去年記念すべき10周年を迎えた日系文化会館主催のトロント日本映画祭(TJFF)ですが、コロナ禍で過去2年間はオンライン開催となっていました。しかし今年は、やっと6月16日から6月30日まで日系文化会館の小林ホールで現地開催を致します!
目玉作品はオープニング作品の『峠 最後のサムライ』です。司馬遼太郎の小説を役所広司主演で映画化した時代劇ですが、なんと日本の公開より1日早く上映するので、カナダ先行上映となります!日本の観客より早く観られるなんてこんな機会は滅多にありません!!
映画祭イチ押しの作品は、小松菜奈&坂口健太郎主演で日本でも大ヒットを記録している感動の恋愛作品『余命10年』です。RADWIMPSのミュージックも泣かせます。天海祐希演じる堅実な主婦が、浪費家の姑と同居することによって家計のピンチに悩まされる『老後の資金がありません!』は、日本の老後資金2000万円問題に切り込んだコメディ映画です。
中谷美紀が日本初の女性首相を演じる『総理の夫』、沢田研二と菅田将暉が2人1役を演じた山田洋次監督の新作『キネマの神様』、作家・塩田武士が大泉洋をイメージして、出版業界と大泉を4年間に渡り徹底的に取材して執筆した意欲作を原作に、吉田大八監督が再構築した『騙し絵の牙』、保護犬・保護猫を守る部活「犬部」を作った獣医学生たちの映画『犬部!』も映画祭のオススメ映画です。
また、草なぎ剛がトランスジェンダーを演じ、第44回日本アカデミー賞で最優秀作品賞と草なぎ剛も最優秀主演男優賞を受賞して話題をよんだ『ミッドナイトスワン』は必見です!
ドキュメンタリー
ドキュメンタリー映画もオススメです!今年のドキュメンタリー映画『The Pursuit of Perfection』は東京の4人のシェフを紹介する料理ドキュメンタリー。懐石、お寿司、フレンチ、スイーツとジャンルの違う4人のシェフが出演しているのですが、どのお料理もすべて美味しそうで一度は彼らのお店に訪れてみたい!と思ってしまいます。
サスペンス、犯罪、バイオレンス
また、サスペンス、犯罪、バイオレンス映画も揃えました。東野圭吾の大人気小説を原作に木村拓哉&長澤まさみがホテルを舞台に殺人事件に挑む『マスカレード・ナイト』、東北大震災から9年後の宮城県で起きる不可解な連続殺人事件を、佐藤健、阿部寛、清原果耶という豪華キャストで瀬々敬久が監督した『護られなかった者たちへ』、広島の架空都市を舞台に警察とヤクザの攻防戦を、松坂桃李、鈴木亮平主演で描いた過激なクライム・バイオレンス『孤狼の血 LEVEL2』、女子高生殺し屋の二人組をキレッキレのアクションと、ブラックなユーモアで描いて話題を呼んだ『ベイビーわるきゅーれ』です。
お気に入り
また個人的にお気に入りのサスペンスコメディは黒木華と柄本佑が共に漫画家という夫婦を演じた『先生、私の隣に座っていただけませんか?』です。TSUTAYAの企画コンテストで準グランプリを受賞しただけあり、妻が描く漫画と現実の境界が曖昧になっていくという脚本が秀逸です。
女性監督の作品
女性監督の映画も2作あります。女優のんが初めて長編映画に監督・脚本・主演で挑み、コロナ禍で大学の卒業制作展が中止になってしまい1年かけて制作した作品を持ち帰ることになった美大生の心情を描いた『Ribbon』、そして、同じ都会で生活しながら、レールに乗った人生を歩む良家のお嬢様と、大学進学で東京に出てきて、自由に生きる普通の女の子を対比させながら二人が成長していく様を描いた、岨手由貴子監督の『あのこは貴族』です。
音楽がテーマの作品
また今年は音楽に関連する映画も何作かあり、ミュージック映画好きは必見です!永野芽郁×石原さとみが共演した『そして、バトンは渡された』はピアノが物語の重要な鍵となっています。『ミュジコフィリア』は京都の音大が舞台で、ピアノだけではなく様々な楽器で、クラシックから実験音楽を演奏するシーンがあり、音楽好きにはたまりません。
『瞽女』は三味線を奏で、物語を歌いながら各地を巡行する盲目の女旅芸人で、国の無形文化財保持者である最後の瞽女、故・小林ハルさんの半生を描いたドラマです。JCCCでの上映前には三味線の実演パフォーマンスもありますので、是非観に来てくださいね。
ファミリー映画
ファミリー映画も揃えています。『映画大好きポンポさん』は映画製作現場を描いているアニメーション映画で、恋愛やSFのジャンルが多いアニメとしては異色のテーマですが、テンポも良く、エンタメに仕上がっていてとても面白いです。三池崇史監督による『妖怪大戦争 ガーディアンズ』は天狗、雪女、天邪鬼、小豆洗いなど日本の妖怪がたくさん出てきて、しかも有名俳優が演じているのが見所。
『子供はわかってあげない』は人気漫画が原作で、高2の水泳部員美波が書道部のもじくんと失踪した実父を探し出し、夏休みを一緒に過ごすボーイミーツガール映画です。
『JUNK HEAD』は、監督がたった一人で(監督だけでなく、脚本、絵コンテ、撮影、照明、衣装などすべてを一人で担当!!)7年かけて作り上げた異色の傑作。アカデミー賞を受賞したギレルモ・デルトロ(『シェイプ・オブ・ウォーター』)も賞賛したストップモーションアニメーションです。ダークでグロ可愛いディストピアな世界が描かれているので小さいお子様には刺激が強いかもしれませんが、モントリオールのファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞するなど世界中の映画祭で高く評価されています。
クロージング
クロージング映画は、200年前に世界を驚愕させた伊能忠敬の日本地図の制作秘話をテーマにした『大河への道』です。原作は落語家、立川志の輔による創作落語「伊能忠敬物語 大河への道」で、中井貴一、松山ケンイチ、北川景子らが江戸時代と現代の登場人物1人2役を務めています。
どの映画もそれぞれ素晴らしく、面白い作品ばかりですので、是非大きいスクリーンで観られるこの機会に是非たくさん観に来てくださいね!
各映画の詳しい情報はトロント日本映画祭のHPで記載されていますので、是非そちらをご覧ください。またJCCCのYouTubeチャンネルでも監督のビデオメッセージや予告編などが確認できます。
トロント日本映画祭 (Toronto Japanese Film Festival)
開催期間:2022年6月16日〜30日
映画祭サイト:https://jccc.on.ca/ja/films/tjff
JCCC YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/c/JapaneseCanadianCulturalCentre
チケット発売日:2022年5月11日より