「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第227回>
YUSEN LOGISTICS ( CANADA ) INC. 
カナダ郵船ロジスティクス㈱ Vice President 永井 信隆 

Mr Nagai

今回はカナダ郵船ロジスティクス㈱ の永井氏へお話を伺いました。世界各国、グローバルに拠点展開されている郵船ロジスティクス㈱ さん。永井氏はカナダ郵船ロジスティクス㈱ で副社長をされております。物流を通して世の中に貢献し、お客様に高品質なサービスを提供していくための人材育成に取り組まれているお話を始め、ご趣味であるスポーツ観戦、釣りのお話などお聞かせいただきました。永井氏は、2021年6月にカナダへ赴任されました。

-御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。
カナダ郵船ロジスティクスは、海上と航空の輸送事業(フォワーディング)、倉庫業(コントラクト・ロジスティクス)、サプライチェーン・ソリューションの4つの事業を柱とし、カナダにおける物流事業を行っています。郵船ロジスティクスは世界47の国と地域に展開しており、595の拠点を持っています。

世界に拡がるネットワークを生かして、多様化高度化するお客様のご要望に陸海空の輸送モードの最適なソリューションを展開し、世界で認められ選ばれ続けるサプライチェーン・ロジスティクス企業になることを目指しています。現在カナダの社員数は約100名で、日本からの出向者は1名です。

-御社の強みについてお聞かせ下さい。
私たちはフレートフォワーダーと言われており、国際複合輸送を中心とした総合物流業です。私たちの強みは、以下3つの点と考えます。1つ目はどれだけ拠点があるか。いわゆる「ネットワーク力」、2つ目は「会社の健全な運営と社会貢献」です。そして3つ目は、「人材」です。

強みの1つ目の「ネットワーク」に関しては、日本、米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニアの5極で、グローバルネットワークを生かしたサプライチェーン・ロジスティクスサービスを提供しています。2つ目の「会社の健全な運営」としては、日本郵船グループの一員として、積極的にコンプライアンス推進、環境対策、社会貢献活動を行っています。

特に最近はサプライチェーン全体における環境に配慮した輸送ニーズが高まっており、当社は“2050年までにお客様へ提供する全サービスのネット・ゼロエミッション化”を環境目標に揚げ、取り組んでいます。

3つ目の「人材」は、従業員のエンゲージメントを高める取り組みを継続的に行い、お客様を本質的に理解し、各産業の専門知識を深め、より密接で永続的な信頼関係を築けるように努めています。当社はグループ経営理念に「私たちの想い(Vision)」「私たちの使命(Mission)」「私たちの価値観(Values)」を掲げ、集約する言葉として私たちの約束(BRAND PROMISE)に“Create Better Connections”を定めています。

あらゆるステークホルダーと世界中でより良い関係を築き、サステナブル(継続して発展)な社会の実現に貢献していくため、まずは良い人材を育てるという大前提があります。そしてロジスティクスを通して、より良い社会を作らなければいけません。私たちのミッションは、ビジネスと社会の持続的な発展に貢献することです。世界中の従業員が同じ使命を共有し、良いサービスをお客様に提供できるよう努めています。

-今後力をいれていきたいことは何ですか。
私たちの仕事は「物を運ぶ」という一見地味な作業となります。当たり前のことですが「いかに物を安全に運ぶか」、倉庫の部分では「いかに物を安全に管理するか」、ということを突き詰めることで、お客様から貨物をお預けいただけるのではないかと思っています。

一方で、物を運ぶ環境は昨今、目まぐるしく変化していると感じています。サプライチェーンの混乱や、デジタライゼーションなど外的環境が変わってきていることを考え、変えなくてはいけない点、変えてはいけない点を見極めて、先を見据えていくことが重要です。

“止めない物流、当たり前に物がある物流”を維持するためのロジックが変わりつつある中、まずはお客様の考えをお聞きし、我々としてより良い提案ができないか、つまりお客様のサプライチェーンの深い部分にまで踏み込んで話ができるようになる会社を目指しています。

-ここからは永井さんご自身について、ご出身や今までのご経歴をお聞かせいただけますか。
生まれも育ちも大阪です。ちゃんと地元の関西弁(正確には地元の河内弁)を話すことができます。学生時代も関西で過ごし、この会社へ入社しました。入社後は大阪に4年、神戸に7年半、アメリカに7年半、その後日本へ戻って浜松に4年、そして2021年6月にカナダへ赴任しました。

まさかカナダへ来るとは思いもしていませんでしたが、以前アメリカのビザの更新のためにオタワ大使館へ行く機会があり、そこでカナダ国旗のピンバッジをもらったんですね。それを10年くらいずっと失くさずにペンケースにつけていました。「何でアメリカじゃなくてカナダ国旗なの?」と言われたこともありましたが、今回のカナダ赴任に縁を感じています。

入社後、最初に配属されたのが航空貨物輸送の業務、いわゆる航空会社へ貨物のブッキングをしたり手配したりする部署に4年間いました。その後の神戸では、航空と海上の総合営業をしました。アメリカ・テキサス州では、航空貨物輸送と合わせてアメリカとメキシコの貿易拡大の事業に取り組んでいました。加えて、当時シェールガスブームでケミカル産業がヒューストンへ集まっていたので、ケミカル系の輸出の立ち上げにも携わりました。

また、当時はアメリカ南部とメキシコの工場新規稼働が多く、設備輸送も多数手配しました。設備輸送は毎日胃が痛い日々が続くものの、終わってしまうと寂しいものがあり、職業病かと思いました。また、いつも大都市からちょっと外れたところでの勤務でしたので、自分自身を“防人(サキモリ)”と呼んでいました(笑)。地方勤務が多く、とにかく様々な輸送、倉庫業務を経験したと感じています。

-今までで一番印象に残っているプロジェクトについてお聞かせ下さい。
そうですね、結論からいいますと全部です。今後ロボット・デジタル化が進んでいくと、人間のやることが少なくなっていく中、今まで私がやってきたことは純粋に人間にしかできないことだったかな?と感じています。

その中で、強いていいますと、電力関係の部品輸送を手配していた際、部品を大至急発送し、交換しないと何万もの世帯が停電になるとの案件がありました。他の業者さんが断った後、最後に弊社へ依頼がきました。本当に超緊急案件で、あの手この手を使って運び、最終的に間に合いましたが、最初に依頼を受けていたら、断っていたかもしれません(笑)。

アメリカでは今まで関わらなかった分野の輸送もしました。そのときは輸送が“ミッション”になるんですよね。終わると“配送済み”ではなく“コンプリート”。また、ミーティングが朝7時から始まり、あまりにも厳しかったので、次のミーティングで“ちゃんと「NOと言うべきところはNOと言うぞ!」と思い、いざ、ミーティングに出席すると、圧が強すぎて結局「Yes」と言ってしまったということも昔はありました。(笑)

先程の人材という話に戻りますが、我々の業態でいいますと、私もそうですが会社としての組織の人材教育はどうしても必要である一方、お客様から教えてもらうということも多いと感じています。会社で教えるのは座学みたいなものですので、教科書に載っていない実地研修は、実際の現場で体験しないと分からない部分が未だ多いと感じています。いろいろなお客様から鍛えていただいたことは、とてもありがたいと思っています。

-お仕事を進める上で大切にされていることについてお聞かせ下さい。
アメリカ駐在時、あるお客様と話をした際、「仕事の原動力は何?」という話になったことがありました。そのお客様が自分の胸をさして「ここ」=ハート、つまり情熱を持つこと、簡単じゃないけどね、と言われたことが今でも記憶に残っています。

その後日本に帰って、部下と同じ質問をディスカッションしことがありましたが、それぞれの思い、考え方がある事が分かり、最後は前向きな話でビールを飲んで解散していました。そりゃそうですね、ネガティブな気分で仕事をしたい人は誰一人もいませんよね。ただ、かなりメンドウクサイ上司だったと思います。

我々は物を運ぶ、置くという、ある意味基本的なことをやります。今後ロボットやAIが世の中に浸透していくと、人間がやる仕事はどんどん限られてきますが、どうしても人間しかできないことが必ず残ります。人間しかできないこと、それを深く掘り下げていくことが大事だと思っています。

一件一件をちゃんと考え、やるだけのことをやる、後悔しないように全ての案件に取組むという事を常に心掛けています。後は座学だけでなく、考える、昔でいうと「知恵を絞る」ということですね。

-お好きなスポーツや趣味ついてお聞かせ下さい。
趣味というよりカナダで挑戦したいことですが、ゴルフと釣りですね。釣りは浜松にいた頃に、浜名湖でよくしていました。カナダですとオンタリオ湖をはじめ、ヒューロン湖など規模が全然違いますので、大きな魚を釣りたいですね。

Ice fishing

実はこの前、初めてアイスフィッシングに行きました。竿を買って、穴をあける機械を購入しましたが、本格的に楽しむにはテントや魚群探知機など、それなりの設備が必要だなと感じました。釣り竿一本のちょっとしたライトなフィッシングではなく、カナディアンのように重装備ですともっと楽しいのかと思いました。

フライフィッシングやオンタリオ湖での釣りも、沖合までいけばサーモンも釣れるのかと思いますが、そこまでいくのか、近くで釣るのか、またはバス釣りなのか…等、カナダは良くも悪くも、そういった選択肢があるのも魅力の一つだと思っています。今年の夏はトラウトの大きいのでも釣りたいなと思っています。

American football

また、スポーツ観戦は盛り上がり、楽しんでいます。特にアメリカンフットボールを見るのが好きで、昨年もスタジアムへ行きました。来年も是非行きたいです。今年はバッファロービルズがいいところまでいったので、来期も応援したいですね。カナディアンフットボール(CFL)にも日本人が参戦しているので、是非見に行こうと思っています。

またバスケのラプターズや野球のブルージェイズも観戦したいですね。ただ、アイスホッケーのルールがあまり分からず、まだ楽しめていないので、どなたかにアイスホッケーについて是非教えていただきたいです。アメリカンフットボールも最初は全然分からなかったのですが、分かるとすごく面白いので、アイスホッケーも是非楽しみたいです。

-これから観戦する機会も増えてくるかと思いますので、是非楽しんで下さい。最後になりますが、商工会会員の皆様へメッセージをお願いいたします。
カナダに来てまだ1年経過していませんが、トロント商工会の歴史を考えると、当地商工会は世界の中でも有数の歴史をもった日本人会だと理解しました。今、私がトロント生活を楽しめているのは、この歴史があってこそだと感じています。それを傷つけないようにかつ、ここを盛り上げていきたいと思っています。飲みすぎには気を付けます。

本日はお忙しい中、ありがとうございました。