「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第234回>
MUFG Bank, Ltd., Canada Branch   
Deputy Head of Canada Branch   久木原 潔

Mr Kukihara

今回はMUFG Bank, Ltd., Canada Branch副支店長久木原 潔氏にお話を伺いました。三菱UFJフィナンシャル・グループは、世界に2,400カ所もの拠点を構え、「世界が進むチカラになる。」をパーパスに、グローバルに展開されている企業様のサポートを各国でされております。長らく非日系企業業務を担当されていた久木原氏。香港、オーストラリアでの駐在時の貴重なお話をお聞かせいただきました。プライベートではゴルフ、釣り、スキー、スケートとアクティブな久木原氏は2022年1月にカナダへ着任されました。(聞き手:酒井智子)

-御行の事業内容の紹介をお願いいたします。 
在カナダの日系企業様および非日系企業様へのご融資、並びに預金を含む決済・FX商品のご提供をしております。運転資金のご提供や、倉庫や工場の新設・増設時の設備融資のご提供、また、証券化・プロジェクトファイナンス等、お客様のニーズに応じたファイナンス手法のご提案もしております。私は副支店長を兼務しつつ日系ビジネスを担当し、カナダ人の支店長であるCraig Gardner氏が非日系(カナダ企業)ビジネスを担当しております。

お取引規模はカナダ企業様向けの方が格段に大きく、地域に根差した運営を行っております。一方、私が担当している領域は、サブシディアリーバンキング(subsidiary=子会社)と申しまして、日系企業様のカナダ現地法人・支店様とのお取引が主体となっており、日本に本社のある企業様がグローバル展開する際に必要となるサポートを様々な角度からご提供しております。

1954年に設立された東京銀行トロント出張所が現カナダ支店の起源となっており、現在行員数は約180名内、本邦からの派遣は7名です。

-御行の強みはどこにあるとお考えですか。
弊行は本邦における3メガバンクの一角であり、グループで世界約2,400カ所に拠点を構えております。日本国内では個人3,400万人、法人110万社と本邦最大規模の顧客基盤を有し、拠点数は国内489拠点、海外は米州・欧州・アジアの地域に計1,915拠点ございます。

特にアジアには力をいれており、国内のみならず海外でも相応のプレセンスを擁し、ネットワークが非常に強いということが強みです。カナダ支店だけでやれることには限界がありますが、日系企業様、非日系企業様ともグローバル展開されておりますので、「点」ではなく「面」でのサービスをご提供できるということも、当行の強みであります。

特に米国においては、プロジェクトファイナンス・リーグテーブルでトップを維持しており、モルガンスタンレーとのアライアンスにおいても、M&A案件へのファイナンスを積極的に支援しております。

-今後、特に力をいれていきたいことについてお聞かせ下さい。
銀行業といいますと、預金や融資といった伝統的な業務を想像されるかもしれませんが、近年は車の電動化やESG、DX(デジタル・トランスフォーメーション)といった新しい時代の流れが到来しています。

脱炭素化やデジタル化に向け、様々な技術・資源開発やインフラ構築に取り組まれている企業様の相談役並びにパートナーになることも銀行の使命であると考えております。単にお貸し出しをする、預金を頂くというだけでなく、お客様へしっかり寄り添い、「世界が進むチカラになる。」をパーパスに、従業員一同活動しております。

-久木原氏ご自身についてお伺いいたします。ご出身から今までのご経歴についてお聞かせ下さい。
1974年福岡県福岡市に生まれました。「生粋の九州男児」と自称しておりますが、銀行員(=転勤族)であった父親の仕事の関係で、生後8ヵ月でNYへ渡航、その後は東京、名古屋、東京、川崎を転々とし、中学2年生の時に再度NYへ転校、現地高校卒業後に川崎へ戻りました。小学校は3校、中学校は2校違う学校へ通う経験をした為、幼馴染は一人としておりませんが、色々な地域に沢山の友達がいると前向きに捉えています。

都内大学を卒業後、平成10年に東京三菱銀行(Bank of Tokyo Mitsubishi)へ入行、麻布支店、経営企画室、横浜支社、国際審査部、アジア投資銀行部(香港)、シンジケーション室、シドニー支店、そして本年1月にトロントに着任いたしました。

-シンジケーション室とは、どのような業務をされるのですか。
シンジケートローン(以降、シローン)とは、お客さまの資金調達ニーズに対して、アレンジャーが複数の金融機関を取りまとめてシンジケート団を組成し、一つの契約書に基づいてお貸し出しを行う融資形態です。

私は、シローンビジネスを展開する在欧米亜の投資銀行チームと連携し、グローバルベースの施策を立案したり、日本を含む各地域の金融機関・機関投資家様の貸出(投資)需要を把握し、各国のお客さまの資金調達チャネル多様化を支援する業務に従事しておりました。

-初めての駐在地である香港はいかがでしたか。
香港には5年間駐在しましたが、大変活気のある国でした。皆様もご存じの通り、香港は1997年7月に中国へ返還されましたが、その後も一国二制度のもと国際金融センターとして発展してきました。

若者のグルメやファッションも盛んで、中心街の一角である銅鑼湾(コーズウェイベイ)は「眠らない街」としても有名。人口730万人と非常に小さい国ではありますが、海外からのアクセスも良好で、様々なジャンルのグルメを楽しむことが出来ます。当方のお薦めは何といっても飲茶でしょうか。飲茶ランチでは、青島(チンタオ)ビールは欠かせません。

また、日本から近いこともあり、アピタ(ユニー)、AEON、そごう等、日本食材・雑貨等も手軽に揃います。子供の大好物であった戦隊シリーズの玩具は、1~2世代前の物であればアピタやAEONでも購入でき非常に便利でした。

一方、私がまだ滞在していた2014年には、「雨傘運動」や”Occupy Central”等と名付けられた民主化運動が活発化し、弊行香港支店近隣の幹線道路がデモ隊により占拠されました。その後、デモ隊と警察との衝突が発生した際には、デモ隊に向け催涙弾が撃ち込まれる等の混乱が発生し、先進国にて稀に見る光景を目の当たりにしました。

当時はオフィスへの通勤が困難と判断され、バックアップサイトにて勤務することもありました。香港の若者達が民主化を勝ち取ろうと奮闘している姿は非常に印象に残っています。

-いままでで印象に残っているプロジェクトについてお聞かせ下さい。
シドニー駐在時の2019年、ラグビーワールドカップが日本で開催されましたが、オセアニア企業幹部を同大会観戦へご招待したことでしょうか。ラグビー愛の非常に強いオーストラリアおよびニュージーランド企業幹部複数名を日本へお連れし、本邦金融機関や機関投資家を紹介するイベントの一環として、ワラビーズ戦とオールブラックス戦に夫々ご招待いたしました。

予算の関係で、旅行会社に頼らず自らホテル予約、観戦チケット購入、レストラン予約、添乗員手配等の全てを行いましたが、やはり海外からリモートでこれらをアレンジするのは非常に大変です。

お客様の一人が甲殻類アレルギーと判明し天婦羅屋での会食を急遽変更したり、予約していたハイヤーが迎えに来ないと休日に上司から国際電話が入ったりとトラブルは尽きませんでしたが、ラグビーを通じて日本の金融マーケットや伝統を海外のお客様へお伝え出来たことは非常に良い思い出として記憶に残っています。銀行員の本業ではありませんが、「おもてなし」の精神は常に大事にしたいですね。

-前任地のオーストラリアからカナダへと全く気候が違う国へ着任されましたが、着任当初はいかがでしたか。
着任は今年の1月です。シドニーの真夏からカナダの真冬への渡航は、身体への負担は相当でした。さらに着任した翌週は大雪で、その様な日がまた来ると思うと怖いです(笑)。

もう一つ、トロントには海がないというのは大きな違いだと思います。シドニーは車で20分も走れば、エメラルドグリーンの海と綺麗なビーチが幾つもありますが、トロントには湖しかありません。最近、海が非常に恋しくなっています。

-お仕事面での大きな違いはどのような点ですか。
シドニーでは非日系の部署に所属していた為、オーストラリア企業、ニュージーランド企業のビジネスをサポートする企画業務に従事しておりました。よって日系企業様との接点は殆どありませんでした。今までの経歴でも長年非日系業務に従事していたため、今回の役職とは、まったくマインドセットが異なります。今回、久しぶりに日系企業様とのビジネスに携われるということで、当方にとってはチャレンジングですが、非常に楽しみです。

-お仕事を進める上で大切にしていることについて、お聞かせ下さい。
非常にシンプルですが、内外のカウンターパートに対して「誠実」であること、またどのようなご質問・ご照会についても「クイック レスポンス」を常に心掛けることです。

RBC Canadian Open
本年6月、RBC Canadian Openを生観戦。連覇したローリーマキロイとの記念撮影

-プライベートについてお伺いいたします。お好きなスポーツは何ですか。
じっとしているのが嫌いで、週末や休日は基本的には外出しています。自分で行うスポーツとしては、ゴルフ、釣り、スケート、スキー。スポーツ観戦としては、主にゴルフ、テニス、NHLが好きです。

シドニーは年中ゴルフが出来ますが、トロントは夏にはゴルフ、冬にはスケート、スキーといった具合に、シーズン毎に違うスポーツを楽しめるのが魅力的です。今年の夏はゴルフコースでのラウンドは勿論、Markham Golf Domeでの自主練を重ねました。残念ながらスコアは大して改善しませんでしたが、お蔭様でゴルフエルボーにはしっかりお世話になりました。

Fishing
ボートをレンタルし家族でのんびりフィッシング(2020年4月@Sydneyボタニー湾)

カナダでの釣りは未経験ですが、シドニーではボートライセンスを取得し、レンタルボートで家族との海釣りも堪能しました。最近Amazon Kindleを購入したので、この冬は読書にも励もうかなと思っているところです。

-今年の冬に来られた際、スキーやスケートはされましたか?
次男が私の後を追って2月に来加したので、息子と二人で近隣公園のリンクでスケートをしたり、ブルーマウンテン等の近場で何度かスキーにも行きました。

-冬の楽しみがあるといいですね。今後、カナダ駐在中に挑戦したいことについてお聞かせ下さい。
ビーチリゾート好きの息子の意に反して、カナダ国内旅行をすることです。Whistlerにはスキーを含め是非行ってみたいです。

8月下旬、5泊6日でサンディエゴへ息子と旅行に行き、海水浴やゴルフを楽しんだのは勿論、LA在住の妹夫婦とも数年ぶりに再会しました。カナダへ来てからは国内旅行がまだ出来ておりませんので、是非色々な場所に訪れたいと思っています。

Ski
本年3月、次男とBlue Mountainsにてスキー。リフト搭乗時はマスク着用!

-最後になりますが、商工会会員の皆様へメッセージをお願いいたします。
商工会主催の懇親会・ゴルフコンペ等のイベントには必ず参加するようにしております。今後もより多くの方々と対面にてご挨拶させて頂き、「トロントに久木原って奴がいたなぁ~」と皆様の記憶に残るよう積極的に活動して参ります。引続き宜しくお願い申し上げます。

-本日はお忙しい中ありがとうございました。これでインタビューを終わります。