や人材を創造し続ける総合商社」として常に進化し続ける双日株式会社さん。入社以来様々なビジネス領域でご活躍される富田氏より、モノづくりに携わったお話から、ビジネスジェットのチャーター事業会社を設立されたお話まで、貴重なご経験をお聞かせ頂きました。富田氏は2021年3月にカナダへ赴任されました。(聞き手 酒井智子)

事業内容の紹介をお願いいたします。
総合商社である双日株式会社は「日商岩井株式会社」と「ニチメン株式会社」という2つの商社が2003年4月に持ち株会社を設立し翌2004年4月に合併して誕生した会社です。合併前の両社はそれぞれ1862年創業と1892年設立ですので、その長い歴史の中で日本が成長発展を遂げていく過程で日本に役立つ貿易や事業投資或いはパートナーシップによるお客様の事業の発展に寄与してきた商社といえるかと思います。

総合商社の特徴としまして、世の中のニーズ或いは時代の変化と共に必要なものをお届けする柔軟性が必要とされる業態かと思っています。現在双日では、自動車、航空産業・交通プロジェクト、インフラ・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学、生活産業、アグリビジネス、リテール・コンシューマーサービス、という8つのセグメントで営業組織をもっております。

まさに今現在もトレーディングから事業投資の両面で、様々な取り組みを国内外50か国84拠点・グループ会社435社を通じ、「誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造する」という企業理念の元、日本との間あるいはそれぞれの国や地域でお客様やモノを繋ぐ取引をさせて頂いております。

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-御社の強みについてお聞かせ下さい。
事業領域、営業組織それぞれのジャンルにおきまして、強みとなる商材やパートナーシップをもち、更には常に新たなビジネスチャンスを捉えることを、社員一人一人が意識して取り組んでいるところです。

そういった点では、個々が取り組んでいる事業やお取引での専門性、あるいはそこでご一緒させていただく社外の皆様とのネットワークの深さと広さ、いち早く情報を察知しそれを分析して、新しい事業機会に繋げていく、といったことが強みかと思っております。

よく社外の皆様から「双日の方はキャラクターが濃い人が多いね」と言われることがありますが(笑)、個々人の開拓力や発信力の強さといったところが一つの特徴であり、強みでもあるのではないかと個人的には思っています。

双日カナダで申しますと、航空機、鉄道、木材、金属資源、食料、化学品、といったビジネスを主に行っております。トロント店では当社の強みの一つであります航空機ビジネスの領域においてDe Havilland Aircraft of Canada社という航空機製造会社の日本総代理店を担っていまして、日本のお客様の安全で快適な空の移動にお役に立つべく、航空機取引のお手伝いをさせて頂いております。

-今後特に力をいれていきたいことについてお聞かせ下さい。
現在、双日株式会社では「事業や人材を創造し続ける総合商社」として世の中に必要なモノ・サービスを如何にお届けできるか、という観点での取り組みを進めています。例えば今現在ですと環境や食料の問題、循環型社会への取組、デジタル化の加速、そして成長を必要とする国や地域への取組といった命題がありますが、そういった領域に今現在私たちが取り組んでいる事業やトレードでの経験やネットワークを生かし、どのように新たな事業やサービスを構築できるかというテーマに取り組んでおります。

私の個人的な意見ですが、商社員というのは性格上新しいものや、これまでにないものを構築していこう、といった思考が強い人材が多いと感じます。ですので、こうした社員個々の思いの強さを活かして、今お困りのことを解消したり、より豊かな生活を満たすことができるような社会の新たなニーズに答えるものを生み出すことに役立てていくことが、自社の成長だけでなくパートナーやお客様とご一緒に成長発展できるのではないかと思っています。

-現在御社取り組んでおられる 「Hassojitz(発想×双日)プロジェクト」ですね。とても印象的なネーミングですね。
当社のHassojitzプロジェクトに触れて頂きありがとうございます。勿論この「発想×双日」のプロジェクトから新たな取り組みを生みだすことにも意味がありますが、やはり大事なのは、常日頃から疑問や課題だと思うものを「どのように解決していくか」ということを、実際に個々人の仕事に落とし込んで考える広い視野もち続けることでも意義がある取り組みだと思います。

「総合商社」というと、どのような事業に取り組んでいるのかなかなかイメージがつかないかと思いますが、私共がこういった視点で取り組みをしているというメッセージングという点でもこのプロジェクト名は良いことかと思っております。

-それではここで、富田さんご自身についてお伺いさせて頂きます。ご出身から今までのご経歴についてお聞かせ下さい。
私自身は小説「坊ちゃん」「坂の上の雲」の舞台でもあります愛媛県松山市の道後温泉の近くで生まれまして、高校生卒業まで同地で育ちました。その後、首都圏に上京し、大学卒業後の1999年に当時の日商岩井、現在の双日に入社致しました。入社後の配属は非鉄金属部というところでして、主に日本の伸銅品をアジアに輸出するビジネスを担当いたしました。

その後、異動した新規事業開発の部隊ではe-コマース事業や国内ベンチャー企業の立ち上げ支援、地方自治体での新規事業開拓などを手掛け、2010年からは現在担当しています航空機の部隊に加わり、主に米国Boeing社とカナダBombardier社(現De Havilland Aircraft of Canada社)の代理店事業に携わってきました。2021年3月に当地トロントに赴任しまして、これが私自身初めての海外駐在となります。

-初めての海外駐在はいかがですか。
そうですね、やはりいつビザが下りるのだろうかという不安から始まり、渡航後しばらくはコロナのロックダウン制限の状況でしたので。十分な準備もままならない状態で業務をスタートしましたが、少しずつですが様子も勝手も分かってきたというのが正直な感想です。

皆さんから冬の厳しい寒さについては良くお話し伺いますので、暖かいうちに色々な場所を訪れ見聞きしておきたいと思っております。

-様々な事業に携わっていらっしゃたようですが、その中で印象に残っているプロジェクトは何ですか。
私自身、全く異なるビジネス領域をいくつか経験してきましたので、それぞれに印象に残っている出来事、さらに言えばそこでご一緒させて頂いたお客様との思い出がございます。

先ず入社直後の非鉄金属では、当時お取引先であった神戸製造所長府製造所というところでの社内研修に参加させて頂いたことが強烈な原体験になっています。日本が強みとするモノづくりの現場で、生産工程の一つ一つに多くの方が関わり、各現場のプロ意識の積み重ねで良い製品が作られていく事を学ばせて頂いたのは、商社に入社したばかりの私にとって非常に貴重な経験となっています。

次に携わった新規事業開発部では、ベンチャー企業の社長様と深くご一緒するプロジェクトがございました。その時感じたのは会社勤めをしている自身の感覚とは違い、自らの事業の成功がご自身やそのご家族だけでなく従業員とその家族の人生を背負っているんだという責任感や思いの強さに触れ、人生をかけて一つの事業に取組むことの重みを学ばせて頂きました。

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直近では、日本の航空会社様がある機種の航空機を世界初の商業運航開始つまり世界で一番最初にその飛行機を飛ばすという機会にご一緒させて頂きました。実際にそれができるようにする為に、お客様を乗せる前にテスト飛行をするんです。そちらのプロジェクトをBoeing社とお客様のエアラインさんと1週間睡眠時間を削って取組んでおりました。

先程の非鉄のモノづくりと同じで、航空機を1便飛ばすのにそれぞれの専門性を持った方たちが、丁寧にその仕事を重ねて、空の安全や皆さんの利便性が創られるということを目の当たりにしました。ともすると商社にいると、モノづくりやサービスづくりの現場を知る機会から離れがちな中、こうして価値創造をされる生産現場の姿に触れることができ、自分自身の仕事の取り組み方や意義を見つめ直す貴重な機会になったと感じています。

加えていいますと、私が航空会社様を担当している間にそのお客様とビジネスジェットのチャーター事業の会社を2018年に設立いたしました。従前ですとビジネスジェットは富裕層の方が利用する「贅沢品」のイメージをもたれがちですが、実際にはその時間効率性は多忙なビジネスエグゼクティブにも生かして頂けるアイテムですので、ビジネスジェットをタイムシェアの形でお使い頂くことでその利便性をより利用しやすい形でサービスをご提供する会社です。

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もともと当社の航空機事業の中に、ビジネスジェット事業を専門に手掛ける部隊がありナレッジを蓄積して参りました。そして本邦航空会社様がお持ちの顧客ネットワークを合わせることで新しいサービスのご提供を実現することができます。今まであるものの組み合わせ、或いは皆様が各社積み上げてこられたものを融合させて「新しい価値を創造する」という楽しさや喜びをご一緒できたことは、私自身にとって非常に印象深い取り組みの一つになりました。

お仕事を進める上で大切にしていることについて、お聞かせ下さい。
やはり強く思いますのは、パートナやお客様とご一緒する中で「双日と一緒に仕事をして良かった」「あなたと一緒に仕事ができて楽しかった」と感じて頂けるような仕事をどれだけできるかという点です。取組み過程の中でご一緒している期間だけでなく、後で振り返ってもそう感じて頂けるような仕事は相手の方との相互理解と丁寧な仕事の積み重ねで生まれてくるものではないかと思っています。

もちろんその瞬間の利益や価値というのも大切ですが、後々振返った時に「あの仕事をしてよかった」「あの時の仕事が今でも活きている」といったところを共に語り合える方達と出会える仕事の創り方ができれば、また自身もそういった存在でありたいと思っております。

これは社外社内を問わず言えることだと思うのですが、昼間の多くの時間と期間をそれぞれの仕事に費やし励む中、一緒に仕事をしてワクワクする瞬間があることは、共に働ける喜びを増やす要素だと思っています。それは例えば美味しいものを食べたり、良いものに出会えたりする喜びと同じようなものではないかと。一緒に仕事をする喜びを分かち合える組織や個人になれるよう、今はまだまだですがその努力を続けたいと思っています。

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-好きなスポーツ、ご趣味はありますか。
今は下手ながらゴルフを楽しんでいます。ゴルフは自分のプレーそのものも楽しいですし、一緒にラウンドする方とのコミュニケーションも一期一会で貴重な時間です。トロントに赴任して初めて当地でのゴルフを回りましたが、暖かい間に少しでも多くのラウンドをしてトロントでのゴルフライフの1年目を楽しみたいと思っています。

その他ですと美味しいものを食べること、美味しい店を見つけることは大好きです。赴任直後はロックダウン下でレストランも開いていませんでしたが、制限解除が進んでアクセスしやすくなってきたこともあり、是非これからお気に入りのお店を見つけたいと思います。

-カナダ駐在中に挑戦したいことはありますか。
当地に駐在する以前の出張先は専ら米国が多く、実はカナダやトロントに関する知識が然程ないままに赴任しました。挑戦というほどの事ではないのですが、駐在期間中にカナダの様々な地を見て回り、カナダの良さや素晴らしい場所を発見したいと思っています。

実は当地へ赴任が決まってから「そういえば」と思い出したことがありまして、幼少の頃にいつかこの目でオーロラを見たいと強く思っていた時期があったので、この駐在期間中、その夢を実現できるかどうか、自分でも楽しみにしています。

-最後に会員へのメッセージをお願いいたします。
私自身初の海外駐在で不慣れな点も多く、皆様にご挨拶が行き届いていないところもございまして失礼を致しております。またロックダウンこそ解除されましたが、まだまだオンライン面談が多く直接お会いしてお話しできないことも多くございますが、是非この機会に商工会の皆様はじめ多くの方々との接点を大切に、そしてまた、何か新たなビジネスでご一緒してお役に立てると幸いです。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

-本日はお忙しい中、ありがとうございました。