トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント市内に点在するエスニックタウンやローカル色の濃い商店街を“ネイバーフッド”と呼びます。世界各国の料理が味わえ、輸入雑貨や食材があふれるエスニックタウンのほかに、アートコミュニティ、ファッションディストリクト、学生街、ゲイタウン、ビーチーズ地区など、商店街のビジネスオーナーたちのこだわりや住人のライフスタイルが反映されるネイバーフッドが30ヵ所近くあります。マルチカルチャーな都市ならでの醍醐味、週末を使ってそんな街角巡り、ネイバーフッドホッピングに出かけてみませんか。


第25回 Bloor West Village
大都市の中にできた素敵なビレッジ




Runnymede駅で地下鉄を降りBloor St.へ出ると、そこは400軒以上の小さな店が連なるブロアウエストビレッジ(Bloor West Village)。ローカル経営のデリー、
ベーカリー、カフェ、個性的でセンスのよいインテリアや雑貨ショップなどのほかに、スーパー、ヘアサロン、リカーストア(LCBO)、薬局、クリニックなど日常生活でよく利用する店のほとんどが揃っています。

Bloor St.沿い商店街の北側と南側は閑静な住宅地が広がります。少し西へ足をのばすと、秋には鮭が上ってくるハンバーリバーや、野うさぎや鹿の住む緑いっぱいのパーク
など、自然もすぐ身近にあります。

ブロアウエストビレッジは、その名の通り、まるでひとつの小さな町のようにコンパクトに何でも揃っているコミュニティ。地元住民は「ブロアウェストビレッジは、大都市の中にできた小さな村」だと言います。

のんびりしとした郊外のような環境でありながらお洒落なな商店街もあり、地下鉄ブロア-ダンフォース沿線でダウンタウンに出るにも便利なので、トロントで一番家の売れ行きがよいところだそうです。

かつてこの界隈には、ウクライナ、ロシア、ルーマニア、ポーランド、ハンガリーなど旧東欧や中欧からの移民が多く住んでいました。20年ほど前までは商店街も、古いヨーロッパを思わせる焼き菓子やパン、ハム・ソーセージや瓶詰めのピクルスが並ぶ店や、東方教会の十字架やイコン(宗教画の壁掛け)、キャンドルなどを売る店が目立っていました。

現在はそれに加え、北米スタイルのコンテンポラリーな店も増え、また、アジアからの移民カルチャーも少し加わりました。春夏は花いっぱいのパティオがオープンし、ローカル住民でなくても、ショッピングやディナーに出かけてくる人々で賑わいます。

今のような素敵なネイバーフッドとなる前は、住民や店のオーナーたちがかなり苦労した時期もあったそうです。1960年代後半、地下鉄がこの地域まで延びてダウンタウンへのアクセスが便利になると同時にダウンタウンで買い物をする人が急増、ブロアウエストの小さなローカルビジネスに危機が訪れたのです。ブロアウエスト沿いの店の多くが潰れ寂れた街並みとなってしまいます。

70年代に入ると商店街の有志たちが集まり、ビジネスを再興してブロアウエストに活気を取り戻そうとプランを練り、州と市に協力を求めました。これが、地方自治体とローカル商店街が提携してビジネスを活性化させるプロジェクト、トロントのBIA(ビジネスインプルーブメントエリア)プロジェクトの始まりです。

はじめは275軒の商店やサービス業でスタートしたブロアウエストのプロジェクトは、大成功を果たし、魅力あふれる人の集まるエリアができあがりました。商店街やコミュニティのウェブサイトも充実し、現在71ヵ所のネイバーフッド商店街が参加するBIAのお手本となっています。

パティオの季節まであと少し、花と緑があふれ
さらにチャーミングな街並みになるブロアウェストビレッジの散策が楽しみです。夏にはJULYフェスティバル、秋には9月のウクライナフェスティバルやハロウィンフェスティバルなどが開催されるので、ウエブサイトをチェックしてぜひ出かけて見ましょう。

http://www.bloorwestvillagebia.com/











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