日本の学校では、特色あるプログラムを作り魅力ある学校作りに努めている。その一つが、国際志向ブームを受けた海外研修プログラムで、春休み、夏休みを利用して、短期間海外研修を行うというもの。中でも、英語圏の人気は高いようで、カナダが研修地として選ばれることも多いようだ。こうした傾向はこの10年くらいの間に急激に増えた気がする。
コロナ前には、福岡、愛知、東京の中高生がトロント近郊に研修に来て、お話しをさせていただいたこともあった。こうした研修の場合、総領事館などでお話しを伺った後、商工会でお話しさせていただくことが多く、内容が重ならないように、冒頭に総領事館で聞いた内容を確認し、総領事館では聞けない話題をお話しすることにしていた。
コロナになり、カナダに来ることができなくなり、こうした実地研修ができなかったが、東京の高校では、その間もZOOMを使って、「海外探求研究」というコースでカナダについて学ぶ機会を続けており、今年もその一コマで講演させていただいた。当地夕方6時、東京時間朝8時の設定で、生徒さんは通常授業より早い時間帯となり、かなり早く登校することになったのではないだろうか。
昨年は「カナダで学ぶ、カナダで働く」といったテーマで、日系企業のビジネス状況と、カナダの教育制度についてお話しした。今年は、「日本とカナダの就労環境の違い」というテーマとしたが、事前にいただいた生徒さんからの質問にびっくり。資料を事前に送り、日本の労働環境について、ご両親など大人の方に状況を聞いておいてくださいとお願いした結果、非常に鋭い質問が多く記載されていた。45分の講演では、前半はその質問に答え、後半はカナダとの違いについてお話しさせていただいた。
来春には、15名程度の生徒さんがカナダに来る計画となっており、その折にもお話しすることになっている。
大学レベルでは、関西学院大学が、クロス・カルチャー・カレッジCCCというプログラムをトロント大学、クイーンズ大学などカナダの大学4校の学生と関西学院大学の学生が共同して学ぶというユニークなプログラムを行っており、ほぼ毎回、協力させていただいている。コロナで開催できなかったがこちらも今年再開となり、カナダの学生と関西学院の学生で構成された2つのグループに共通の課題「オンタリオ州が望む企業誘致をいかに日本の中小企業に伝えるか」を出し、先日、課題についてのQ&AセッションをZOOMで行った。
カナダの大学生と関西学院大学の学生が一緒に課題に取り組むということで、事前にいただいた質問は当然英語。さすがに大学生らしく、広い視野での鋭い質問が多く、質問の中心は、トロント日本商工会の役割と日加経済交流促進の関係など。1時間のQ&Aセッションだったが、あっという間に終わってしまった。
これから2カ月、遠隔ながら学生が共同でカナダ側、日本側の調査をして、提案を作成、2月の発表がどのような提案になるか、とても楽しみ。これらはすべてボランティア活動ながら、とても楽しいもの。今後、日本の多くの若者が海外に目を向けてくれるようになるよう、お手伝いできればと思っている。