「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第221回>
日本政府観光局トロント事務所
Japan National Tourism Organization(JNTO)  
Executive Director 豊田 健

Mr Toyoda

今回は、日本政府観光局(JNTO:Japan National Tourism Organization、正式名称:独立行政法人 国際観光振興機構)の豊田健所長へお話を伺ってまいりました。JNTOは、世界22都市(2021年8月現在)に事務所を構え、海外現地目線にあったプロ モーションやマーケティングを行い、外国から訪日顧客を誘致する唯一の公的機関であり、日本の広告塔です。パンデミックの状況下、SNS等オンラインを 使ったプロモーションに力を入れているJNTOトロント事務所の活動や、豊田所長ご自身のユニークなご経歴、現在のインバウンド事業に携わる以前の民間企 業での業務、海外留学などについてもお聞かせいただきました。(聞き手:酒井智子)

-日本政府観光局  Japan National Tourism Organization(以下JNTO)さんの事業内容についてお聞かせ下さい。
私どもJNTOは、前回の東京オリンピックが開催された1964 年に、我が国の政府観光局として産声をあげ、50年間にわたって訪日外国人旅行者の誘致に取り組んできた日本の公的な専門機関です。JNTOは現在世界 22都市に海外事務所をかまえ、それぞれの事務所で外国人の訪日旅行の促進に向け、海外現地目線にあった日本へのインバウンド・ツーリズム(外国人の訪日 旅行)のプロモーションやマーケティングを行っております。

JNTOの活動には、主に4つの事業領域があります。海外プロモーション事業、MICEの誘致・開催の支援、日本国内における訪日旅行者の受入環境整備・ 向上の支援、そして市場分析・コンサルティングです。MICEとは、Meeting:企業等の会議、Incentive:企業等が行う報奨・研修旅行、 Convention:国際機関・団体、学会等が行う国際会議、Exhibition/Event:展示会・見本市、イベントのことです。それぞれの領域 において、日本へのインバウンド集客拡大に向けた各種施策および関係各所への支援を実践しております。

-JNTOさんの強みについてお聞かせ下さい。
私共は、外国からの訪日顧客を誘致する唯一の公的機関であります。日本国民の税金を使用させていただいておりますので、一つ一つの事業や施策における成果 や効果の追求は、非常に強く求められておりますが、公的機関がゆえに、利益至上の考え方とは異なり、安定的かつ公正、公平な各種活動の実践が可能である部 分が、強みの一つだと考えております。

また、インバウンド・ツーリズムのプロ集団として、世界22都市の海外事務所の持つネットワークを活用して、世界中から様々な情報を収集し、分析をした上 で、日本国全体としてのマーケティング戦略を構築し、国内外の関係機関の皆様と共に、日々活動を実践している点も強みであると考えております。

-今後特に力を入れていきたいことについてお聞かせ下さい。
ご存知の通り、カナダ人の訪日旅行は、現在パンデミックの影響で一旦リセットされている状況です。そういった状況の中、カナダ人の「旅行」というレジャー に対する考え方や、訪日旅行のようにロングホール(長時間のフライト)の旅行に対する意向、更には、旅行先に求めるもの等が少々変化してきているのではと 感じております。

これはまだ仮説ではありますが、今後は、ニューノーマルを見据えた「安全」、「安心」、「人が密集しない」などといったキーワードが重要になってくるかも しれません。その辺りも含めまして、カナダ人の訪日旅行に対する最新の意向、趣向をしっかりと把握したうえで、それにマッチした日本の観光の価値や魅力を 発信し、パンデミックが終了しましたら、いち早いカナダ人の訪日旅行復活を目指したいと考えております。

それに伴い、本来の我々の目的である日加両国間の相互交流や相互理解といった部分で、もうワンステップアップしてきたいと思っております。

-今年度はカナダ市場に向けてのウェブサイト、SNS、YouTubeでの各種情報発信に積極的に取り組んでいらっしゃるということで、早速拝見しました。素敵な写真ばかりで日本が恋しくなりました。
SNSやWebサイトといったオンラインでの各種活動及び訴求は、実は今まで当事務所として弱い部分でありましたが、今年は力をいれていこうと考えており ます。具体的に申しますと、Webサイトは、基本、世界共通の内容となっていますが、カナダ版Webサイトでは、カナダ市場向けに各種情報等を追加してお りますし、SNSに関しましては、まさしく今年から今までにない写真を集めたり等のトライアルをしているところです。

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-新型コロナウィルス感染症対策や訪日旅行中の緊急事態時の対応を分かりやすく伝えるピクトグラム(絵文字)をリリースされたそうですが、こちら家紋をイメージされているんですね。
そうですね。こちらは2021年2月に世界中に向けてプレスリリースさせて頂きました。家紋をイメージし、特にCOVIDに関連したものをデザインしたピ クトグラムとなっており、将来的に訪日される方にとって分かりやすく安心感を与えるモノとして日本国内の自治体や、その他観光関連の方にお使いいただくこ とができます。ピクトグラムは、今回の東京オリンピックの開会式でも話題になりましたね。

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-ここから豊田所長ご自身についてお話を伺いたいと思います。ご出身とご経歴についてお聞かせ下さい。
ユニークな経歴で少々長くなります(笑)。出身は東京です。小学校5年生から中学校2年生まで父親の仕事の都合で秋田におりました。その後、東京へ戻り高 校から大学にかけては、勉強はほとんどせず、ラグビーに打ち込んでおりました。大学卒業後、大手旅行会社へ就職し、8年程営業職をしてから、一念発起し、 旅行会社を退職、自費でカナダのバンクーバーへ留学しました。

その後、更に米国のラスベガスへ移り現地の大学で勉強を続け、卒業後はロサンゼルスのビバリーヒルズにある高級ホテルに勤務しておりました。その後、日本 へ戻り東京のFour Seasons Hotelで2年程営業の仕事をした後、東京ディズニーリゾート(オリエンタルランド)へ転職し、そこで初めてインバウンド事業に従事しました。当時はア ジア地区からの集客が中心でしたね。

東京ディズニーリゾートで8年間働いた後、2017年4月にJNTOへ転職しました。JNTOでは日本の本部でMICE誘致に関する部署を経た後、海外プ ロモーションの部署に異動し、2021年1月にカナダに赴任いたしました。もしかするとカナダへ以前留学した経験があるので、今回配属になったのかもしれ ませんね。

Mr Toyoda

-様々なご経験をされているのですね。その中で印象に残っているプロジェクトについてお聞かせ下さい。
最初の就職先の大手旅行会社へ入社した頃は、ちょうどバブルが弾けた後で、普通の社員旅行等を取り扱う部署の営業マンであった私は、全く仕事が無い状況で した。そのような中、当時の所属部署の先輩や仲間と一緒に立ち上げた、企業様の研修を専門に取り扱う新たなプロジェクトチームに参画しました。当時の旅行 会社からすると通常の観光性の旅行ではなく、企業の研修のサポートをするという全く新しい分野に取り組み、かつ一定程度の成果を上げることができました。

また、東京ディズニーリゾート時代には、ちょうど現在JNTOが取り扱っているようなインバウンド客が急激に伸びている時でしたので、積極的にアジアの国からの集客を増やすためのプロモーションやプロジェクトを実践し、着々と集客を増やしていきました。

-お仕事を進めるうえで大切にされていることは何ですか。
私自身、長らく観光やサービス業に携わっておりますが、一般的にサービス業において一番大切なのは「顧客=お客様」であるとよく言われております。しか し、以前読んだ本に「サービス業の管理職は、従業員を“顧客=お客様”として、もてなすべきである、なぜなら従業員が満足でき気持ちよく仕事ができると、 結果として従業員が最終的なお客様に対していい仕事ができる」と書かれていました。

今は、そのことを心に留めて、日々働いております。また、個々の担当者や部署だけではなく、組織としての全体最適を常に念頭においた上での活動、更には、業務上関係する組織の皆様とのwin winの関係を構築する事もモットーとしております。

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-プライベートについてお聞きいたします。好きなスポーツやご趣味はありますか。
ラグビーをやっていたので、やはり一番好きなスポーツはラグビーですね。今は年齢的にできませんが(笑)。趣味はスポーツ観戦で、トロントに来たのでメジャーリーグやNBA、NHLを観戦しに行きたいですね。ちなみに、日本のプロ野球では、熱狂的な(?)阪神ファンです。

休日はウォーキングやサイクリングなどを楽しんでいます。もともとお酒も好きですので、飲むのも趣味の一つですね(笑)

-今後カナダ駐在中に挑戦したいことは何ですか。
スポーツやボランティアなど、現地のコミュニティーに参加して、ネットワークを広げられるような事に挑戦したいと思っています。

-最後に商工会会員の皆様へメッセージをお願い致します。
公的機関ということで、業務上民間の皆様との交流の機会は、なかなか無いかもしれませんが、私自身、民間企業出身ですので、プライベートを含め是非皆様と積極的に交流をさせて頂ければと思っております。

また、日本は今後引き続き、観光立国を目指して参りますので、商工会会員の皆様にも、頭の片隅に日本の魅力をアピールすることを置いていただき、カナダで の日本ファンの拡大にご協力をいただけますと幸いです。スポーツ観戦やお酒を飲む機会を頂ければ、どこまででも行きますので(笑)、是非、お声がけ下さ い。

-本日はお忙しい中ありがとうございました。これでインタビューを終わります。


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