あの人は今・・・ トロントOB 便り

USMCAの絆
MUFG Bank Mexico, S.A.
Managing Director, Country Head of Mexico 久木原 潔 (KUKIHARA Kiyoshi)

Mexico
メキシカンなノリが好きになり始めた自分

新年明けましておめでとうございます。
トロント日本商工会の皆様および『とりりあむ』読者の皆様、ご無沙汰しております。
2022年1月から2024年4月までトロントにて勤務後、現在はメキシコ・シティにて勤務しております。2022年11月号、新代表者インタビュー以来の寄稿となります。

メキシコ在住は1年が経過しようとしていますが、ラ米駐在経験の無い私にとって、メキシコ上陸は非常にハードシップの高い経験となりました。米国の隣国ながら意外と英語が通じない、標高2,200m(富士山5合目相当)と健康維持の難易度が高い、水質汚染問題により飲料水はペットボトルに依存(生野菜も消毒が必要)、治安問題で社用車は防弾仕様等、当国のネガティブ要素は枚挙にいとまがありません。

一方、「住めば都」と言うように、温暖な気候、陽気な国民性、ゴルフボール飛距離Up、豊富なリゾート地や世界遺産、タコス・テキーラ等の美味な郷土料理等、少しずつメキシコの魅力を感じ始めた今日この頃です。

メキシコには約1,500社もの日系企業が進出しており、メキシコ日本商工会の会員数も約550に達する巨大な日系コミュニティが存在します。

カナダにも類似しますが、輸出の8割は米国向け、輸入の4割が米国からと、米国への依存度が高いのが特徴です。その中でも、輸出品目は自動車や自動車部品が最大で、弊行のお客様もこの領域に携わる企業様が主体となっておりますが、これもひとえにUSMCA※の恩恵に他なりません。因みに、MUFG Bank Mexicoは従業員数約190名を擁し、当地では外銀の中でトップ3に位置する規模を誇ります。(※USMCA: アメリカ、メキシコ、カナダの3カ国間で締結された自由貿易協定、前身はNAFTA。)

USMCAと言えば、2026年7月に見直しが行われる予定です。メキシコ、カナダ共に、トランプ新大統領の洗礼を浴びる(もうとっくに浴びている?)ことが予想されますが、強固な3カ国の絆は、双方の経済依存度の高さからしても、そう簡単には崩れないと個人的には確信しております。

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メキシカン・リゾートが好きになり始めた自分 @カンクン
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MCAの絆を感じ始めた自分
カナダ三菱商事の並木社長(左)と再会 @メキシコシティ

最後に、昨年10月にメキシコ史上初の女性大統領が誕生しました。選挙戦では国全体が盛り上がった一方、前大統領肝いりの司法制度改革法案可決により司法の独立性に対する懸念が強まり、ビジネス界への影響も予想されます。

2025年もチャレンジに満ちた年になりそうですが、当国の政治動向にも十分留意しつつ、日墨の架け橋になれるよう日々精進して参ります。

メキシコへお越しの際は是非ご連絡下さい。Viva Mexico、Viva Canada!