「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

Mitsui & Co. (Canada) Ltd.
President & C.E.O.  三井  剛史

今回はMitsui & Co. (Canada) Ltd. 三井 剛史氏にお話を伺いました。ビジネスモデル「創る・育てる・展(ひろ)げる」を基軸に、幅広い産業でグローバルにビジネスを展開されている同社は、1956年のカナダ三井物産株式会社設立以来、トロント・バンクーバーを拠点に鉄鋼製品や金属資源の貿易、そして幅広い産業での事業投資を推進されています。インド、フランス、アメリカに続きカナダは4カ国目の駐在、2023年12月に着任されました。前任地アメリカで携わったプロジェクトをはじめ、貴重なお話を沢山お聞かせいただきました。三井氏は今期商工会理事を務めていただいております。

-事業内容のご紹介をお願いいたします。
当社は総合商社として7つのオペレーションセグメントと16の事業本部があり、鉄鋼製品、金属資源、エネルギー、食料・リテール、化学品、モビリティ等々、幅広い産業にまたがりビジネスを展開しています。グローバルに125 拠点、約5万3,000人の人材と、491社の出資する関係会社があります。

我々の活動は貿易のビジネスに加えて、投資のビジネスがあり、これらを通じて貿易の知見、サプライチェーンマネジメントの知見、投資、ファイナンス、セールスアンドマーケティングといった機能を蓄積してきました。カナダ三井物産は、1956年に設立され、トロント・バンクーバーを拠点に鉄鋼製品や金属資源の貿易取引や、幅広い分野での事業投資を行っています。

-御社の強みについてお聞かせください。
当社のビジネスモデルは、「創る・育てる・展(ひろ)げる」を基本としています。これまでに積み上げてきた産業知見、拠点、機能、ネットワークを駆使して、新しいビジネスの種を見つけ投資をし、育て、我々のコア事業にしていきます。コア事業が確立した後は、新たなビジネスを周辺に展開し、それを掛け合わせることでシナジーを生み出し、新たな機能を提供します。これを「事業群」と呼びます。

社会課題はますます複雑化しており、単体の事業部だけでは解決できない問題も増えています。そこで、部門や産業の枠を超えたクロスディビジョナル・クロスインダストリーの事業群を通じ、社会課題に対するソリューションを創出・提供していくことが、私たちが目指すものです。

-今後の展望や目標についてお聞かせ下さい。
中期経営計画において、当社はグローバルな3つの戦略的重点分野として、「産業ビジネスソリューション」、「グローバルエナジートランジション」、「ウェルネスエコシステムクリエーション」を掲げており、この分野で新しいビジネスの創出を目指しています。

カナダ三井物産においては、産業ビジネスソリューションの分野では、EVバッテリーバリューチェーンの構築、クリティカルミネラル事業の創出、新モビリティ事業の創出に注力しています。また、グローバルエナジートランジションの分野では、水素エコシステムの創出、クリーンベーシックケミカル事業の創出にフォーカスしています。ウェルネスエコシステムクリエーションの分野では、カナダで食品・流通プラットフォームの構築に取り組んでいます。

-新規事業などはございますか。
三井物産は、カナダのNouveau Monde Graphite Inc.(NMG)と協力して、リチウムイオン電池の主要材料である負極材の製造に向けて取り組んでいます。具体的には当社はNMGに出資、北米での負極材の一貫生産を目指しています。まだオペレーションは始まっておりませんが、このプロジェクトは、北米における電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池材料のサプライチェーン構築に貢献することを目指しています。

-ご出身、今までの経歴についてお話しください。
1969年東京都出身です。1993年に三井物産へ入社しました。入社後に自動車本部(現モビリティ第一本部)に配属され、2年間ほどトルコ、フィリピン向けの自動車、自動車部品輸出を担当しました。その後は、新規事業投資と会社立ち上げ、既存関係会社のターンアラウンド、関係会社周辺への新規事業投資等を経験しました。

海外の出資が多い会社でしたので、新規投資をして会社へ出向する、あるいは既に投資をしている会社へ出向することが多く、インドへ4年間、フランスへ7年間、米国へ5年間出向しました。インドでは新規投資をして会社を立ち上げる、フランスでは既に出資している会社の事業を立て直す、米国は既に出資している大きな会社の周辺に新しい事業を作るという仕事に携わりました。

-インド、フランス、米国と全く違った環境だったかと思いますが、生活はいかがでしたか。
インドは1998年から2002年まで、新規投資をした会社への出向でしたが、当時はまだ道路インフラなども整備がされていませんでしたので、日本のような便利さはなかなかありませんでしたが、現地の方も皆さんとても優しく、4年間無事にミッションを遂行することができました。

フランスは会社の立て直しでの出向でしたのでプレッシャーがありましたが、現地のメンバーとともに課題を一つずつ解決しながら、最終的には皆さんの力もあり、成長軌道に乗せる事ができました。最初の2,3年は正直辛かったですが、一緒に会社を立て直したという経験は私にとっても大変勉強になり、今でもいい思い出です。

-今まで一番印象に残っているプロジェクトは何ですか。
カナダ赴任前に取り組んだ米国での事業投資です。米国出向中から携わり、日本へ帰任後は責任者となり、日本側から米国のチームと進めておりました。他案件よりもかなり金額が大きく、デューデリジェンスなどを通じて想定しなかったことが見つかったりと、実現するまで紆余曲折があり、交渉はしびれるものでした。時には米国のチームから夜に電話をもらって、翌日米国へ飛ぶようなこともありましたが、最終的に合意に至ることができました。私のキャリアの中でも、特に印象に残っているプロジェクトです。

-お仕事を進める上で大切にされていることは何ですか。
三井物産には、経営理念(MVV: Mission, Vision, Values)があり、Mission は世界中の未来をつくる。大切な地球と人びとの、豊かで夢あふれる明日を実現します。というもので、私はこれをとても大切にしています。Missionは意思決定における基準となるだけでなく、自分たちの仕事がどのように社会に貢献しているかの理解ともなり、ステークホルダーとの信頼関係の基盤ともなるからです。

当社が様々な事業をやっている中で、どのような仕事も世界中の未来を作ることに繋がっていると思っています。私もこの経営理念をとても大切にしながら、カナダでの仕事に取り組んでおります。

-お好きなスポーツや趣味、休日の過ごし方などについてお聞かせください。
そんなに多趣味の人間ではないのですが、小学校二年から高校卒業までずっとバスケットボールをやっていました。バスケットは見かけよりも結構激しく、小さいコート内をずっと休みなく動き回り、体力がないとできないスポーツです。おかげさまで鍛えられ、当時は私も1分間の心拍数が30程度となるアスリート心臓となりました。今はすっかり元通りですが(笑)、それもあり、NBA観戦も好きです。休日は割とリラックスをして過ごしています。本が好きなので読書をしたり、映画を見たりしています。

-今後、カナダ駐在中に挑戦したいことは何ですか。
海外4カ国目となり、当たり前ですが、同じ分野の仕事をしていても文化やビジネス習慣というのは本当に違いますので、一からカナダの文化やビジネス習慣を理解して、異文化コミュニケーション能力を高めたいです。

カナダは多文化社会であり、さまざまな文化背景を持つ人々が共存しています。この環境で働くことで、異なる文化や価値観を尊重し、理解する力を養いたいと考えています。それぞれの文化背景や価値観を尊重しながら、多様性を活かして力を発揮できるよう、会社としても自分としても挑戦していきたいと思っています。

-商工会会員の皆様へのメッセージお願いいたします。
カナダへ赴任して1年程経過しました。自分一人では新しい環境でやっていけないので、皆様のサポートを得たり、商工会の皆様と交流をしたり、学ばせていただいたりしながら、カナダで赴任生活をしっかりやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

本日はお忙しい中、ありがとうございました。