毎年6月開催トロント日本映画祭(TJFF)上映作品発表!
Momo Films 代表 高畠 晶
日系文化会館主催の第13回トロント日本映画祭(TJFF)の期間中(6/6~6/20)、JCCCの小林ホールで24作品が上映されます。今年のゲストは「ライフ・イズ・クライミング!」の中原想吉監督、全盲のクライマー小林幸一郎氏、サイトガイドの鈴木直也氏、また、日本で大ヒットを記録したスリラー映画「マッチング」の内田英治監督、そして津軽塗を題材とした「バカ塗りの娘」の鶴岡慧子監督となります。これらの作品の上映時にはゲストの方々の舞台挨拶、上映後の質疑応答があります。監督やキャストの方のお話を直接伺える、貴重な機会をお見逃しなく!!
以下簡単に作品を紹介します。
【オープンニング・クロージング】
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6月6日(木)のオープニングを飾るのは、「身代わり忠臣蔵」です。日本人が大好きな忠臣蔵をベースに、ムロツヨシ主演で映画化した時代劇エンタテインメントです。“嫌われ者の殿・吉良上野介(ムロツヨシ)が江戸城内で斬られ、あの世行き! 斬った赤穂藩主は当然切腹。だが、殿を失った吉良家も幕府の謀略によって、お家存亡の危機に!” 上映前にオープニングレセプションがあります。
最終日の6月20日(木)に上映されるのは「高野豆腐店の春」です。尾道の豆腐店を舞台に、愚直で職人気質の父・高野辰雄(藤竜也)と、明るく気立てのいい娘・春(麻生久美子)、そして商店街の仲間たちとの和やかな時間。そんな日常と新しい出会いを描いています。上映後にクロージングレセプションを開催し、小林オーディエンス賞、審査員賞の発表、またラッフル抽選を行います。
【話題作!】
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「ミステリーという勿れ」は2022年に大人気となったテレビドラマの劇場版です。主演の菅田将暉が天然パーマがトレードマークで独自の価値観と持論で謎を解く大学生意を演じ、映画も日本で大ヒットを記録しました。
「君たちはどう生きるか:特別編」は宮崎駿監督が少年時代に母から手渡された同名小説『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著)にインスパイアされ、オリジナルの物語に自身の少年時代を重ねた自伝的ファンタジー・アニメーションです。難解ともいわれながら世界的に大ヒットして、今年のアメリカアカデミー賞で長編アニメーション賞を獲得しました。今回の上映は、音楽を担当した久石譲による導入と、作画監督の本田雄によるドロウイングセッションが含まれた特別編となっており、本バージョンはカナダ初公開となります。
【時代を反映する問題作】
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LGBTや生きにくさなど、現代人が直面している問題を取り上げた作品も選出しています。
「エゴイスト」は男性同士の切実なラブストーリーをメインに、血のつながり、家族という枠組み、他者と共に生きるという事を問う問題作です。徹底的役作りで知られる主演の鈴木亮平と宮沢氷魚の演技は今回も必見です。映画は高い評価を得て数々の映画祭で受賞しています。
「正欲」もまた特別な性的指向をもつ新垣結衣演じる女性を中心に、普通であることに人一倍こだわる人間と、普通ではいられないことで生きづらさを感じている人間たち──それぞれの視点から、多様性とは何かを問いかけます。
「52ヘルツのクジラたち」“52ヘルツのクジラ“とは、他のクジラたちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのことです。“世界で最も孤独なクジラにも、その声なき声に耳をすませてくれる相手がきっといる。その声はいつか届く”。虐待されるも声を上げることのできない子供達、しかし声なきSOSを拾ってくれる誰かがきっといる、そんな胸を揺さぶる希望の光を届けてくれる作品です。
「夜明けのすべて」もまた生きづらさを題材にしています。それぞれパニック障害とPMS(月経前症候群)を抱える男女が、自分の症状は改善されなくても同士のように相手を助ける姿を描いています。批評家、一般観客の双方から高評価を得ました。
【母と子、父と子: それぞれの親子の在り方】
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「こんにちは母さん」は山田洋次監督が91歳にして作った90本目の作品です。主演の吉永小百合は数々の作品で山田監督作品に出演、本作では下町に暮らす母を演じます。息子を演じるのは国民的人気俳優の大泉洋です。いつも人情の物語、家族の物語を描いてきた監督が、本作では変わりゆく令和の時代を生きる等身大の親子を描いています。
「バカ塗りの娘」バカ塗りとは馬鹿丁寧に漆を塗り重ねていく青森県の伝統工芸品津軽塗の通称で、津軽塗職人とその娘を中心に展開します。娘の祖父、離婚して出て行った母、父を継がずに美容師になった兄との関係も語られます。津軽塗が漆を何度も塗り重ねていくように、娘と父の心の揺れ動きを丁寧に丁寧に描いています。当日は鶴岡慧子監督のご登壇を予定しています。
「かなさんどー」はガレッジセールのゴリこと照屋年之監督の最新作で、日本では来年公開予定でTJFFはそれに先駆けてのインターナショナル・プレミアとなります。最愛の妻を失い次第に認知症を患うようになった父と、その父をある理由で許せずにいる娘の関係から、監督は“許し”という愛の形を表現したそうです。監督の故郷沖縄が舞台です。
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「大いなる不在」は昨年のトロント国際映画祭のコンペティション部門であるプラットフォーム部門でワールドプレミア上映されました。デビュー作が名だたる国際映画祭に正式招待された近浦啓監督の長編2作目です。藤竜也と森山未來が親子役で初共演しています。認知症を患い、ある種の虚構の世界で生きる元大学教授の父と、長年疎遠になっていた俳優の息子が描かれます。
「ミッシング」ある日突然いなくなった娘の帰りを待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親と家族の姿を描きます。母親役を演じる石原さとみが、監督に直談判して初タッグが叶った作品で、極限まで翻弄されていく母親を体当たりで演じています。石原本人が公言するように、代表作として記録されるでしょう。
「かくしごと」ここでもまた認知症を発症した父と、絶縁状態にあった娘の関係が描かれます。そこに事故で助けた記憶を失った少年が登場します。彼を助けるために母親だと嘘をつき、三人で新しい家族の形を育んでいきます。しかし、その嘘からやがてそれぞれのかくしごとが明かされていくのです。主演の杏は“千紗子の行動は果たして良いことなのか、悪いことなのか。観ている方も、自分だったらどうするか、など観終わった後誰かと話したくなる映画です。”と語っています。
【ドキュメンタリー映画】
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「ライフ・イズ・クライミング!」本年度の第33回日本映画批評家大賞ドキュメンタリー賞を受賞した作品です。パラクライミング世界選手権で4連覇を成し遂げた、視力を失ったクライマーとその相棒のコンビが、アメリカで想像を超えるクライミングに挑むまでを描いたドキュメンタリー・ロードムービーです。当日は中原想吉監督と、出演の小林幸一郎、鈴木直也のコンビのご登壇を予定しています。
「ミスター・ジミー」伝説のロックバンド、レッド・ツェッペリンのスーパースターギタリスト、ジミー・ペイジを讃えその演奏を忠実に再現することに人生を捧げてきた日本人ギタリストのジミー桜井。彼の情熱を追いながら、彼に動かされ協力を惜しまない日本の職人芸をも同時に描いています。尚、今年の8月にミスター・ジミー率いるレッド・ツェッペリンのトリビュートバンドのコンサートがJCCCで開催されます。
「故郷の風景」監督のアリス・イル・シンとプロデューサーの川邉ブラウン栄子が時間をかけて制作した作品がついに上映されます。20世紀半ばを舞台に、カナダ生まれの日系カナダ人医師と日本生まれのカナダ人医師という二人の医師に焦点を当てています。第二次世界大戦により人生を大きく翻弄された二人の物語を通して「ホーム」とは何か、故郷を求め、苦闘する日系カナダ人の姿を浮き彫りにします。当日は、上映後にパネルディスカッションがあります。
【俳優で見る!】
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2025年の大河ドラマの主演が決まっている横浜流星の作品を今年も上映します。「春に散る」では横浜はボクサーを演じています。この役の為に筋肉を10キロ近く増やすなどして肉体改造に取り組みました。また撮影中にプロボクサーライセンスを取得したそうです。劇中の窪田正孝とのボクシングシーンは、本物のプロボクサーの試合を見ているような迫力と臨場感があります。コーチ役で佐藤浩市がダブル主演しています。
近年は身体を張ったアクションが魅力の一つとなってきた綾瀬はるかですが、「リボルバー・リリー」では華麗なアクションを繰り広げ、その身体能力を存分に発揮し、大正時代に生きた史上最強のダークヒロインを見事に演じています。監督の行定勲は綾瀬のデビュー作で監督と務めたが、“20年の経験が積み重なり、主役として頼もしい。頭で考えるのではなく、肉体として役をつかみに行くので、何を言っても全部受け応えられる強さがあった。”と絶賛しています。
「マッチング」は身近すぎるアプリから始まる恐怖を描く、新感覚サスペンス・スリラーで、主演に土屋太鳳を迎え日本で大ヒットしました。これまで、シンの強さや清楚さを持った女性像を演じてきたが、本作ではある意味主体性や自信のない役どころに挑み、度重なる悲劇に巻き込まれ、狂気と向き合うことで、徐々に強さに目覚める変化を表現しています。当日は内田英治監督のご登壇が予定されています。
大ヒットした台湾映画「1秒先の彼女」を宮藤官九郎の脚本でリメイクしたのが「1秒先の彼」です。舞台を京都に替え、男女のキャラクターの設定を逆転しました。周囲よりすべてにワンテンポ早い男性とワンテンポ遅い女性の”消えた一日“をめぐる物語です。男性を演じるのは岡田将生です。2006年のデビュー時から演技を評価され、数々の話題作に出演しています。さわやかな青年から癖のある人物など幅広い役を演じてきていますが、本作では残念な二枚目を嫌味なく演じています。ダブル主演を若手実力派の清原果耶を務めています。
【肩ひじ張らず楽しめる】
最後の3作品は難しいことを考えずに、ただただ楽しんで頂きたいです。
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「レディ加賀」は10年前に加賀温泉を盛り上げるために結成された旅館の女将たちによるプロモーションチーム「レディー・カガ」から着想を得て企画されました。魅力的な歴史ある加賀温泉郷を舞台に今の時代に見てほしい、笑って泣いて心の芯まで温まる感動のハートフルムービーです。
「MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」タイムループに陥った小さなオフィスの社員たちが脱出を目指して奮闘する姿を描いたコメディです。元々繰り返し作業の多いオフィスを舞台に、会社員たちがタイムループの状況に陥るというありそうでなかった設定で、やり取りも面白く、想像の上を行く物語が展開されます。
最後にファミリー向けのアニメーション「らくだい魔女 フウカと闇の魔女」を紹介します。らくだい魔女と同級生達の助け合いの絆を描きます。原作は児童書でストーリーもわかりやすく60分という短めの尺ながら魅力がたくさん詰まっています。大人も子供も楽しめる作品です。
以上、簡単に全作品を紹介しました。詳細は下記の映画祭のサイトでご覧になれます。話題の邦画作品を大きなスクリーンでたくさん見られるこの機会を、是非お見逃しなく!!!
<映画祭情報>
トロント日本映画祭 (Toronto Japanese Film Festival)
開催期間:2024年6月6日〜20日
映画祭サイト:https://jccc.on.ca/ja/films/tjff
JCCC YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/c/JapaneseCanadianCulturalCentre
チケット発売開始日:2024年5月8日
Ticketweb (www.ticketweb.ca) (https://jccc.on.ca/ja/films/tjff/tjff-ticketsからもアクセスできます)