第210回 12月振り返り日 お世話になって18年
商工会事務局 伊東 義員

商工会にお世話になったのは2007年1月から。2024年も無事終えることができ、丸18年お世話になったことになる。50歳で営利企業での経歴を離れ、非営利団体である商工会・補習校に携わらせていただき大変感謝している。
振り返れば2000年代の商工会は、日本のバブル処理の終わりが見えており、商工会会員の中心である日系企業の縮小、統合なども落ち着いてきた時代。商工会の活動においては1990年半ばから駐在員の急激な減少により会費収入が減少、存続が危ぶまれる時代だった。年度収支欠損(赤字)となる時代が続き、手持ち資金が減少。費用削減のため、ダウンタウンからノースヨークに事務所移転、活動縮小を行い、ある時期には新年会・会員総会合同イベントとゴルフ大会だけとなったこともあったようだ。
自分は当時会員であったが、セミナーやネットワーキングなどの記憶がない。中高の大先輩である前任の専務理事の方が高齢と健康上の理由から退任されると伺い、自分が人生の節目と考えていた50歳を機に応募し、お世話になることとなった。
まず取り掛かったのが50周年記念式典。商工会の発足は、1957年としており、商社・銀行を中心にトロントに進出していた日系企業駐在員が、経済会議出席のために集まり意見交換したことを起源とすると伝えられている。
実際に団体として形を成したのはその10年後であり、40周年なのか50周年なのかという迷いもあったが、伝えられてきた1957年から50周年として式典を計画、外務大臣表彰もいただき、カナダ首相、オンタリオ州政府、トロント市などからも祝辞をいただけるよう正式な要請を行った。それまで政府関係への正式なレターなど作成したことがなかったことから、多くの方の支援をいただいたことを思い出す。
次に取り組んだのが、財政改善。商工会も補習校も財政赤字に苦しんでおり、手持ち資金が存続のために必要とされる最低レベルになっていた。中長期財政計画を作成し、それまで20年近く変更していなかった会費の大幅値上げを理事会に提案した。そのときに理事会に約束したことは、「会費に見合うサービスを会員に提供する」こと。
それまでの新年会・会員総会合同イベントと1回だけとなったゴルフ大会だけでは、会員に向けた十分なサービスとは言えず、補習校への支援も継続的にすることは不可能だったことから、会員が望むことを再考し、ビジネス関連情報の発信、ネットワーキング機会の設定、駐在員生活への支援、会員優待に注力することにした。
雇用法・移民法・産業別アップデートを中心としたビジネス関連セミナー開催、会員企業見学会、経済情報・イベントのウィークリーメールマガジン配信、会員昼食会・懇親会・忘年会、教育・医療・交通法規治安セミナー、ブルージェイズ・シルクドソレイユなどの優待チケット販売、近年は健康診断パッケージの提供も行っている。コロナ期を経てセミナーなどの形態はオンライン中心となり参加しやすくなったこともあり、今後は中断していた会員各社の各部署担当者意見交換会の復活、会員企業によるカナダ市場アップデートなども開催しようと考えている。
商工会の一番の資産は、会員のネットワーク。多くの業界に入り込んでいる日系企業とそれを支える法律会計などのカナダ法人のネットワークを最大限に活用し、会員が望む有益な情報と様々な機会の提供を行っていく。