特別寄稿

エキナカイベントを振り返って
トロント総領事館 鈴木 時也

エキナカ

11月1日(水)~4日(土)に開催させていただいたトロント・ユニオン駅「Next Stop: Japan」駅ナカイベントが無事終了しましたので、報告させていただきます。

トロント総領事館、ジェトロ・トロント、国際交流基金(Japan Foundation)、JNTO(国際観光振興機構)の共催で、約20社の日系企業の協力を得て開催された4日間のイベント。のべ20~30万人が来場、メディアの取材(NHK、CBC、City TV)も入るなど、予想を上回る反応・盛況ぶりでした。

「駅を中心とした街づくり」やオンタリオ州が進めるTransit Oriented Communities(TOC)の参考として、日本の駅利用の具体例を示すため、駅構内のスペースを使って日本の駅環境を再現。日本食、日本茶、工芸品、アパレル等の店舗出店に加え、駅構内LCBOにて日本酒の試飲も提供しました。

4J(政府)ブースでは、JNTOが日本各地の観光資料を並べて来場者に観光地を紹介したほか、国際交流基金はフォトブースに日替わりでバックウォールを設置し、来場者に観光地の写真を通じて日本観光の疑似体験を提供しました。

会場にはステージも設けられ、日加修好95周年を記念して、在留邦人による文化紹介イベントが開催されました(4日間で約400人が集まりました)。生け花、盆栽、おしゃれでかわいい髪飾りなどのつまみ細工、金継ぎ等のパフォーマンスを行うことで、来場者に貴重な日本の伝統文化に触れる機会を提供しました。

初日に行われたオープニンセレモニーでは、キンガ・サーマ・オンタリオ州インフラ大臣が出席しました。「日本の駅はオンタリオ州が求めるモデルである。我々は今、数十年に一度の鉄道網の拡張に取り組んでいるが、日本とのパートナーシップに改めて感謝する」と述べ、日本を引き続きインフラ開発のパートナーにしたいとの決意が語られました。

また、このイベントは日本ファンコミュニティ形成を目的として、専用ウェブサイトを特設し、参加企業の各種SNSアカウント等を通じた事前広報を行い、デジタルマーケティングの手法を用いてイベント集客・各企業の認知度向上を図りました。当日イベント会場では各企業にご協力いただき、ギブアウェイ等を配布することによってさらなる集客を行いました。結果、普段日本の商品に触れることのない多くのカナダ人を日本ファンコミュニティに取り込むことが出来ました。

一部の地方自治体からの協力を得ることもできました。食品ブースでは、いわて牛ローストビーフすき焼き丼の販売が行われ、ステージに設けられたスクリーンには、静岡市から提供があったインバウンド観光のPR動画が放映されました。

いろいろな人たちのそれぞれの思いが詰まったこのイベント。紆余曲折ありましたが最後は一丸となってたくさんのカナダ人に日本を知ってもらう機会を提供することが出来たと思います。

ユニオン駅
エキナカ

日本ブランドは多くのトロント市民にとって良いイメージで認識されていることが多いと感じますが、どのような商品が本当の「日本ブランド」で、一つ一つの商品にどんなストーリーが込められているのか、語れる人はそう多くないと思います。

インバウンド観光についても、東京・大阪・京都だけでなく、地方観光の魅力を知るトロント市民はそう多くないと思います。今回のイベントのような政府主催のイベントを通じた取り組みは、トロント市民に対する「日本ブランド」の認知度を高め、日系ビジネスの支援に役立つものだと思っています。

こうしたイベントを一過性のものではなく、継続的に行うことで、継続的にトロント市民に日本の商品・サービスを支持してもらえる日本ファンコミュニティの構築を図っていきたいと思います。

今回のイベントで培った経験を活かし、今後も日系企業様の海外展開の後押しに励んで参りますので、何卒ご理解・ご協力の程宜しくお願い致します。