F & P Mfg., Inc. (DYNA-MIG, A Division of F&P Mfg.) 渡部浩幸氏にお話を伺いました。主に自動車のタイヤやサスペンションを支えるシャーシ部品、サスペンション部品の開発、製造・販売を行う同社は、オンタリオ州で長年生産をされ、その開発力と経験豊富なメンバーを活かし、様々なメーカーと提携しています。TottenhamのF & P Mfg., Inc.とStratfordのDYNA-MIGの2ヵ所に拠点を構えられており、渡部氏は両拠点を担当。これまでの経歴をはじめ、メキシコ駐在時に始められたお菓子作りのお話などもお聞かせいただきました。渡部氏は2023年5月に着任されました。
–事業内容のご紹介をお願いします。
当社は、主に自動車のタイヤやサスペンションを支えるシャーシ部品やサスペンション部品の開発から製造を行っています。製品の開発からプレス、溶接、塗装、組立てを基本に製品の製造をしています。私はカナダの2つの生産拠点、TottenhamのF & P Mfg., Inc.とStratfordのDYNA-MIGを担当しています。当社は日系および北米系の自動車メーカー様と取引をしており、親会社は㈱エフテックです。
–御社の強みについてお聞かせください。
弊社は、自動車メーカー様から提示されるスペースや強度、重量などの要件をもとに、開発段階から、強度・耐久性とコストバランスの取れた部品の提案を行っています。開発から生産までを一貫して行えることが、弊社の強みです。
F&Pは1986年、DYNA-MIGは1997年に設立され、オンタリオ州で長年生産を行っています。ベテランのローカルメンバーも多く、信頼できるスタッフが揃っています。現在の最高顧問の福田氏もこのプロジェクトのプロジェクトリーダーとして関わっており、特別な思い入れがある工場です。開発力と経験豊富なメンバーを活かし、様々なお客様と連携できることが、弊社の最大の強みです。
–今後の展望についてお聞かせください。
F&Pは設立から約40年、DYNA-MIGは約30年が経過し、その間に工場の拡張などを行ってきましたが、初期に建設した建物や設備の老朽化が見られるため、長期的な計画で工場のリフレッシュを進めています。
環境に配慮した工場を目指し、ローカルメンバーからの提案を受けながら、修理や設備の入れ替えを行い、省エネ工場への変革を図ります。また、今後10年から20年でベテランスタッフが退職することを見越し、ローカルの役員や他のメンバーと協力して人材育成にも力を入れていきたいと考えています。
新製品という部分では、ほぼ毎年、自動車のニューモデルに対応するシャーシ部品の製造があり、今年と来年も2つの新機種の立ち上げを予定しています。あるお客様の新しい電気自動車向けには、DYNA-MIGでシャーシ部品の溶接と塗装・組立を、F&Pでプレス加工を担当します。現在、これらの新機種に向けた生産準備を進めております。2026年以降にも他の新機種の受注が決定し、準備を開始しています。
–ご出身、今までのご経歴について教えてください。
埼玉県出身で、専門学校卒業後の1984年に株式会社エフテック(当時の福田プレス)に入社しました。当時、Hondaさんの部品をメインに製造し、工場も埼玉県久喜と三重県亀山の2つのみで、規模は約1000人以下の会社でした。入社後は久喜工場の技術課で新機種の段取り推進を担当し、その後生産技術部に配属され、海外向けのプレス金型推進を担当しました。
1986年にカナダ進出を決定してF&Pができ、その後北米で生産する新機種が増加しました。その北米向けの新機種の段取担当をしておりました。以降、Honda様の車種が増え、生産拠点もイギリスやタイ、中国へと拡大しその新機種の計画推進業務や営業でセールスエンジニアの業務等々を行っておりました。2006年からはアメリカの北米本社で営業業務やアメリカの生産拠点で新機種推進の業務を担当しておりました。
2013年に日本へ帰国し、海外向け生産段取りや開発アドバイスに携わった後、2018年にメキシコの拠点の社長に就任しました。メキシコでは、主にGM様向けのSUV部品を製造しており、色々な経験を積ませて頂きました。そして昨年5月にカナダに着任しました。F&Pは昔から働いているベテランスタッフが多く安心して業務を進めていけてます。
–今までで印象に残っているプロジェクトについてお聞かせください。
初めての選任のプロジェクトに配属されここF&P向けの94年モデルの新機種の金型を担当しましたが、その段取の出来が良く特に印象に残っています。金型メーカーさんの協力もあり、仕上がりが良かったことに加え、その車自体も大変よく売れたことが強く記憶に残っています。
–お仕事を進める上で大切にされていることはなんですか。
エフテックの五つの経営方針で進めています。「我社は、全社員の和と誠をもって基本とする」「我社は、理論と行動を一体と為す」「我社は、日々新しい考えを持って若さを保つ」「我社は、良い品質を持って価値を生産する」「我社は、地域社会との協調を尊重する」迷った時はこれを読み返しています。
–プライベートな時間は、何をしてお過ごしですか。
夏のシーズンといえばゴルフですね。毎週、DYNA-MIGとF&Pの駐在員とゴルフを楽しんでいます。昨年までF & Pにはゴルフをする方がいませんでしたが、今年から2名増えたので、両方の拠点のメンバーと10月頃まで楽しむ予定です。実はアメリカに駐在するまではゴルフをやったことがなかったのですが、当時の上司の勧めで始め、今でも続けていて良かったと思っています。
もう一つの趣味は料理です。メキシコやアメリカ駐在時は美味しいレストランが少なく、メキシコでは単身赴任だったこともあり、特にコロナ禍では自炊が主でした。その時にチーズケーキ作りに挑戦し、毎週作っては失敗してレシピを修正してまた挑戦をしうまくいくまで30個くらい作り続けました(笑)。カナダでも挑戦しようと思ったのですが、メキシコと比べて材料が高く、オーブンの違いもあり一度失敗して以来作っていませんが、今年はまた挑戦したいと思っています。
–レシピはどこから探しましたか?
料理の本は元々持っていたので、それを見ながら作っていましたが、なかなかうまくいかず…ネットで調べると動画付きのレシピが出てくるので分かりやすいですね。それをアレンジして作っています。メキシコにいた時は、スフレチーズケーキが売られておらず、日本のケーキが食べたくなり、チーズケーキに挑戦しましたが、カナダでは売られているので、それを買えばいいかなと(笑)。
カナダには何でもあるので、びっくりしました。そうこうしているうちに冬になり、やることがなくなってしまうので、そろそろまたチーズケーキ作りを始めようかと思っています。
–昨年の冬はどう過ごされていましたか?
インドアゴルフを楽しんでおり、毎週、他の駐在員の方と三人でインドアゴルフをプレイした後、新しいレストランを開拓するのがセットの楽しみになっていました。スキーもやりますが、メキシコから直接カナダに移動したため、スキー板や冬用の服を持って来れませんでした。次回、一時帰国する際にできれば持ってこようと考えています。
–最後になりますが、商工会会員の皆様へメッセージをお願いいたします。
2023年5月にカナダへの駐在が始まり、一年が経ち、ようやく慣れてきました。これから業務上でもプライベートでも、お会いすることがあるかと思いますので、色々教えて頂き、充実したカナダ駐在生活を送りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
-本日はお忙しい中ありがとうございます。これでインタビューを終わります。