「学校生活あるある比較」
カナダ オンタリオ州の学校 vs 日本の学校
楽しい夏休みも終わり、いよいよ新学期がスタートしました。お子さんたちも、不安と期待を胸に新しい毎日を迎えていることでしょう。
今回の「トロントあるある」では、日本とオンタリオの学校生活の違いについて、いくつかのポイントをまとめてみました。同じ「学校」でも、文化や仕組みの違いから見えてくる面白さがあります。
1. 通学スタイル
日本:ほとんど徒歩、集団登校も多い。
オンタリオ:家から遠い生徒は 黄色いスクールバス。近い生徒は徒歩や親の送り迎え。
<スクールバスが「黄色い理由」 法律で守られている色>
スクールバスが黄色いのは 安全性のため。黄色は人間の目にとって非常に視認性が高い。朝の薄暗い時間や霧の中でも目立ちやすい。赤よりも広い範囲で「周辺視野」でとらえやすいと言われている。
アメリカ・カナダ共通のルールであり、1939年、アメリカで「全国統一スクールバス規格」が決まり、その時に安全性を理由に黄色が標準色に。カナダもこれに倣って現在に至る。北米では「スクールバスイエロー(National School Bus Glossy Yellow)」という専用色が定められていて、他の車両は基本使えない。
<オンタリオの子どもが一人で通学できる年齢目安>
多くのスクールボード(教育委員会)の推奨は、9歳〜12歳くらい(小学校3〜6年生) から一人で徒歩や自転車通学を始める家庭が多い。
-スクールバスの場合:
Kindergarten(4〜5歳)は保護者が必ずバス停まで送り迎えするルールが一般的。小学1〜2年生も「親が迎えにいないと運転手が子どもを降ろさない」という規則がある地区もある。
-徒歩通学
Grade 1〜2(6〜7歳)は親と一緒に歩くケースが多い。
Grade 4〜5(9〜10歳)くらいになると友達同士や一人で歩くことが増える。
-保護者責任との関係
オンタリオの児童福祉局(Children’s Aid Society)のガイドラインでは、12歳未満の子どもを長時間一人にしてはいけないとされている。学校の行き帰りは「短時間」なので許容されるが、完全に一人で放課後を過ごさせるのは12歳以上が目安。
2. 靴の文化
日本:上履き必須。
オンタリオ:上履きというより「インドアシューズ(室内用スニーカー)」を置いておく。外履きと完全に分けるのは冬の雪対策。
3. 給食 vs お弁当
日本:学校給食が基本。栄養士の献立で温かいご飯。
オンタリオ:基本は お弁当(ランチボックス)。冷たいサンドイッチやスナックが多い。スナックの時間は午前、午後一回ずつ設けられる学校が多い。
ピーナッツなどアレルギー食品は禁止。Student Nutrition Programsとして、スナックやランチなどが提供される。Pizza Day や Hot Lunch といった有料ランチの日がある。
4. 授業スタイル
日本:先生が一方的に教える「講義型」中心。
オンタリオ:ディスカッションやプレゼン、グループワークが多く「参加型」。発言は積極性として高評価。
5. 評価方法
日本:テストの点数が重視される。
オンタリオ:成績表には「コメント」欄が長く、努力や態度も重視。数字より「どこを伸ばすべきか」が書かれる。
6. 学校行事
日本:運動会、合唱コンクール、文化祭など全員参加型が多い。
オンタリオ:Halloween、Multicultural Day、Spirit Week など多文化イベントが豊富。運動会は地域の学校が集まる「Track & Field(陸上競技大会)」が主流。
7. 放課後
日本:部活動が日常。ほぼ全員が参加。
オンタリオ:部活は任意で、種類も季節ごと(バスケ、クロスカントリー、サッカーなど)。強制参加ではなく有志。
8. 校則の違い
日本:制服や髪型のルールが厳しい学校も多い。
オンタリオ:公立は基本私服。髪色・ピアス自由。制服があるのは私立やカトリック系。
9. 出席の扱い
日本:毎朝のホームルームで担任が点呼。クラス全員で「はい!」と返事するのが日課。欠席連絡は親が学校に電話(たまに連絡帳を兄弟や友達に託す文化もある)。
皆勤賞文化 が根強く、出席率が良い=真面目、頑張り屋とされがち。
オンタリオ:学校や学区ごとにシステムがあり、毎朝出席をオンライン(アプリや自動電話システム)で確認。
子どもが欠席する場合、親が電話・アプリで連絡必須。連絡なしだと「unexcused absence(無断欠席)」として扱われる。出席率よりも 学習状況・理解度 を重視する傾向。
<遅刻・早退>
-日本
遅刻はそのまま教室に入ることも多い(大きな学校は事務室に寄る場合もある)。
早退は親が迎えに来るが、先生が教室まで呼びに来てくれることも。アナログで、管理は担任頼み。
-オンタリオ
遅刻は親と一緒にオフィスに寄って「Late slip(遅刻カード)」をもらってから教室へ。早退も親が迎えに来てオフィスでチェックアウトするシステム。セキュリティ的に 子どもの出入り管理が徹底。
<出席と成績>
-日本
通知表に「欠席・遅刻・早退の回数」が記録される。高校入試の内申にも 出席日数が直接影響。
-オンタリオ
出席日数は通知表に載らない場合が多い。欠席が多いと親にカウンセリングや「attendance letter(出席指導の警告)」が来ることはある。
教育に関する詳細は、商工会Webサイトからも御覧いただけます。