トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント市内に点在するエスニックタウンやローカル色の濃い商店街を“ネイバーフッド”と呼びます。世界各国の料理が味わえ、輸入雑貨や食材があふれるエスニックタウンのほかに、アートコミュニティ、ファッションディストリクト、学生街、ゲイタウン、ビーチーズ地区など、商店街のビジネスオーナーたちのこだわりや住人のライフスタイルが反映されるネイバーフッドが30ヵ所近くあります。マルチカルチャーな都市ならでの醍醐味、週末を使ってそんな街角巡り、ネイバーフッドホッピングに出かけてみませんか。


第29回 THE PATH 世界最大の地下街はトロントに 



フリーランスライター 三藤あゆみ


トロントのダウンタウン中心部、Dundas St. の南側には、ギネスブック認定の世界一大きなTHE PATHと呼ばれる地下街が広がっています。普段、地下鉄駅や駐車場からなんとなく入って買い物や仕事に出かけていますが、改めて地図を見てみると「すごい!」と思いませんか?

過去に何度か日本の雑誌向け記事に、この地下街について書いたことがありますが、その度にどんどん広くなっているのでびっくりです!現時点では30Kmの距離を網羅しています。イギリスでは、ハイキングトレールや遊歩道を “Path” と呼んでいました。ここもやはり英系カルチャーが濃いですね。

1900年にイートンデパートが本館と別館をつなぐ地下通路を作ったのがはじまりだったそうですが、当時はここまで広い地下街に発展していくとは誰も想像もしなかったでしょう。

PATHは、金融街で働く人にとっては通勤路だったり、ランチや仕事帰りに買い物をする普段の活動エリアかもしれませんが、意外と多くのトロント住民が、30kmも続いていることを知らないようです。

実際、Dundasのバスターミナルからイートンセンターを抜け、ベイデパートやシェラトンセンターを通ってロイトムソンホールまで地上に出ることなく歩いて行けるとか、ユニオン駅までPATHを歩き、スカイウォークを通ってCNタワーのすぐ目の前に出られるというとびっくりする人がいます。

PATHは、地下鉄Dundas 駅、Queen 駅、King 駅、Union 駅、St. Andrew駅、Osgoode駅と直結しています。さらにUnion駅から地下のストリートカーに乗れば、トロント島行きフェリーターミナルのすぐ近くまで行くこともできます。

車でダウンタウンに行かなくても、いちど地下鉄やGOトレインに乗ってしまったらもう外へ出ずとも仕事や買い物、食事に行ける地下街は、零下10℃、20℃などという日がある北国の冬にはなんとありがたい。

極寒の2月にダウンタウンの地下街のカフェで半袖シャツ姿でくつろいでいる人や、コートも着ずに“家着”のまま小さな犬を連れてぶらぶら歩いている人を見て、トロントに来たばかりの人は不思議に思うそうですが、彼らはたいてい地下鉄駅やPATHに直結している高級コンドの住人です。

近年は、PATHやダウンタウンの地下鉄駅に地下でつながっているコンドミニアムができたので、場所によってはだんだんと“ネイバーフッド”的な雰囲気も出てきました。

PATH には約1200店舗が入っているそうです。バンクタワーの下などオフィス街のほうへ行くと週末は閉まる店がほとんどで静まり返っていますが、よく磨かれたショーウィンドウや明るい照明が続く環境なので、冬は寒さしのぎに、夏は涼しさを求めてわざわざ地下を散歩する人も見かけます。

デパートやホテル、イートンセンター地下のお店やレストランは、冬は特に、いつも人がいっぱいです。グルメフードの店やスーパーマーケットも増えました。地下街サイドウォークセールやチャリティイベントがあったりもします。

80年代後半からTHE PATHの開発にトロント市が加わり、年々便利になり歩きやすくなってきましたが、90年代前半は、まだまだ迷路でした。分かりやすい表示がなく、ビルの名前を知らなければどちらの方角に向かって地下を歩いているのかわからなくなってしまうのです。
地上のように分かりやすい碁盤の目の通りではない上に、ランドマークのCNタワーも見えません。馴染みのあるフードコートや待ち合わせに便利な噴水などからちょっと遠くまで足を延ばしたら、迷ってしまって、一度地上に出るか地下鉄駅を探すしかなかい、というような時代もありました。

今は、どちらの方角に向かって歩いているのか分かるよう東西南北4色に塗り分けた矢印がつけられているので、CNタワーが見えなくてもだいじょうぶです。ビルの名前も短い間隔で表示されているので、迷うことがずいぶん減りました。

THE PATHの中にもところどころ地図が表示されていますが、インターネットで分かりやすい地図がダウンロードできるし、スマートフォンのアプリもあります。

寒くて外を散歩したくないけれど運動不足という人は、たまにはスポーツジムから趣向を変えて、地下のロングウォークに出かけてみてはいかがでしょうか。

イートンセンターから出発してどんどん南へ下り、新しくできた水族館やCNタワー方面まで行ってみる。ジムに通うのとはまた違ったエクササイズになり、小さなアドベンチャー気分が味わえます。疲れたらいつでも地下鉄で戻れるというのも気楽です。

THE PATHの情報や地図はこちら。
http://torontopath.com/path-map/




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