新代表者紹介インタビュー  Nippon Travel Agency Canada, Ltd. 前田映子氏

2026年10月27日

Nippon Travel Agency Canada, Ltd.
トロント営業所所長 前田映子氏

A woman with her company logo

Nippon Travel Agency Canada, Ltd. トロント営業所所長の前田映子氏は、カナダで長年旅行業に携わり、日本とカナダをつなぐさまざまな事業に取り組んできました。旅行業界を取り巻く環境が大きく変化する中で、どのようにお客様と向き合い、これからの事業を見据えているのか、お話を伺いました。同社は2026年1月に商工会へ入会しました。

―御社の事業内容について教えてください。
Nippon Travel Agency Canadaは、日本の総合旅行会社のカナダ法人です。主な事業は大きく三つあります。一つ目は、日本からカナダへ来られる団体旅行の手配です。法人関係の視察やMICE、語学研修・修学旅行などの教育旅行、地方自治体の青少年派遣事業や姉妹都市交流事業などを扱っています。

二つ目は、社会課題解決事業の一環として、日本各地の農林水産加工品や日本酒などの輸出促進を支援する事業です。現地での商談会や視察、交流の手配、レップ業務などを通じて、自治体の販路拡大をお手伝いしています。三つ目は、カナダから日本への訪日旅行の斡旋です。一般団体や各種団体旅行に加え、カナダの学校を対象とした訪日教育旅行にも取り組み始めています。

また、JETプログラムの受託も長年継続しています。JETプログラムは、海外の若者を日本に招き、学校や地方自治体で外国語教育や国際交流活動を行う日本政府の事業です。当社では、コロナ禍などを除き、ほぼ20年にわたって関わってきました。そのため、在カナダの在外公館とも、文化交流の面で良好な関係を築いています。

A woman holding a sign

―コロナ禍の前後で、旅行需要にはどのような変化がありましたか。
コロナ禍以前は、日本からカナダへ来られる旅行需要が圧倒的に主力でした。一方、コロナ禍以降は、円安や燃油高の影響もあり、日本からの需要はやや弱含みで推移しています。そのため現在は、社会課題解決に関わる事業にもより力を入れながら、カナダから日本への訪日団体旅行の取り扱いも強化しています。特に訪日旅行については、法人団体だけでなく、カナダからの教育旅行にも重点を置いています。

―御社の強みは、どのようなところにありますか。
もともと日本からの旅行需要に対応することを主力として会社を築いてきましたので、カナダ全土における旅行手配のネットワークがあります。お客様のニーズに応じて、各種手配や現地対応ができる点は大きな強みです。

また、日本酒関係の販促では、オンタリオ州、ブリティッシュコロンビア州、アルバータ州など主要州の日系酒類輸入商社とのネットワークがあります。各地方自治体の販促に関しても、多様なニーズにお応えできる体制があります。

さらに、訪日旅行については、日本旅行本体が1961年から取り扱いを始め、1964年の東京オリンピックを契機に国際交流事業を本格化させてきました。長年培ってきたノウハウを活かし、世界各地の風習やニーズに合わせた訪日旅行を提供できることも強みです。

―今後、特に力を入れていきたいことについて教えてください。
昨今の円安や燃油高の傾向は当面続くのではないかと見ています。その中で、カナダから訪日旅行斡旋は、事業拡大にもつながる重要な分野です。法人団体に加え、カナダからの教育旅行の取り扱いにも力を入れていきたいと考えています。また、地方自治体などのさまざまなニーズに応えるため、カナダでの販路拡大を支援できる協業先の開拓にも努めていきます。

―最近のニュースや、新たな取り組みについて教えてください。
カナダにはNAJC(カナダ日系人協会)という組織があり、日本旅行カナダでは同協会の訪日旅行のお世話をしています。また、COPANIと呼ばれる北中南米日系人大会が2年ごとに北中南米の都市で開催されています。今年6月にはブラジル・サンパウロで開催され、次回2028年の開催地がトロントに決定したそうです。

新規事業としては、日本とカナダを含む海外支店との相互取引だけでなく、日本を介さない二国間取引の市場拡大にも力を入れています。カナダからも、東南アジア、オセアニア、欧州などの海外ネットワークを活かし、二国間の旅行需要の取り込みを強化しています。旅行需要の取り込みと同時に、物流などにおける課題解決にも貢献できるよう、カナダの日系企業の皆様との連携を図り、在カナダ日系企業のお力になれる企業を目指しています。

―前田さんのご出身や、これまでのご経歴についてお聞かせください。
出身は東京です。カナダには2004年の春に来まして、以来、旅行業界に携わっています。こちらに来てから23年目になります。

基本的には、お客様に直接お会いしてご案内をしたり、自治体様や企業様の研修旅行、学生さんの修学旅行、一般のお客様のツアーなどに関わったりしています。できるだけ外に出て、皆様と直接お会いする仕事が多くなってきていると思います。海外経験としては、カナダが初めてでした。最初は旅行業界という形ではなく、ワークパーミットでこちらに来て、そのままカナダで仕事を続けることになりました。

―カナダで暮らす中で、どのようなところに魅力を感じていますか。
カナダが好きになったかどうかというより、日本に比べると自分にとって少し動きやすい、やりやすいところがあったのかなと思います。多民族国家で、いろいろな方が住んでいらっしゃいますし、それぞれの個が大事にされていると感じます。日本人である私も、自分の個性を出しながら比較的動きやすい。仕事もしやすいですし、生活の面でも過ごしやすいのかなと思っています。

―これまでで印象に残っているプロジェクトはありますか。
私どもの仕事は、こちらからプロジェクトを立ち上げるというより、お客様からいただいたお仕事を受けて対応することが多いんです。さまざまな趣旨のお仕事があり、それぞれに合わせて柔軟に対応することが大切だと思っています。例えるなら、サッカーのゴールキーパーのような仕事かもしれません。あちらこちらから飛んでくるボールに対して、できるだけ慌てず騒がず、適切に処置をしていく。そのためには、やはり経験が大事なのだと思います。

旅行業界は、9.11やSARS、そしてCOVID-19など、外的要因の影響を非常に直接受ける業界です。20年以上前に仕事を始めた頃と今とでは、状況は大きく変わりました。

その中でも、私自身は常にお客様を大切にし、ご希望やご要望にできる限りお応えしたいという気持ちは変わらずに仕事に取り組んでいます。

A woman

―趣味や休日の過ごし方について教えてください。
仕事の性質上、通常のように土日が必ず休みというわけではありません。それでも、まとまったお休みをいただいて家族旅行をするのは楽しみの一つです。

普段は、季節の移り変わりを感じながら過ごすことが好きです。私が住んでいる地域は、ナイアガラ・オン・ザ・レイクやセントキャサリンズの近くで、ワイナリーが多く、桃の産地でもあります。春には桃の花が咲き、ぶどうの実が少しずつ大きくなっていく様子を見ることができます。何か特別なことをするというより、外の景色を眺めながら「春が来たな」「もうすぐ収穫の時期だな」と感じられることが、今はとても嬉しいです。

―今後、仕事やプライベートで挑戦したいことはありますか。
旅行業界は、非常に厳しい状況に入ってきていると感じています。9.11、SARS、COVID-19など、私どもの業界は世の中の出来事の影響を直接受けます。これからどのようなお客様が、どのような需要を持って動かれるのかを見極めることは、以前より難しくなっています。だからこそ、大きな目標を掲げるというよりは、次にやってくる状況をよく見据え、その時々で的確に対応していくことが大切だと思っています。

これまでの経験から、私たちにはそれなりに多くの「引き出し」があります。何かが起きた時には、その中から必要なものを素早く探し出し、臨機応変に対応していきたいです。どんなボールが飛んできても、できるだけ的確に返していく。そんな姿勢で仕事を続けていきたいと思っています。

―最後に、商工会会員の皆様へメッセージをお願いします。
商工会の皆様とは、お正月の会などでお会いする機会がありました。今後もできるだけ皆様とお会いし、コミュニケーションを取りながら、さまざまな情報をいただければと思っています。

私どもがカナダにいる大きな理由の一つは、日本の企業様方をさまざまな形でサポートすることです。研修旅行や視察、カナダから日本へ行く機会、日本からカナダへ来られる機会など、さまざまな場面でお手伝いできればと思っています。何か機会がございましたら、ぜひお声がけください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。