「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第224回>
(株)カナダ日新
Nissin Transport (Canada) Inc. President 徳本 潤一

徳本社長
元ニッシントラベルサービス 岩田氏(左)と

今回はNissin Transport (Canada) Inc.の徳本潤一氏にお話を伺いました。人とモノが動くこと全般をサポートされている総合物流会社カナダ日新さん。世界26カ国に拠点をかまえ、各地域のお客様にあったサービスを展開されております。二輪事業に携わったお話、カナダへ赴任が決まった際のエピソードなど、楽しいお話を沢山お聞かせいただきました。徳本社長は2020年5月に着任されました。(聞き手:酒井智子)

事業内容についてお聞かせ下さい。
海上航空輸出入と倉庫業務を始めとして、物流全般をお手伝いさせて頂いている会社です。引っ越しなどの個人対応の業務から企業間物流全般、また別会社ですがグループに旅行代理店があり、人とモノが動くこと全般のサポート業務をしております。拠点といたしまして、ミササガに本社兼トロント支店、アリストンに倉庫、バンクーバー支店の合計3部門で事業展開をしております。

-御社の強みはどこにあるとお考えですか。
私共は欧米によくあるメガフォワーダーほどではありませんが、日系の物流会社として世界26カ国に拠点展開しており、お客様のニーズに合わせた物流サービス全般を展開しております。

お客様のニーズは様々で、「フォワーディング業務だけをやってくれ」、「倉庫業務だけやってくれ」というものから、「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス:物流機能の全体もしくは一部を、第三の企業に委託する物流業務形態)」など、各国で色々な対応をしております。そういった意味では、様々な地域に色々な物流内容が展開されておりますので、結果、総合物流としてのサービスを網羅できていると思っております。

その中でも、海外拠点で特に共通していることといたしまして、私共はどちらかというとR&D(Research and Development/研究開発)の貨物であったり、金型や機械設備など、それがないと工場や事業がスタートができない貨物の取り扱いなど納期を重要視される貨物が多く、その輸送に限って、物理上、複数の工程が関わってきます。こういった大事な貨物を当社に依頼いただけるケースが多く、いつもなんでだろう?と思っていました。

当地に来て再認識したのですがうちのスタッフはお客様の荷物をまるで自分の大事なもののように常に必死になって追いかけるんですね。そういった価値観をお客様と共有し、お客様自身の気持ちになる、意外とそんな従業員が各地にいるんですよ。「この日にできないと間に合わない」とお客様にも追い出しをかけたり、リマインダーを送ったりと、一個一個の商品と納期に対して、真摯に対応するところがグループ全体に広がっており、そういったチーム力が当社の強みだと思っております。

-素晴らしいですね。それでは、今後の展望についてお聞かせ下さい。
他の国や地域に比べトロントは輸出入のサプライチェーンのマネージメントが非常に難しい地域のように思います。というのも、バンクーバーから鉄道輸送という難関があり、その鉄道輸送が思ったよりコントロールがしにくくまた米州西岸の港で全ての船が滞り、海上便が混雑して入港が遅れるなど様々な遅延要因が重なるため、納期の遅れに対して臨機応変に対応しなくてはなりません。

私共はお客様の代理としてそういった部分を基本的に毎日細かく確認をして、発生した事項をお客様へお伝え、迅速に代替提案し、判断いただき次第手配変更をするといったことを当社スタッフは自然にやっています。基本に忠実に、またお客様への「ホウレンソウ」を迅速かつ正確に行うということは物流において一番大事で、特にこの地域で非常に重宝する部分と感じております。

その先代が構築してくれた会社としての基本姿勢を、きっちり次世代へ継承しそれに加え、システム連携なども含めて、省力化、更なるサービス向上と当社らしい部分を更に伸ばしていきたいと思います。

-それではここから徳本社長ご自身についてお聞きしていきます。ご出身と今までのご経歴についてお聞かせ下さい。
出身は大阪府堺市です。日新の大阪営業部へ入社し、30年です。入社以降、私は全然海外組ではなく国内業務中心で、担当していたのが輸入木材や水産といった一次加工品のようなものが多く、丸太や製材などにまみれユニークなお客様と悪戦苦闘していました。

カナダ国旗と徳本氏

そういった意味で、一番仕事に絡む国がカナダでしたので、当時からとても身近でした。特にBC州やアルバータ州のサプライヤーが多く、その中でもバンクーバーが中心でしたので、その当時は「将来バンクーバー支店長になれたらいいな」と思っていました(笑)。今回辞令を受けた時は、思いが叶ってとても嬉しかったですね。

初めて海外に出たのは、6年前です。ドイツのデュッセルドルフで二年半、スペインバルセロナで二年半勤務し今回、大西洋を渡ってカナダトロントへきました。余談ですが日本からみて日新グループの現地法人本社の西の端がスペインバルセロナ、東の端がトロントなんですよ。最西端の次は最東端の赴任ですので、先輩から「人事(左遷)ドラコンだな」と言われました(笑)。自身としては一番世界の端までくることが出来て、逆に嬉しいですね(笑)

-ドイツでの生活はいかがでしたか?
雰囲気や気候はカナダと似てる感じがしますが、ドイツの方が文化遺産がちょっと多いといった感じですね。自然も多いのでとても住みやすかったです。しかしすべてにおいて愛想を含めサービスをするという概念がないので、無料サービスの天国日本から初めて赴任した時は、少し戸惑いました。

その分、労働生産性が世界一ですので、メール一つにしてもおべんちゃらも書かずひたすら効率的の一言ですね。労働管理という意味では、休暇取得をしない場合には会社に罰金が課せられたり、スタッフに残業をさせすぎたら管理職個人が罰金を払わされるなど、州や国の取り締まりが厳しく、おかげで働き方改革が元々根付いているいい国だと思いました。

その後のスペインへは2.5年赴任しました。ラテン気質が性に合ったようで、本当に楽しく、思い入れが強い大好きな国になりました。

-印象に残っているプロジェクトについてお聞かせ下さい。
スペインで二輪で業務を受注、開拓できたことが本当に面白かったです。中学高校生の時に、MotoGPや耐久レース、ダカール・ラリーなどをよく観ていました。その当時『バリバリ伝説』というオートバイを題材にした漫画があり、その漫画で描かれていた内容のMotoGPや耐久レースのお手伝いができたということが、とても印象に残っています。

それにモータースポーツをやっている方は勝ち負けにこだわるので、非常に熱い人が多いんですよ。そのような周りの皆さんに触発され、仕事としてやっているのか、趣味としてやっているのか分からないくらい楽しかったです。

またスペインは晴れの国なので、走行しやすいこともあり二輪文化がしっかり根づいているんですね。ー成熟国でありながら二輪に乗るというのが生活の一部になっており、特にレジャー用の大型バイクがものすごく走っているんです。

世界レース機構の本拠地もスペインにあり、2輪レースが文化として根付いている国の当社のスタッフたちにとって「MotoGPの仕事をやっている、世界チャンピオンのバイクを運んでいる」ということは家族も、特に子供達は大喜びで、親御さんであるスタッフのモチベーションもあがるという相乗効果もありました。

お仕事を進める上で大切にされていることについて、お聞かせ下さい。
物流業務というのは、自身で発明や開発ができる部分が少ないんですね。傍ら、お客様の事業が始まった時、草案の段階ぐらいから相談を受けるケースが多いのですが、そこで事業開始や開発のバックグラウンドや色々なお話をお伺いできるんですよ。

私自身、テレビの『情熱大陸』のような話が好きなのですが、お客様のお話を聞いてていると、まさに情熱大陸ライブ版そのもので、こちらも非常にやりがいが出ます。熱意のこもったお客様の大事な物流の部分を一から一緒に手伝わせて頂くうえでお客様とのコミュニケーションは一番大切にしています。

カナダは企業にお勤めされている方だけでなく、個人で事業されている方も沢山いらっしゃいますので、そういった皆さまの話を聞かせて頂くチャンスが多いのも非常に嬉しいですね。お客様の色々なバックグラウンドを聞いて、一緒に新しい事業をやっていけたらと思っています。当社のスタッフは多かれ少なかれ皆同じ感覚かなと感じています。

ベースボール

-プライベートについてですが、好きなスポーツはありますか。
先日商工会のチャリティーゴルフ大会へ参加させていただきましたように、ゴルフです。前任の松原ほど上手くはありませんが、めちゃくちゃ大好きですね。しかしカナダにいらっしゃる方達は、平日仕事後にゴルフ場に足を運んだりとゴルフ熱がすごいですね。人数足らない時などいつでも声かけて頂ければ喜んで駆けつけます。

-今年は頻繁に行かれましたか?
そうですね。一方で、カナダは近隣でもちょっと行くと綺麗な街など良い場所が沢山ありますので、ゴルフばかりやっているのは、ちょっともったいないなという気持ちもあります。

以前であれば、駐在期間3年5年なりで、旅行は帰任が決まってから行くようにしていましたが、前任地のスペインでは、後半はコロナで旅行に行けず心の残りがあります。その反省もありますので、今は旅行など地域によってできることを先にやっておこうと思っています。先日、ケベックに行ってきましたが、とても素晴らしい街でした。

バンフ

-趣味についてお聞かせ下さい。
スポーツ観戦です。トロントはMILB、NBA、メジャーリーグ、NHLのホームチームを持っていますので、年通しで楽しむことができそうで楽しみです。やっぱり米州のスポーツ文化はすごいなと思いました。ブルージェイズは一回スタジアムに観に行きました、21年度のワイルドカード争いは本当に面白かったですね。

-今後カナダで挑戦したいことはなんですか。
せっかく道具も持ってきましたので、大自然の中でキャンプを楽しみたいですね。カナダのキャンプ(熊対策?)をしっかり勉強して臨みたいです。

-最後になりますが商工会会員の皆様へメッセージをお願いいたします。
当社は経験豊かで仕事熱心なスタッフが多く、しかし非常にアットホームな雰囲気の会社です。ミササガに来られた際は気軽に寄って頂ければ、またお声掛け頂ければどちらでもお伺いいたします。ビジネスだけに関わらず気軽にお声かけ下さい。

-本日はお忙しい中ありがとうございました。これでインタビューを終わります。