カナダで活躍する若手日本人に聞く


Kingyo Izakaya, Toronto
オーナーシェフ 銭丸 幸志氏


今回は、キャベッジタウンにある金魚トロントをはじめ、違った形のレストランを展開されている銭丸さんにお話を伺いました。銭丸さんは、レストランのシェフとして現場を仕切りながらも、レストラン経営のコンサルタントでもあるマルチな方です。


(伊東 以下伊)本日は、お忙しい中お時間をいただきありがとうございます。早速ですが、銭丸さんが飲食業界に入られたきっかけをお教えいただけますでしょうか。

(銭丸さん)16歳の時に、あの「餃子の王将」として有名な王将フードサービス(以下王将)でアルバイトを始めたのが飲食業界に入ったきっかけです。当時、王将には、餃子に代表される中華以外に、回転寿司、和食の部門があり、自分は寿司部門に入り、修行させてもらいました。高校卒業と同時にそのまま王将に入社し、21歳の時に店長となりました。

王将では、店長には店舗にあったメニュー作りや自店舗オリジナルのイベント企画等の権限が与えられており、それぞれのお店によって特色を出すことができます。

主力は餃子やチャーハンや天津飯ですが、そのほか、店舗の地域にあった定食メニューや、集客のためのイベント等など、その店の顧客にあったメニューを考えなければならず、従業員の給料やその他営業に携わるすべての問題は現場の店長が陣頭指揮を執りお店の最善を追及するという、まさにオーナーがする仕事を経験させていただきました。

王将には、3カ月連続で前年の売り上げを下回ると店長を降格になるというルールがあり、当時は必死でしたね。また、店舗を変わることも頻繁で、26歳までに8店舗変わりました。おかげさまで成績を出すことができ、だんだんと大型店に昇格していき、当時大阪でナンバーワンの店舗だったなんば戎橋店の店長になることができました。

また、25歳からは新店舗立ち上げや不振店の立て直しを兼任するまでになり、社内コンクールでも優勝することができました。

26歳のときに、会社からフランチャイズオーナーのオファーをもらいましたが、一度は国外に出てみたいという夢をもっていましたので、それを実現することにしました。2004年にバンクーバーにビジタービサで滞在し、カナダの居酒屋のパイオニアであるGuu Garlicで半年間、無給で働かせてもらいました。

その後一旦帰国し、翌年、ワーキングホリデーでまたカナダに戻ってきました。27歳の時です。バンクーバーでGuu Garlicの店長をされていた田丸さんからオファーをもらい、彼の独立店舗である金魚居酒屋の立ち上げ店長としてワークビザを出していただきその後、田丸商店グループでのGMとして新店舗SUIKA、RAJIOの立ち上げのお手伝いをさせてもらいました。

(伊)すると、最初はトロントではなくバンクーバーだったのですね。トロントに来られたきっかけはどのようなものですか。

(銭丸)田丸さんから、のれん分けではないですが、独立のお話をもらいました。バンクーバーでもよかったのですが、心機一転トロントでの独立をすることを決め、トロントに移ってきました。

2012年に今の金魚トロントを立ち上げ、その後2013年にRAMEN ISSHINを開店、2016年にはマーカム市にKIU Japanese Restaurantをオープンすることができました。現在、RAMEN ISSHINの2号店をミシサガに開店する準備をしています。

(伊)着々と特色の違うお店を展開されていますね。ここまで展開するにあたり、いろいろなご苦労があったと思いますが、一番難しかったことは何ですか。

(銭丸)なによりも人ですね。お客様はもちろんですが、一番の難しさは従業員でしょうか。滞在ビサ、勤務時間、最低賃金などは決められているので仕方ない部分はあります。

ワーキングホリデーで来られている方を雇用することが多いのですが、働いてもらえる期間が数か月と短く入れ変わってしまうので、常に教えるという段階で、料理にしても、接客にしても、本当の意味での日本のカラーを出すことが難しい。

価値観の違いを感じることも多いですね。どうしても日本と較べてしまいますが、レストランで働く方々のお給料や待遇等は日本に比べていいなと思うこともありますが、交通やインフラ、設備などいろいろな面では、これはまだまだだな!こう変えればいいのに!と思うこともたくさんあります。

(伊)私のように長く住んでいる人間は、慣れてしまってそうした感覚が薄れていますが、そうした目で見ることは大切ですね。ところで、最近、ラーメンブーム、居酒屋ブームでお店が増えていますが、お店同士の横のつながりというのはあるんですか。

(銭丸)はい、3年前から「はしごプロジェクト」という名称で日本人オーナーの日本食8店舗が集まるグループをつくり、各店で協力してのフードイベントや店舗の壁を取り払い、現場で働いてくれている従業員や普段お世話になっている業者の方々を100名以上を集めての新年会や忘年会などを行っていました。

今年1月15日に、「TEAM SAMURAI RESURRECTION」とグループ名を変更し、「REAL JAPAN」をコンセプトに、今年の夏にはマーカム市で今までにない“本当の日本”を感じてもらえるイベントを現在計画中です。

(伊)それは楽しみですね。具体的に決まりましたら、商工会でもご紹介したいと思いますので是非教えてください。最後に、銭丸さんの今後10年の目標を教えていただけますか。

(銭丸)日本で仕事をしていた16歳から26歳までは、毎日必死で働きました。1日18時間、18か月間休みなしということもありました。自分には当時から変わらない夢がありそれに向かって費やした時間なので苦ではなかったですが、同世代の知人たちが遊んだり旅行に使っていた時間もずっと仕事しかしてなかったですね。

なので仕事をする時間としてはその期間で十分、一生分働いたなと思っています。今の夢をつかむために使った時間を今後は自分の人生を心から楽しむために使いたいと思っています。ですので目標はと聞かれたら40歳になったらリタイアしたいと思っています。あと1年ですね。

(伊)それはまた大胆な計画ですね。どういう思いですか。

(銭丸)実は自分は日本とカナダしか生活をしたことがありません。リタイアして、その後は世界を回って、その土地土地のおいしいものや料理、文化を体験したいと思っています。

最近の若い人は、よく夢がないと言われていますよね。僕は、夢がないのではなく現実に夢にできるほど魅力的なことを知らないだけなのだと思います。なので現場で働いてくれているスタッフ達に向けて、人生を楽しむことを、その大切さを僕がまず実現をして彼らに伝えていきたいと思っています。

(伊)会社という組織の中にいては、なかなかできない人生ですが、是非とも実現し、あとに続く若い人に夢を与えてください。本日は貴重なお話、本当にありがとうございました。

人気のランチメニューの1つ:鰻のひつまぶし



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