トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング 再訪  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント街角巡り連載を始めてはや5年。「ネイバーフッド」と呼ばれるエスニックタウンやローカルコミュニティの商店街の風景は、その間にも絶えず変化してきています。第二次世界大戦後に移住してきた世代の多くが商店街でのビジネスをリタイヤし、アジアや中東、カリブ諸国からの移民が増え、トロント市の人口は260万人を超えました。モザイク都市トロントの街角がそれぞれどんな風に変わってきているのか…再訪、再発見をレポートします。


第30回 グリークタウン再訪
ロハス路線で高級化したギリシア人街 



フリーランスライター 三藤あゆみ

トロントには、地下鉄CHESTER駅、PAPE駅を中心に広がる世界で一番大きなギリシア人街があります。ダンフォース アヴェニュー. にギリシア人移民の小さなコミュニティができたのは1910年頃ということなので、もう100年以上の歴史を持つエスニックネイバーフッドですが、ここ5~6年のうちにグリークタウンの風景はさらにまた大きく変わりました。

1990年代初め頃までのグリークタウンは、レストランやベイカリーに行くと耳に入る会話はギリシア語が中心で、「ここは本当にカナダ??」と思う瞬間があったものです。通りを歩くと、「ギリシア人が一生のうちで一番お金をかけるイベントは結婚式」と言われるのを証明するように、ウェディングドレスやブライダルグッズ専門店がやたらたくさんありました。

最近は飲食店がずいぶん多国籍になっただけでなく、フランチャイズのパブやカフェ、今流行りの自然食品店やインテリア雑貨店なども加わって、様々な目的でグリークタウンに人が集るようになりました。そして、ギリシア語や様々な訛りがあっても共通語がだんだん英語になってきていることに気がつきます。

ギリシア系移民が家族経営していた小さな洋品店や食品店、カフェネオンと呼ばれる、男ばかりが集まってカードゲームをしたりテレビでサッカー観戦をするコーヒー屋などはほとんど閉業してしまいました。軒を連ねるギリシャ料理のレストランの多くは、エーゲ海リゾートのバーやレストラン風のしゃれたデザインに。アテネの下町商店街のようなイメージは消え、生活感がすっかりなくなった気がします。

ギリシア料理以外のレストランも目立つので、歩きながらジャパニーズレストランが何軒あるか数えてみたら、なんと9軒も。ほとんどは、中国人、韓国人が経営しているようですが、SUSHI人気はすごいものです。それ以外では、タイ、メキシカン、ジャマイカン、客家料理なども。

新しい世代のグリークカフェのオーナーが言うには、親の世代は、寿司レストランやタイ料理レストランなどがグリークタウンに増えていくことに初めはかなり抵抗があったそうです。でも、結果的にギリシア系だけでなく、その他のカナダ人や観光客がもっと集まるようになり、グリークタウンが盛り上がってきていると。

美味しいギリシャ料理の老舗は、やはり健在。肉料理や魚介類のグリルに、にんにく、ハーブ、レモン、オリーブオイルの混ざったにおいが通りに漂い、食欲をそそられます。ギリシアではよく朝ごはんや夜食にするホウレンソウやチーズのパイ(スパナコピタ、ティロピタ)が美味しい店もやはりグリークタウンならではのもの。

古いヨーロッパの街に必ずある“広場”も小さいながら再現されていて、そこにはちゃんと噴水もあります。その名もAlexander the Great(アレキサンダー大王)広場。夏は花と緑がいっぱい、冬は、ギリシアのテーマカラー青と白でクリスマスのライトアップをする素敵な一角となっています。

道の名前が示されたストリートサインもギリシア語と英語。電信柱や街灯にもギリシアをイメージしたロゴが描かれていたり、ギリシア国旗が通りのあちらこちらに掲げられて、なかなかグリークタウンの雰囲気が出ています。

花いっぱいのレストランのパティオ席や、トレンディな雑貨屋、ギフトショップのディスプレイは色彩鮮やかで、太陽の降り注ぐ国ギリシアにぴったり。歩いているだけでなんとなく明るい気分に。やはりトロントのエスニックタウン巡りにグリークタウンは外せないなと思わせます。

今年ももうすぐ、毎年恒例のグリークタウンのお祭り、テイスト オブ ダンフォースがやってきます。2016年の開催日は、8月5~7日。食を中心としたこのフェスティバル、年々大きくなって、昨年はなんと150万人の人出があったそうです。

興味のあるかたはぜひ、ロハス路線で高級化したグリークタウンと、夏モードで陽気になったトロントニアン達を眺めながら、ギリシア料理を食べ歩きしてみましょう。音楽やダンスなどのステージパフォーマンスもあります。(人込みが非常に苦手な方はパスしたほうがよさそうですが…。)イベントの情報はこちらです。http://tasteofthedanforth.com/


お勧めの店
◇Leonidas  484 Danforth Ave
http://leonidas-chocolates.ca/
高級チョコレートの店。ベルギーでギリシア人が創始、EXPOで受賞し、今や世界各地で展開しています。地元ベルギーでは、インターネット人気投票チョコレート部門で二年連続一位だそうです。トロントに6店舗あるうちのひとつ。ネット検索したら、日本にも進出しているんですね。

◇Athens Pastries  509 Danforth Ave
http://athenspastries.com/locations/
スパナコピタ(ホウレンソウとフェタチーズのパイ)、ティロピタ(チーズパイ)、クレアトピタ(ミートパイ)など、ギリシアでは朝食や夜食に好まれるパイの店。パリッとしたパイ皮にしっとりした中味が美味しい。店内は狭いがコーヒーが飲めるテーブルも。テイクアウト、おみやげに。

◇Pantheon  407 Danforth Ave
http://www.pantheonrestaurant.ca/
ボリュームたっぷりで美味しいシーフードと肉のグリル、パイなども入った2人用コンボやプラッターが人気。それにピタブレッドとディップを頼めば4人でもお腹いっぱいに。タコのマリネとメリザノサラタ(焼きナスをつぶしてオリーブオイル、ガーリックパセリなどであえたもの)も本場の味。

◇Messini  445 Danforth Ave
http://www.messini.ca/
グリルした肉をピタブレッドで巻いたサンドイッチが売り。タコやイカのグリルも美味しい。

◇Pan on The Danforth 516 Danforth Ave
www.panonthedanth.com
ディナーはちょっと高めでも、メインディッシュが豊富で美味しい。週末はベリーダンスのライブパフォーマンスも。

◇Big Carrot  348 Danforth Ave
https://thebigcarrot.ca/home/
チェスター駅から近い自然食品&グッズの揃うスーパー。ベイカリーやテイクアウトも。

◇Healthy Planet  568 Danforth Ave
http://www.healthyplanetcanada.com/
自然・ヘルス食品、サプリ、自然治療薬、エッセンシャルオイルやバス用品など。


◇Blue Body  568 Danforth Ave
http://bodyblue.ca/
ハイブランドのデニムやトップスを揃えたお洒落なトロントニアンご用達ブティック。NOW Magazineの投票で二年連続一位獲得。


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