補習校が教材などの手配で大変お世話になっている海外子女教育振興財団では、日本人学校・補習校の事務長・事務管理責任者を集めた「事務長会議」を2年毎に開催しており、2007年より出席している。今回の会議は、コロナにより2019年の会議が中止となったことから4年ぶりの開催となり、世界中の日本人学校・補習校から45校、49人が参加した。
日本人学校、補習校はその地域性や運営に特性があることから、どの問題にも最適解はなく、どのように取り組んでいるかの意見交換が中心となる。全体会では、財団からのプレゼンの他、外務省、文部科学省からのプレゼンもあり、在外教育施設支援などについての情報も得ることができた。
会議の多くは、形態・規模・地域に分かれた学校同士の情報交換となっているが、共通の問題意識として、事前のアンケートで 1)学校経営・事務における課題 2)事務局の悩み 3)成功事例・失敗事例 4)財務面での課題 5)日本語支援の課題 6)安全対策の課題 7)在籍児童生徒についてなどが取り上げられ、その中から、特に課題と考える学校が多いものを集中的に話し合った。
どの学校にも共通しているのは、コロナになった3年間の間に児童生徒が激減したことで財政が厳しくなったこと。トロント補習授業校も児童生徒数が3割近く減少したが、他校もだいたい同じような傾向が見られる。結果、財政面で厳しくなり、収入増加対策、支出削減対策が取られるが、限界があり、授業料の値上げを検討しているという学校も多い。
トロント補習授業校を含めある程度の規模を持つ学校では、毎年の予算編成によって値上げを決定しているが、小中規模の学校では、授業料を長年据え置いてきたところも多いようで、限界となっているようだ。
教員確保も共通の課題となっている。小中規模の補習校では保護者が運営から教員まで行っているところも多いが、保護者はその子供が卒業してしまうとかかわらなくなるケースも多く、人材確保が難しいようで、入学時に誓約書で義務付けしているところもある。大規模校でも常に教員が不足している状態。駐在員の帯同者(多くは奥様)を採用しているケースもあるが、会社側の承認や所得税の関係、そして査証の問題などもあるようだ。労働査証取得サポートをしている米国の補習校もあるが、土曜日一日だけの補習校では要件をクリアするのが難しい。
トロント補習授業校では、ワーキングホリデーの若者が応募してくれることが多かったが、コロナの間はワーキングホリデーの若者がほとんどいなくなったことから、臨時講師登録者がほとんどいない状況になった。しかし、今年に入り、ワーキングホリデーの若者やカレッジなどへの留学生が戻ってきたようで応募が増えている。長期の勤務はできないが、教員が勤務できなくなった時にお願いできる人がいるのはとてもありがたい。
次の事務長会議は2025年が予定されているが、さて参加できるか、参加すべきかちょっと悩んでいる。