カナダで活躍する若手日本人に聞く


トロントで活躍する若手日本人に聞く
ジャパン・ソサエティ 奥澤 麻美 さん


今回は、商工会と協力関係にあるジャパン・ソサエティで専務理事として活躍されている奥澤麻美さんにお話を伺いました。日本とカナダの間で、ビジネス、教育、文化交流など多方面で活動している団体の事務方として、忙しい日々を送られています。

(伊東 以下伊)本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、現在のお仕事を説明いただけますでしょうか。

(奥澤さん 以下奥)ジャパン・ソサエティという組織の事務局で運営の仕事をしております。ジャパンソサエティは1989年に設立されたカナダ連邦ベースの非営利の会員制の組織です。

私の前任で30年前から運営に携わっている方々にお話を伺ったところ、日本から、日本とカナダの経済交流について話ができる場を設立してほしいと要望され、70社以上の企業が資金を募って設立されたと聞いております。

日加のビジネスリーダー、有識者、日加の政府代表の方を集めて、共通のテーマについて話し合い、二か国間の経済関係を強化し長期的な関係を築いていくための活動を中心に、ビジネス、文化、学術などの促進支援を目的としています。

(伊)主だった会員にはどのような企業さんがいらっしゃいますか。

(奥)私共の団体は、日本の企業さんとカナダの企業さんの両方が入られていることが特徴だと思います。大きいスポンサーとしては、トヨタ、ホンダ、キヤノン、ソニーなどこちらで長くビジネスをされている日系企業と、エアカナダ、マニュライフ、マクミラン、デロイト、PwCなど日本とビジネスがあるカナダの企業がいらっしゃいます。

(伊)商工会は、活動目的が日系企業のビジネス支援と会員サービスにフォーカスが置かれているのですが、ジャパン・ソサエティは経済、文化、学術という幅広い分野までカバーされているとのことですが、そうした異なる分野のバランスはどのようにお考えですか。

(奥)人材や時間の制約などがあり、これまではビジネスを中心に活動をしてきたように聞いています。日本より、著名なビジネスマンをお呼びしてこちらで講演していただくとか、貿易通商交渉などをテーマにした講演を開催したりしてきましたが、今後はイベントテーマも多様化したほうがよいということになっています。

3月にカナダで初めて、ジャパン・ボウルというイベントを開催します。これは、アメリカでは20年以上続いている歴史あるイベントで、現地の高校で日本語を勉強している生徒さんを対象にしたクイズ大会です。アメリカで開催してきたものをモデルとして、日加修好90周年という年である今年初めてカナダで開催します。

現在、ジャパン・ソサエティの活動に、経済50%、文化30%というようなガイドラインは明確にはありませんが、チャンスがあれば文化、学術の分野でのイベントも開催してきたいと思っています。

今朝もガーディナー博物館と打ち合わせをしてきたのですが、今、イヤー・オブ・ジャパンというテーマで、「Japan Now:Forum+Function」と「Yoko Ono:The Reverbed」が開催されているのに加え、陶芸家の近藤隆弘氏がトロントにいらっしゃる機会に、会員の方向けにカクテルレセプションを開催する運びとなりました。

(伊)商工会は、その活動目的に文化、学術という分野を謳っていないので、その分野ではジャパン・ソサエティさんには頑張って欲しいと思います。

昨年、トロントで全米日米協会連合会年次総会が開催されましたよね。アメリカの主要都市にはジャパン・ソサエティという組織がそれぞれありますが、それぞれのジャパンソサエティとの関係はどのようになっているのですか。

(奥)北米にはジャパンソサエティという名のつく組織が37ありまして、さらにそれぞれの地域にあるジャパンソサエティを掌握しているNational Association of Japan-America Society という連合会組織があります。その中で情報をシェアしながら、それぞれのソサエティが効率的に活動できるように、年次総会を開催しています。

西岸、東岸と順番に行っており、その中では、ジャパンソサエティ共通のテーマや、オフィス運営上の問題点なども話し合います。事務局が小さいですが、こうした場で情報交換ができることで相談できる同僚がいるように思え、貴重な場となっています。昨年の大会では、政治、防衛、文化、経済と幅広いテーマで話をすることができました。

(伊)世界中にある日本商工会議所、日本商工会はまったく独立しており、そうした場はないのでうらやましいですね。昨年の総会で情報交換して、違いはありましたか。

(奥)昨年の大会で、日本、アメリカ、カナダの3か国でもっと話をしていきたいという話題が上がりました。自分としては、経済とか交換留学生などの草の根活動に興味がありますが、大きな問題として防衛問題でどのような協力ができるかといった話題にいきましたね。

(伊)今後、力を入れていきたい分野はありますか。

(奥)CPTPPが確定するという見通しで、これにより日本とカナダの間で経済面、文化面でも交流が増えると思います。

当団体の理事である元駐日カナダ大使のDon Campbellが言っていることですが、こうした通商交渉で貿易や経済交流が増えることもあるが、一番大切なのは人々の認知Awarenessなんだと言っていました。人の意識が変わることでよい方向に向いて行くんだと。そうしたことを意識しながら、二か国間の経済をどう強化できるかという点が一つです。

今年、来年は日加修好90周年という年ですが、来年はジャパン・ソサエティの30周年という節目の年でもあるので、日本語を勉強する学生さんの支援なども含め、経済と学術文化という2つの柱でやっていきたいと思っています。そのためにも、3月に開催するジャパン・ボウルを成功させてそれを毎年開催できるように育てていきたいと思っています。

(伊)がんばって欲しいですね。商工会も広報などできる限りのお手伝いをしますのでいつでも連絡ください。それでは次に、奥澤さんの経歴などを伺いたいと思います。

(奥)祖父が商社に勤めており、1980年代にカナダに駐在していたことがありました。最初、トロントに駐在し、その後バンクーバーに移ったそうです。ちょうどその頃、私の両親が結婚することになり結婚式は祖父がいるバンクーバーで挙げようということになりました。

そして挙式の後、両親と両家の親までも一緒にハネムーンに行きまして、VIAに乗ってジャスパー、レイクルイーズなどに行ったそうです。子供のころ、いつも土曜日の食事の後にはその写真アルバムを持ってきて、カナダのクイーンエリザベスパークですよだとか、いろいろな写真を見せてもらいました。

   
両親の結婚記念写真  2017年夏、結婚記念撮影をしたクイーンエリザベス・パークにて、アルバータ州政府東京事務所勤務の妹、愛美と一緒にポーズ


祖父からは、カナダでの経験やどんな人と働いていたという話を聞きましたし、両親からは、カナダがとてもきれいな国でとても楽しかったという話を聞いていましたので、カナダはいいところでいい人たちがいて、いいビジネスができる場所なんだなあ、と漠然と思っていました。

大学を出て最初に働いたのは広告代理店で、営業の仕事をしていたのですが、国際的な仕事がしたいなあと思っていたときにカナダを選んだのは小さい時からの憧れもあり、イメージが強かったからだと思います。

次に東京の在日カナダ商工会議所に勤めまして、事務局の運営、広報、イベントなどを担当していました。その後は、カナダ大使館に勤めて、広報部でカナダの映画、音楽、舞台芸術などの文化、学術交流、カナダ留学、フランス語を含めた言語などの広報の仕事をしておりました。

その間、いつかはカナダに行き、カナダから日本とカナダの架け橋の仕事をしたいと思っておりました。そこで経済の一番の投資先であるトロントに行くということを決め、生活のことやビサのことを調べながら準備しておりました。

(伊)来られたのはいつですか。

(奥)ワーキングホリデーのビザを取得して、2015年のカナダ・デーにカナダに来ました。はじめにバンクーバーから入国して、バンクーバー島などをまわってから、VIA鉄道でバンクーバーからトロントまで来ました。4600キロの旅、丸4日間かかりましたね。

ゆれる寝台、レクリエーションカーでの生演奏やビール試飲、食堂車での他の乗客との出会いもいい思い出です。天井までガラス張りの展望車からは、そびえたつロッキー山脈、プレーリーの黄色い絨毯のような菜の花畑、風にゆらめく麦畑、大きな丸太、農場肥料となるピンクのピラミッドのように積まれたカリウムなど、日本に輸出されるものとたくさん通りすがりました。

CNタワーが見えてきた時には、とてもわくわくしました。カナダ生活の序章のような鉄道の旅で、日本とカナダをつなぐ様々なもの実際に目にすることができました。

(伊)来た当初は何をされていたのですか。

(奥)その時はワーキングホリデーで来ましたので、ジェトロトロントさんにお世話になりました。対日投資のグループに入り、カナダの企業が日本に進出投資するという事案のお手伝いをさせていただきました。LNGやハイテク産業など、カナダのビジネスを勉強するよい機会となりました。

1年間ジェトロトロントでお世話になった後、ジャパン・ソサエティにお世話になり、もうすぐ2年になります。

(伊)実際にトロントに3年近く住んでみて、思っていたのと違うとか、びっくりしたことはありますか。

(奥)来る以前に固定したイメージがなくフリーな気持ちで来たので、思っていたのと違うとかがっかりということはありませんでした。

住んでみて思うのは、日本と違って、移民国家で、いろいろな人がいて、いろいろな文化があり、いろいろな宗教の人がいることに、社会がウェルカムなところにびっくりし、それがトロントをトロントらしくさせているところだし、住みやすい一因なのかなと思います。

それが大好きなところですね。ただ、冬は寒いですね。体感マイナス30度って、こんななんだ、と思いました。

(伊)仕事以外に個人的にやってみたいことはありますか。

(奥)こちらに来てから、合気道のことをよく聞くようになり、興味がわいて日系文化会館で合気道を始めていますので、それをもっとやってみたいと思います。また、型から入るということでは合気道とちょっと似たところがありますが、健康のためにヨガも始めています。

フランス語も勉強しているのですが、話す機会もなくなかなかうまくなりません。自己紹介とか、イベントのときに簡単な案内ができる程度にはなりたいなと思っています。

(伊)トロントではなかなかフランス語を使う機会がないと思いますが。

(奥)そうなんですが、ジャパン・ソサエティは全国組織なので、ケベック州などでもイベントなどができたらいいなと思っています。また、ケベック州のことを調べるときに、フランス語の資料しかないこともあるので、そうした時に役立つようにもう少しレベルアップしたいと思います。

(伊)普段の生活の中で、こんなことしています、といったことはありますか。

(奥)住んでいる近くに、国際交流基金がありその図書館をよく利用しています。海外で日本についての書物を読むことによって、新しい発見や思うことがあったりするのがすごく面白いと思います。無料で貸し出しカードを作って借りることもできますので、多くの人に紹介しています。月に1回、土曜日も開館しているので平日お忙しい方も是非ご利用ください。

あと趣味のようなものですが、机の中や棚の整理をするのが好きです。気分転換のときには引き出しの整理をしています。

(伊)そうですか。今度、事務所の整理をお願いしたいと思います(笑)。以上でインタビューを終了したいと思います。ありがとうございました。これからも日加の架け橋となる仕事に頑張ってください。











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