商工会会員企業の駐在員の方の任期は、3年から5年が多い。企業によってその辞令発令時期は異なり、1月1日付けと、4月1日付けが多い気がするが、近年はそうした一斉発令からずれた時期の異動も多くなってきた。帯同ご家族の来加は、1月1日発令のケースであれば3月から4月、4月1日発令のケースでは、7月から8月となるケースが多く、日本の学校の年度替わり、そして当地現地校の年度変わりにそれぞれ合致している。
人事異動は、事前に公表できるタイミングが難しい。商工会では、その会費請求を1月1日付け、7月1日付けの登録会員数で請求させていただいている。期中に登録会員が増えても追加請求は行わないが、期中の減員についても返金は行わない。帰任、着任のタイミングや引継ぎ期間などの関係から、たまたま7月1日に帰任者、着任者が重複していることもあるが、その場合には、7月1日時点の正式所属部門を伺い、判断することにしている。
トロントには、駐在員とその帯同家族だけでなく、研究・研修・留学などの目的で来られる病院・大学関係者の方も多い。コロナで数年凍結されていたが一機に解禁され、今年の夏もたくさんの方が来られているようだ。こうした方々との接点は、帯同されるお子さんが補習校に入学するケースで知るしかないものの、日系コミュニティーの一員として多いに歓迎したい。
ワーキングホリデーの若者も今年は多いようだ。補習校では時間講師やアシスタントの採用登録を常時行っているが、今年は6月以降、多くのワーキングホリデーの方が応募している。補習校の仕事に興味を持つ方は、日本で教員を経験した方、大学で教員資格を取得した方がほとんどで補習校としては大変ありがたい。この春、大学を卒業したばかりの方も相当数いるようだ。
ワーキングホリデー制度では、カナダの生活や文化を体験するために最長1年滞在することができ、その間、働くことができる。日本の最低賃金に比べれば、為替換算で2倍近い給与が得られるが、それ以上に住宅生活費が高く、決して楽ではない。
加えて、トロント地区では、新永住者、留学生が急増しており、職を見つけるのが非常に困難になっていると聞く。これまでであれば、多くの日本食レストランが、日本語を話すことができ、日本の作法が分かるワーキングホリデーの方を採用してくれたが、その日本食レストランもどんどん数が減っている。
ワーキングホリデーの方は、語学学校への通学、職の機会の多さ、交通移動手段の関係から、トロント市内に住むことが多いが、仕事探しについては厳しい状況となっているようだ。日本食レストラン以外での仕事では、学校を卒業したカナディアン、新移民、留学生などと競うことになり、英語力や職歴などの点から、仕事に就くのが難しいようだ。
自分が倉庫業を任されていた20年前、ワーキングホリデーの若者をほぼ1年、倉庫ワーカーとして採用したことがある。片道1時間かけて、毎日トロントからミシサガの倉庫まで通ってくれた。倉庫作業では、仲間との会話と指示の理解以外、高い英語力は求められないので職場として、快適だったようだ。帰国に際して、1年間の職務成績と勤務態度をレターとして渡し、日本での就職に活かしてもらった。そのレターに効果があったかどうかは分からないが、帰国してすぐに就職できたそうだ。