新代表者紹介インタビュー CO-Sol Canada Inc. 日比野峻佑氏

CO-Sol Canada Inc. 
Chief Operating Officer 日比野峻佑氏

A man at office

トロントを拠点に日本の親会社と連携し、時差を活かした24時間365日のサポート体制で「Oracle Database」を中心とした保守・サポート、運用支援、コンサルティングサービスを提供しているCO-Sol Canada社。高い技術力と人間力を両輪に、システムの安定稼働と事業継続性を使命としています。ORACLE MASTER最上位資格保持者数日本一を誇り、未経験からの人材育成やクラウド・インフラにも対応できる体制を強みとしています。

カナダ赴任前は新事業である「仮想化技術」のサポートチーム立ち上げに携わり、Virtual Desktop Infrastructure需要拡大を支えつつ新たな事業の柱を築いた日比野氏。プライベートでは料理好きが高じて調理師免許を取得されています。2024年7月にカナダへ着任されました。

―御社の事業内容の紹介をお願いいたします。

コーソルカナダは、「Oracle Database(オラクル データベース)」と呼ばれるソフトウェア製品を中心に保守・サポート、運用支援、コンサルティングを行っております。弊社は2018年にここトロントに海外初の拠点としてオフィスを設立しました。日本の親会社であるコーソルと共にトロントとの時差を活かして24時間365日のサポート体制を整え、お客様のデータベースシステムにおける障害発生時の支援やリモートでの運用支援などのサービスを展開しております。

「データベース」と聞くと専門的で難しい印象を持たれるかもしれませんが、実は私たちの生活の身近なところで使われています。皆様が日常的に利用しているオンラインショッピング、銀行の取引、会社の業務やスマホのアプリケーションなど、あらゆるシステムで文字や数字などの情報が扱われています。その情報を整理し、効率よく検索・活用できるシステムがデータベースです。Excel で管理することが難しい数百万、数千万単位といった大規模なデータを正確に、かつ安全に処理することができます。

中でもOracle Database は世界で初めて商用のリレーショナルデータベースとして開発され、現在も世界でトップクラスのシェア率を誇っており、金融・製造・通信など多くの企業様のシステム下で稼働しています。私たちはそのOracle Databaseにまつわるサービスを提供しており、皆様のシステムを日々支えています。

御社の強みについてお聞かせください。

私たちはお客様に「心あるサービス」を提供することを企業の方針として掲げています。データベースはITシステムの中核を担う重要な存在であり、ひとたび停止すればシステムが止まり、ビジネスそのものに直結します。そのため、私たちは単なる技術の提供にとどまらず、データベースを介してその先にあるお客様のシステム、さらには事業の継続性を支えることを使命としています。

弊社の最大の強みは「高い技術力」と「人間力」の両立です。Oracle Database に関しては、「ORACLE MASTER」と呼ばれる世界的な認定資格があり、Silver、Gold、Platinumとランク分けされています。弊社は2016年以降、最上位資格であるPlatinumの取得数において日本一を維持し続けており、Oracle社からも認定いただいております。

これは社内の豊富なナレッジを共有する仕組みとIT未経験者でも一から教育する教育体制が整っているからこそ実現できた成果です。弊社は未経験で入社する方が多いですが、一からデータベースを学び、技術力をあげていくという人材育成も強みだと考えます。これまで数多くのデータベースエンジニアを輩出し、お客様のシステムを支えています。

また、データベースは周辺のITインフラとも密接に結びついています。近年インフラやクラウドにも力を入れており、データベースを中心にシステムインフラを支える体制を整えています。

日比野さんのご出身から今までのご経歴についてお聞かせいただけますか。

出身は東京都町田市です。大学までは町田 ・八王子周辺で過ごしました。情報系の大学出身ですが、実は在学中はデータベースの講義が苦手でして、就職活動中の会社説明会でデータベースの説明が非常にわかりやすく、興味が湧いて2009年にコーソルへ入社しました。入社後はOracle Databaseのテクニカルアナリストとして障害対応やQAなどの技術支援に従事していました。当時は私も日本で夜間の障害対応を行っていたため、同じサービスを現在カナダの日中に提供できている体制は感慨深いものがあります。

その後、社内でデータベースに次ぐ新たな技術部門を立ち上げる事業計画があり、その最初のメンバーとして携わりました。実はコーソルに所属している間の半分近くはこの新規部門におりました。この部門の立ち上げ・拡大を行った後、Oracle Database の部門に戻ってコンサルティングを経て、2024年7月よりカナダに赴任しています。

カナダ駐在前にも海外駐在経験はありましたか。

今回のカナダ駐在が初めての海外勤務になります。駐在ではないですが、学生時代から海外には関心があり、在学中に料理にはまって日本で調理師免許を取得しました。その後、短期ながらイタリアへ渡り料理勉強と称してレストランで修行していたことがあります。それが初めての海外経験です。

料理を通じて海外の生活や価値観に触れ、以降長期休暇はどこか海外を訪れ、その国や地域の食を学んで楽しんでいました。カナダは移民が多く多文化社会で世界各国の料理が集まっているため、カナダにいながら新しい食文化に触れられることも楽しみにしています。

今まででどのようなプロジェクトが印象に残っていますか。

印象深いのは先に述べた新規部門として「仮想化技術」に挑戦したことです。弊社は長年Oracle Databaseに特化していましたが、データベースは他のITインフラとも密にかかわるため、その周辺知識も必要不可欠です。そこでデータベースに関わる周辺も強化すべく、仮想化の分野へ進出しました。

仮想化とはハードウェアを論理的に分割して利用する技術を指します。一般的に1つのコンピュータにはWindows や Mac などのOSを1つ入れて利用しますが、仮想化では1つのサーバーコンピュータに複数のOSを稼働させ、リソースを配分することで効率よく利用することができます。

仮想化部門の立ち上げは私ともう1名の少人数体制からスタートしました。仮想化技術にはハードウェア、OS、ネットワーク、ストレージといった幅広い知識を要するチャレンジングな分野でしたが、幸い、仮想化システムの中にもデータベースは重要な役割を担っており、自分たちの強みを生かしながら外部パートナーと切磋琢磨し、事業を拡大していきました。

2017年には東京オリンピックの開催に向けて大会期間中の混雑緩和を目的としたテレワークの推進が始まりました。当時はまだテレワークが浸透しておらず、多くの企業が体制を整えようと仮想化技術の1つであるVDI(Virtual Desktop Infrastructure)の導入を始めており、私はその導入・利用時の障害支援を担当していました。このVDIの活用により、オフィスではなく自宅や外出先の端末から社内やクラウド上のサーバにアクセスして業務する体制が始まりました。

翌年にはコロナ禍によりテレワークが余儀なくされ、VDIをはじめとした仮想化システムの導入が急激に広がり、障害も急増、奔走する日々が続きました。我々もまだ慣れないテレワークを介してお客様を支援するときもあり、お客様の状況をよりリアルに感じながら業務にあたっていました。

カナダへの赴任が決まったことを機に仮想化部門を離れましたが、Oracle Database に次ぐ弊社の新たな柱を築く一助になれたと実感しています。また新しい技術に挑戦した経験は自らの糧となっています。

お仕事を進める上で大切にしていること、独自の経営方針についてお聞かせください。

お客様の状況や場面を想像して考えることを日頃から意識しています。私たちの業務では、実際の現場に常駐して対応することもありますが、リモートで支援を行うケースが多くあります。

特にカナダでは、日本の夜間に発生した障害対応を担っており、想定外のトラブルに対し「翌朝までに復旧させたい」という緊急の依頼を受けることが少なくありません。たとえばサーバールームで復旧を急ぐ担当者の方や、エンドユーザへの説明に追われている方など、現場では様々な場面が同時進行していることが想像できます。私たちはそのような状況を頭に描きながら、早期に問題や状況を理解し、最適な解決方法を導き出すことを心掛けています。

もちろん、これは決して容易なことではありません。しかし無事に問題が解決できたときお客様から「助かった」「これで無事に朝を迎えられる」といった感謝の言葉をいただける瞬間はなによりのやりがいに繋がります。

また、弊社の強みでもある「人間力」も大事にしています。トラブル時は誰もが冷静さを失いがちです。だからこそ私たちは単に技術を提供するのではなく、相手の立場に立って耳を傾け、寄り添うことで安心して任せてもらえる、そんな信頼関係を大切にしています。

「技術力」と「人間力」、この両立を以て本当の意味での「心あるサービス」が実現できると考えています。

ski
子供たちもカナダでスキーデビュー

お好きなスポーツや趣味は何ですか?

両親の影響もあり幼少期からスキーをはじめ、学生時代はスノーボードをしていました。トロント近郊の山は高くないと聞いていたのでスノーボードの道具は一式日本に置いてきてしまったのですが、実際に来てみると子供に教えるには程よい山があることを知り、家族分の道具を揃えました。子供たちは今年はじめにカナダでスキーデビューし、冬のカナダも楽しんでいます。

またカナダではゴルフが盛んと聞き、赴任する少し前からはじめました。まだまだコースに出ては教えていただくことが多いのですが、大自然の中で様々な方と出逢えるスポーツとしてとても魅力を感じています。これから腕を磨いていきますので、皆様とご一緒できれば嬉しいです。ぜひお誘いください。

趣味はもちろん料理です。日本にいた頃は会社のBBQや花見で料理を作り、腕をふるっていました。社員やご家族を含めた参加者数十名向けに、スキュアー(特大の串)を買ってシュラスコを焼いたり、鯖の押し寿しを作ったりと好き勝手に料理してました。朝方まで80人前の鯖の押し寿司をラップに包んでいたのもいい思い出です。(笑)

family
家族とはミニゴルフを
golf
秋の景色と共にゴルフを楽しむ

また料理好きの友人と季節の食材をテーマに創作料理を作って小規模なパーティーを開催したり、定休日の飲食店を借りて一日レストランを開店してみたり、みたいなこともしていました。カナダに来てからも弊社駐在メンバーの歓送迎会を自宅で開き、その際の料理を作って楽しんでいます。

日本では輸入食材のお店でしか手に入らない食材が、カナダではスーパーマーケットで手に入りますし、めずらしいハーブなんかもきれいに陳列されているので、目移りしながら買い物を楽しんでいます。

今後カナダ駐在中に挑戦したいことについて、お聞かせください。

カナダに進出した第一の目的である日本の夜勤を運用する点は、おかげさまで順調に稼働を続けています。今後はこの体制を維持・強化しつつ、北米での現地ビジネスを少しずつ拡大していきたいと考えています。トロントを拠点としている日本のIT企業はまだ多くはありませんので、私たちが提供しているOracle Databaseのサービスはもちろんのこと、ITに関わる幅広い分野で少しでも皆様のお役に立てるような活動をしていきたいです。

また、現在カナダ拠点での事業はデータベースに特化していますが、私自身が立ち上げに関わった仮想化の分野においても駐在中に体制を整えたいと考えています。仮想化分野の夜間業務をカナダで担える仕組みを構築し、日本だけでなくカナダでもデータベースと仮想化の二本の柱でサポート体制を実現したいです。

プライベートではバンフやイエローナイフなどカナダならではの大自然に触れ、広大な景色を満喫したいですね。またカナダは欧州へのアクセスも良いため、機会があれば学生時代に修行した思い出の地にも再び足を運んでみたいです。

あとはカナダといえばメープルシロップやプーティンのイメージを持たれる方が多いと思いますし、私自身もそうでした。実際に現地で「これがおいしかった!」と自信をもって紹介できる料理を発掘するのも駐在中の目標のひとつです。

最後に、商工会会員の皆様へメッセージをお願いいたします。

コーソルの社名には「共に解決する=CO-Solutions(コーソリューションズ)」という意味が込められています。お客様や仲間と共に力を合わせて問題や課題を解決し、その輪を広げていきたいという想いを大切にしています。カナダ拠点においてもその理念は変わりません。

弊社が提供している「データベース」や「仮想化」といったサービスは専門性が高い分野ではありますが、ITはビジネスや生活の身近なところに広がっておりますので、なにかしらITに関する困りごとやお悩みなどありましたら、お気軽にお声がけください。共に解決しましょう。

カナダに赴任して季節が一周りし、環境にも慣れることができました。これまで多くの方々に助けていただきましたので、これからは少しずつ商工会の皆様やこのトロントの地に関わる方のお役に立てるような活動を増やしていきたいと考えています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

本日はお忙しい中、ありがとうございます。これでインタビューを終わります。