専務理事のばたばた日記 

第189回
2月学生日 日本の学生さんが商工会事務所で海外実地研修
商工会事務局 伊東 義員

Itosan

関西学院大学では、カナダの4大学と協働でクロスカルチャーカレッジというバーチャルカレッジを運営している。その趣旨は、異文化理解やコミュニケーション力を持ち、多文化を共生させながら、グローバル社会の持続的な発展と成長に寄与できる世界市民リーダーズを育成するとしている。2010年代初めより行っているプログラムで、開始当初より協力させていただいている。

冬と夏の2つのプログラムがあり、日本の学生がカナダに来て、カナダの学生と一緒に学ぶもの、カナダの学生が日本に行き体験学習するものなどがあり、コロナ前には、トロント大学に出向き対面で日系企業の状況などを説明する機会があった。コロナになり中断していたが、今年度再開となった。

昨年秋、連絡をいただき、今回は2つのプログラムで協力することになった。一つは、11月から始まるものでカナダの大学の学生と関西学院大学の学生がグループをつくり、与えられた課題にオンラインで取り組み、2月に一週間トロント大学に集まって最終プレゼンを行うグローバル・キャリア・セミナー(GCS)。もう一つは、関西学院大学の学生がトロントに来て、いくつかの企業・団体で2週間の実地研修を体験するフィールドスタディー・イン・カナディアンビジネス(FSCB)。

2月にFSCBが始まり、商工会で2名の学生さんをお預かりすることになった。ところが、開始1週間前に連絡があり、さらに2名を受け入れていただけないかとのお願いが入った。伺えば、受け入れを了承していた団体が、突如受け入れできなくなったと連絡してきたようで、困っているとのこと。2名も4名も同じなので、お受けすることにした。

この実地研修では、日系企業で社長が駐在員でない企業を訪問し、社風や考え方を伺うことにしていた。事前にどのような業界がよいかと参加する学生に聞いたところ、オンタリオ州の主力産業である自動車産業をお願いしたいとのことで、会員企業3社にアポイントをお願いした。オートショーの時期と重なり大変お忙しい中、学生のために時間を取ってくださったエクゼクティブの方に感謝申し上げたい。

訪問では、非駐在員エクゼクティブと駐在員トップの方にそれぞれ30分程度インタビューをさせていただくこととし、各学生がそれぞれ質問を考え、英語でインタビューを行うということにした。2週間の予定は、初日、オリエンテーションと注意事項、2日目はダウンタウンの会員法律事務所に伺い、カナダについて全般的なお話しを伺った。3日目は訪問企業のリサーチ、4日目、5日目は企業訪問として前半終了。

後半1日目は、午前中、大学の先生が様子見訪問、午後、企業訪問。2日目は先生の許可を得たうえで、休日としてナイアガラ観光。3日目から最終日までは、その週末に行われるプレゼンテーションに向けた資料作成。学生の英語力も十分で、積極的にインタビューをしており、本当に真面目に取り組んでいることに感心した。2週間という期間であったが、学生にとっては結構忙しい内容だったようだ。本来は、2人が1グループとなり、同じ課題に取り組むのであるが、結果は、テーマは同じでも視点が違い、興味深いものに仕上がった。

その翌週には、GCSが始まった。11月に与えた課題に対して、これまでオンラインで共同作業を進めてきた進捗を確認し、最終プレゼンに向けての対面での討議と発表準備。商工会からの課題に取り組んだ2グループに対するブリーフィングを行うため、トロント大学に出向いた。ここでも、同じ課題ながら、2つのグループのアプローチが違い、一つはマクロ的な大局的解決策、もう一つはミクロ的な具体的解決策。

最終日のプレゼンでは、3つのテーマに取り組んだ6グループのプレゼンテーションがあり、先生、課題提供者、学生による評価により、順位が発表になった。どのプレゼンテーションも内容的には素晴らしいもので、学生が真剣に取り組んだことが感じられるものであった。結果は、なんと商工会の課題に取り組んだ2グループが1位、2位を獲得する結果となった。

商工会には、日本、カナダの大学から学生インターンの要請が来るが、有償インターンであり商工会では受け入れることができない。しかし、こうした短期の学生研修受け入れであれば受け入れることができる。会員企業でも、こうした内容であれば受け入れられると思われたところがあればぜひ商工会までご連絡いただきたい。

参加学生による活動手記はこちら 
https://torontoshokokai.org/wp-content/uploads/2023/03/FSCB参加学生活動手記.pdf