トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント市内に点在するエスニックタウンやローカル色の濃い商店街を“ネイバーフッド”と呼びます。世界各国の料理が味わえ、輸入雑貨や食材があふれるエスニックタウンのほかに、アートコミュニティ、ファッションディストリクト、学生街、ゲイタウン、ビーチーズ地区など、商店街のビジネスオーナーたちのこだわりや住人のライフスタイルが反映されるネイバーフッドが30ヵ所近くあります。マルチカルチャーな都市ならでの醍醐味、週末を使ってそんな街角巡り、ネイバーフッドホッピングに出かけてみませんか。


第24回 ROSEDALE
高級住宅街に渓流と遊歩道、都会の楽園




日本を代表する現代作曲家、故・武満徹氏の作品のひとつに「森の中で--Rosedale」というギター楽曲がありますが、これが意外なことにトロントのローズデールのイメージを曲にしたものだそうです。

かつて野バラの咲く谷間として知られていたローズデールは、地下鉄Castle Frank 駅の北側、東端はヤングストリート沿いRosedale駅あたり、東端はドンバレーに隣接した広いエリアです。

Rosedale駅からSummer Hill駅にかけてのヤングストリート沿いは、高級グルメショップや、お洒落なインテリア専門店などがたくさん並ぶハイクラスな商店街。住宅地へ入っていくと、緑に囲まれた閑静な高級住宅街があり、19世紀アッパーカナダ時代の大富豪が残した邸宅が残されています。

都会の真ん中にありながら、木々が繁る渓谷の遊歩道が約8kmも続き自然がいっぱいです。渓流の一部は埋め立てられたり、地下を流れているところもありますが、氷河期に形成された地形が多く残っており、森の中に入ると樹齢150年の木や、野生の草花、動物や鳥たちを見ることができます。

暖かい季節は散歩をする人やサイクリストが訪れ、雪が積もるとクロスカントリスキーをする地元の人々を時々見かけます。

ローズデールという地名は、開拓時代にこの地を所有し大邸宅を建てた有力者William Botsford Jarvis氏の妻メアリーさんがつけたそうで、野バラが咲き乱れ美しい渓流がある土地だったからだそうです。ちなみにトロントのJarvis StreetもこのJarvis家に由来しています。

現在ローズデールは、平均世帯年収が38万ドルという裕福なコミュニティです。トロント市に15箇所ある文化遺産保護地区に、北ローズデール地区と南ローズデール地区が入っています。

90年代半ばぐらいまではお金持ちの白人の高年齢者層が多く暮らすエリアというイメージでしたが、近年は若い世代の弁護士や医者、芸術家や学者などが増えており、また、地下鉄沿線のアパートを借りる学生も増えつつあります。

ヤングストリートへ出ると、ローズデールや少し北の高級邸宅地ブライドルパス住人たち行きつけの、グルメ食品やホームデコレーションの専門店が並びます。ちょっと気のきいたおもしろいものが揃っているので、特別な人へのお土産やギフトを調達するのによさそうなところもあります。



All The Best Fine Foods(1101 Yonge St., 416-928-3330)は、料理好きの人にはたまらない食材や調味料が手に入ります。たとえば、すぐ売切れてしまうので幻のワインビネガーとも言われるナイアガラの葡萄で作った「Minus 8 Wine Vinegar」や、キアンティワインで作ったワインビネガーなど。
良質なワインビネガーを使った自家製ドレッシングのサラダに、おいしいパンやチーズの組み合わせは最高です。

ローカルに人気の店は他にいくつもありますが、雑貨ではThe Drake Hotel General Store(1011 Yonge St., 416-966-0553)。トロント国際空港のコード「YYZ」が入ったプラスチック製のかわいいトラベルタグや、ユーモアいっぱいのグリーティングカード、缶入りのブレンドティー「二日酔いティー」など、トロント土産を意識した品揃えです。

また、この界隈で飲むならぜひ一度はThe Rebel Houseというバーへ。カナダのマイクロブルワリー数箇所から選びぬいたビール18種類のタップや、今流行のメイソンジャーに入って出てくるカクテルがここの売り物です。ボリュームたっぷりのブランチや平日のランチも人気です。









ローズデールの東の端はドンバレーと隣接しています。そこには、川沿いの緑地にあるレンガ工場跡地を利用して作った自然公園と、物づくりのための施設やファーマーズマーケットのあるEvergreen Brick Works(http://www.evergreen.ca/)というスペースができています。

ファーマーズマーケットには多くの市民が集まり賑わいます。冬季は、屋内で土曜の朝9時から午後1時までと少し規模が小さくなりますが、新鮮なローカル産のフルーツや野菜、ジャム、お菓子などが並びます。

フードコートやカフェでは地元の食材を使ったフルーツティーやジュースなどの飲み物、ランチなどが出されています。また、ガーデンマーケットの中にあるギフトショップには、自然の素材やハーブから作った石鹸などスキンケアグッズや、環境にやさしい洗剤等がたくさんあります。

子どもたちが遊んだり学べるプログラムや季節のイベント、外で遊べる場所もあるので、週末に家族でEvergreen Brick Worksに出かけてみてはどうでしょうか。そこを基点にイエローリバーの渓谷や遊歩道、ドンバレーのトレール散策やサイクリングに出かけるのもいいかもしれません。冬にはクロスカントリースキーができる日もあります。都市の真ん中にあるとは思えないような、ローズデールの自然にぜひ一度触れてみてください。











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