カナダで活躍する若手日本人に聞く


Sasaki Fine Pastry オーナー、和菓子職人 佐々木 由起子さん


最近、トロントのグルメシーンに「いちご大福」が加わった。仕掛け人はトロント在住10年の佐々木由起子さん。小さなきっかけを逃さず「自分が大好きなもの」で起業し、今や地元のソーシャルメディアや英字誌でも話題に。どら焼きや大福を手作りし続け、J-town 内のSasaki Fine Pastryとノースヨークの2号店をカナダ人のご主人と共に経営する佐々木さんにお話しを伺いました。

(三藤)トロントで和生菓子作りをはじめたいきさつを教えてください。

(佐々木氏)和菓子作りを始めたのはトロントに住み始めてからです。2008年にトロントへ来たのですが、大好きな生和菓子が食べたいと思ってもここでは冷凍大福ぐらいしか手に入らない。どうしても美味しい和菓子が食べたい自分のために家で作り始めたのが最初でした。

トロントに移住してからは保育士の仕事をしていました。6年目ぐらいに仕事も生活も落ち着いてきて、和菓子屋のビジネスを考え始めたのはその頃です。
我ながら「美味しい!」と思ったので(笑)、ある時どら焼きを作って、ボランティアをしていた土曜日の中国語学校(ヘリテージスクール)に差し入れに持って行ったらとても喜ばれました。そのうちバザーに出店したり機会があるごとに売れるようになっていったんです。

(三藤)中国語の学校ですか?

(佐々木氏)夫が中国系カナダ人なんです。彼も含めチャイニーズカナディアンは日本のお菓子や食品が大好きな人が多いですよね。生和菓子も大好評だったんです。

いつかは自分でビジネスをしてみたいと考えていたし、マーケットもある、自分の大好きなものをカナダ人とシェアできるということで、昨年(2016年)ここJ-townのに開店したばかりです。かつてDVDやビデオなどレンタルしていたスペースが物置になっていたので、そこを借りてかたづけ改装しました。

(三藤)日本人だけでなく、人口の多いトロントの中国系カナダ人の心をつかんだら大きなチャンスですね。お店のレイアウトやディスプレイは佐々木さんがデザインされたんですか?

(佐々木氏)はい、店内は私がデザインしました。それに保育士時代にはクラフトやアートなど普段からたくさん作っていたので、楽しみながらディスプレイのアイディアに生かしています。

(三藤)トロントにいらっしゃったきっかけは何ですか?

(佐々木氏)20歳の頃、初めての語学留学でバンクーバーに滞在しました。その後、オーストラリアにも行きましたが、20代半ばにぜひもういちどカナダに行きたいなと思って、今度はトロントを選びました。

(三藤)そうですか。お店を開くにあたって学校に行ったとか和菓子屋さんで修行した経験は?餡や抹茶クリームなど、とても美味しくできていますね。

(佐々木氏)専門的に通って勉強した経験はありませんが、日本に和菓子屋をしている親戚がいるので、ビジネスを始めるにあたっては、そこで手ほどきを受けました。それを基本に自分でアレンジしたものを作っています。とにかく昔から和菓子が大好きで、自分が食べるために美味しいものを求めてきたので、それが美味しく作れる秘訣かもしれません。

材料は物によりますが、京都の抹茶、ほうじ茶など日本へ行って気に入ったものを探し取り寄せています。餡も手間はかかりますが、こし餡をここで作っています。主人がもともと食品関係のビジネスをしていたので全般的な仕入れなどの面や管理は助かっています。

とても忙しいですが、実際に作るのも経営も主人と二人でやっています。もちろん下準備や販売などをしてくれる従業員の方がいますが、手作りで一つ一つ仕上げるのは私たちの仕事です。平日もたくさん作るので朝早起きして、5時間ぐらいかかります。

週末はさらに多く売れるのと、季節の食材を使った限定品を出しているので、朝だけでなく、次々と、ひたすら作り続けます。6時間以上は作業をしていると思います。

(三藤)J-town内に開店したのが2016年8月とのことですが、一年経たないうちにすでにノースヨークに2号店をオープンしたんですね?

(佐々木氏)はい。実は2号店は来年の目標だったのですが、夫が、よい物件を見つけたからどうしてもチャンスを逃したくないというので、最初は少し迷った私もそれに押されて。

(三藤)開店にいたるまでの苦労話などありますか?

(佐々木氏)苦労話と言われてぱっと浮かぶことがあまりないんですが…。工事の進みが遅いのがちょっと困りました。なかなかこちらの予定通りにはいかないんです。書類処理なども遅くて、常にこちらからかなりプッシュしないといけなかったり。でも、カナダではまあよくあることですよね(笑)。

(三藤)すでにトロントに10年近く住んでいらっしゃるから文化やペースの違いによるストレスというのは少ないかもしれないですね(笑)。昨年10月にお嬢さんのルナちゃんが生まれたそうですね。子育てとお店を両立するのはたいへんだと思いますが、今後の目標は?

(佐々木氏)そうですね。それもあって2号店は、来年まで待つ予定だったんです。今ほんとうに忙しいですが、スタートしたものをしっかりこなしていくのが当面の大きな目標となりがんばっています。主人と交代でルナをみて、時には主人の母にベビーシッターをお願いしたり。商品の種類を増やすことも大きな目標で、今も取り組み中です。

(三藤)こし餡と生クリーム、抹茶クリーム、栗や黒ごまクリームの入った大福など色々ありますが、これらの商品やレシピは佐々木さんのアイディアですか?

(佐々木氏)そうです。自分たちで考え、試作、試食して開発しています。週末に出している、いちご大福や黒豆大福などに加え、よもぎ、マンゴーなど季節限定ものもあります。和菓子の魅力を広めながら、これからもっと現地の素材を取り入れたカナダならではの味も作っていきたいと研究中です。楽しみにお待ちください!
(三藤)どんな新商品が出てくるのか楽しみです。本日はお忙しいなか時間を作っていただきありがとうございました。

Sasaki Fine Pastry: J Town内 3160 Steeles Avenue East, Markham, Ontario
Sasaki Pastry Japanese Desserts: North York店 112-10 Northtown Way, North York



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