コロナウィルスという聞き慣れないウィルスが流行の兆しを見せ始めた2020年3月、私はトロント市内で友人達と飲み歩いていました。良い感じに酔っぱらって2次会に突入…といつものように楽しんでいたのです。
ロックダウンが始まるとニュースで聞いたのはそれからすぐのことでした。エッセンシャル業務以外のお店は閉店を余儀なくされ、レストランはテイクアウト商品のみを扱い始めました。
家飲み(オンライン)が増えたので、LCBOに行き何気なくワインを眺めているとMeursault(ムルソー)の文字が目に入りました。レストランのメニューで見たことはあるものの、値段が高めなので敬遠していたフランスの白ワインです。酒屋でも値段はそれなりですが試しに購入してみました。
ぎこちない手つきでコルクを開け、香りを嗅いだ時の驚きは今も覚えています。「言葉にはできないが色々な香りがする!」そして口に入れてからも複雑な味わいと香りが続き…。
そこからワインにハマるまで、そう時間はかかりませんでした。Hugh Johnsonという評論家の本を読んだり、ワインアプリを使い始めたり、家にストックしていたワインも5本、10本と増えていき、ワインセラー(ワイン用冷蔵庫)を買うまでに至りました。
値段と味が必ずしも比例しないのがワインの不思議なところです。醸造工程で水を加えてはいけないという制約や、土壌や年、天候によって香りや味わいが変わるという不安定さがワインをより魅力的にし、同時にそうした不安定要素と戦い続ける生産者に感謝の念を抱くようになりました。
ということで私がこれまでに出会ったワインの中で、LCBOで比較的手に入りやすいお気に入りを少しご紹介させていただきます。
Aveleda Fonte Vinho Verde
ポルトガルの「緑のワイン」と呼ばれているもので、熟す前のブドウを使用し、フレッシュで酸味のある微発泡の白ワインです。魚介料理に合いますし、キンキンに冷やして飲むのがオススメです。
Le Volte dell‘Ornellaia
イタリアで有名なオルネライアのサードワインです。メルローというブドウが主体で、とても良い香りで酸味と渋みもあり、お肉料理に合います。
The Prisoner Red Blend
アメリカ・カリフォルニアの赤ワインで、ジンファンデルを中心に色々なブドウがブレンドされています。濃厚でアルコール度数も15%と高く、甘みを感じるので、甘めの味付けの肉(スペアリブ等)にも合います。日本の流通価格よりかなり安いのでお得感もあります。
コロナ収束後はワインを通じて人との繋がりがより深まりました。ワインは専門的な知識を持つ人だけが楽しむものではなく、誰でも手軽に楽しめる飲み物だと思っています。今では私は多くのワインファン同様、ブルゴーニュワインの沼にハマりつつあります(笑)。これからの季節、ビールと共にワインも楽しまれてはいかがでしょうか。