トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント市内に点在するエスニックタウンやローカル色の濃い商店街を“ネイバーフッド”と呼びます。世界各国の料理が味わえ、輸入雑貨や食材があふれるエスニックタウンのほかに、アートコミュニティ、ファッションディストリクト、学生街、ゲイタウン、ビーチーズ地区など、商店街のビジネスオーナーたちのこだわりや住人のライフスタイルが反映されるネイバーフッドが30ヵ所近くあります。マルチカルチャーな都市ならでの醍醐味、週末を使ってそんな街角巡り、ネイバーフッドホッピングに出かけてみませんか。


第21回 ハーバーフロント Harbourfront
再開発がいっきに進み、港沿いの散歩も楽しく

Photo: Mark Bradshaw


濃いブルーの空に白いかもめが舞い、緑のトロント島をバックに遊覧船やボートが行き交うハーバーを眺めながらボードウォークを散歩。夏はやはり水辺が気持ちいいですね。

かつては工業港だったトロントハーバーを再開発し、文化を育む場、市民と観光客の憩いの場そして、ウォーターフロントの住宅地を作ろうとトルドー首相が宣言してから、40年以上が経ちました。

10年ぐらい前を思い出すと、いくつかできていたウォーターフロントのコンドに住む友人を訪ねるか、何かイベントが開催されている時か、または暖かい季節にトロント島へ子どもたちと遊びに行くぐらいしか、ハーバーフロントへ足が向くことはなかったような気がします。

ところがここ数年のあいだに、港を望む美しいミュージックガーデンや、HTOパーク、ウェーブデッキなどが次々と作られ、ボードウォークや遊歩道も整備されて、平日の夜や週末にのんびり散歩するだけの目的でハーバーフロントへ行ってもいいなと思うようになりました。

コンドミニアムの建築ラッシュで地区の人口が増え、子ども連れで公園やスケートリンクに遊びに来たり、ペットの散歩や、ジョギング、ウォーキングエクササイズに毎日遊歩道を行き来する人もたくさんいます。観光ピークシーズンが過ぎても以前のように閑散とした雰囲気にはならず、ネイバーフッドに活気と温かみが加わってきています。

ハーバーフロント散策に出かけるなら、ウェスティンハーバーキャッスルホテルの辺りか、駐車場のあるクィーンズキーターミナルからスタートするのをお勧めします。ハーバーフロントセンター前のボードウォークを歩いて行き、桟橋を渡って、アムステルダムブルワリーと水上警察ビルの横を通り、さらに西へ向かいます。

黄色いパラソルとデッキチェアが砂の上に並ぶHTOパークに出たら、そこからさらにスパダイナウェーブデッキの上を歩いて、ミュージックガーデンへ。ミュージックガーデンは、ランドスケープデザイナーがチェロ演奏家のヨーヨー・マ氏と協力してデザインしたもので、バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番ト長調」を表現しているそうです。

散歩の帰りには、昨年オープンしたばかりのビール醸造所とパブが一緒になったアムステルダムブリューハウスに寄るのもいいと思います。湖を望むダイニングか、天気の良い日ならパティオに席を取り、醸造したてのトロントの地ビールを味わいましょう。色々な味を試してみたい人は、4種類のビールがセットになったFLIGHT TOURというのを注文してみて下さい。

アムステルダムのバーフードも悪くありませんが、ほかで食事をするなら、クィーンズキーターミナルの定番、港を一望するパールレストランの飲茶、ボードウォークのまん前で遊覧船が発着するエリアにあるアイリッシュパブや、イタリアンレストランなどもあります。

また、音楽、ダンス、アートの創作や発表の場、ハーバーフロントセンターも年間を通じてイベントが開催されています。パワープラントギャラリーの美術作品展示会や、シアターでのダンスや演劇の公演もなかなかおもしろい内容のものが多く、スケジュール満載です。

少し時間があるなら、観光客でなくても遊覧船や帆船に乗ってみるのも楽しいものです。1時間でハーバーとトロント島のまわりを巡る手軽なクルーズで、夏の爽やかな風に当たり、湖側から摩天楼を眺めていると、ちょっとしたバケーション気分が味わえます。

ところで、最近一気に増えたハーバーフロントの高層コンドミニアム。キッチンやリビングルームの壁一面がガラスとなっていてハーバーとオンタリオ湖を望む素敵なユニットもありますが、Gardiner Expresswayを通ると、なんとハイウェイぎりぎりまで迫った建てられ方をしているのが分かりますね。東京モノレールからの風景を思い出します。

この辺りの2寝室+サンルームの新しいコンドは、60万ドルから80万ドルぐらいで売りに出ているようですが、若い人々にたいへんな人気だそうです。新しくできた「テンヨーク」と呼ばれるひときわ聳え立つコンドには700を超えるユニットが入っているとか。ハーバーフロント再開発もピークに突入でしょうか。

これらハーバーフロント地区のコンドには1泊から宿泊できるバケーションレンタル用のユニットもわりと多くあり、カナダ人やイギリス人の間では家族旅行や出張で数日滞在する人々の間で人気上昇中です。

家具やリネン、台所用品、Wi-Fiなどが用意され、ユニットごと借りられるシステムになっています。眺めの良い部屋や、CNタワーを含めた街の風景が見渡せる2寝室のコンドが一泊80~250$ぐらい。たいてい2人~5人で泊まれるので、家族旅行ならホテルより安上がり、1週間料金や一ヵ月割り引きなどもあるようです。「Harbourfront, vacation rental」でネット検索すると、たくさん出てきます。

これからますます都会のウォーターフロントとして盛り上がっていくであろうハーバーフロント。トロントに来てからまだ訪ねたことがない皆さんも、しばらく行っていないなあ・・・という方も、この夏はぜひ一度遊びにいってみてください。



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