トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント市内に点在するエスニックタウンやローカル色の濃い商店街を“ネイバーフッド”と呼びます。世界各国の料理が味わえ、輸入雑貨や食材があふれるエスニックタウンのほかに、アートコミュニティ、ファッションディストリクト、学生街、ゲイタウン、ビーチーズ地区など、商店街のビジネスオーナーたちのこだわりや住人のライフスタイルが反映されるネイバーフッドが30ヵ所近くあります。マルチカルチャーな都市ならでの醍醐味、週末を使ってそんな街角巡り、ネイバーフッドホッピングに出かけてみませんか。


第20回 レズリービルLeslieville
レトロショップや隠れた名店、古いコミュニティを散策


トロント東端のビーチーズ地区からダウンタウンへ向かう途中に、レズリービル(Leslieville)と呼ばれる古いローカルコミュニティーがあります。Queen St. East 沿いにヴィンテージショップやレトロ趣味の輸入雑貨が集まり、レストランなどは家族経営で小さいながら食通に愛される隠れた名店が多いので、散歩日和にビーチーズ方面へ出かけた時にレズリービルに足を伸ばしてみるのもいいと思います。

昔、レズリービルはトロント郊外の小さな村でした。19世紀中頃にはジョージ・レズリー氏が経営していた種苗園を中心に栄え、園芸職人や庭師が多く住んでいた土地です。レズリーさんの種苗園では110品種のりんごの木や120品種ものバラなどが育てられ、19世紀当時の大英帝国の中で一番大きく、苗や種の輸出もしていたそうです。

カナダの愛国歌「メープル リーフ フォーエバー」作詞作曲のきっかけとなった「散歩中に赤いメープルの葉がコートの袖に舞い落ちて、まるで国章をつけているみたいに見えた」というエピソードも、ジョージ・レズリーさんと作曲家のアレクサンダー・ミューアが、レズリービルを散歩していた時の出来事だとか。

でも今は、公園の記念碑やウォールペインティングにそんな歴史の一コマが記されているだけで、種苗園とガーデニングの村だった頃の面影はほとんど残っていません。中産階級のファミリーや若いカップルが多い住宅街と、Queen St. East 沿いのヴィンテージショップを中心とした商店街が最近のレズリービル界隈のイメージでしょうか。

以前はEastern Ave. にヘルズエンジェルズのトロント支部があり、それもレズリービルの個性に一役買っていましたが、2007年に警察の手入れがあって立ち退きとなりました。近年はオンタリオ湖側にできた映画の撮影所が新たなランドマークになりつつあります。

トロントでは商店街が協力し、迷惑な壁や塀の落書きやスプレーペンキでのいたずらをウォールペインティングに変身させようというコミュニティプロジェクトがあるのですが、レズリービルも若者やアマチュアアーティストを雇ってそれに積極的に取り組んでいる地域のひとつです。以前は殺風景で汚れたレンガの建物が明るい色彩のアートに次々と姿を変え、道行く人の目を楽しませてくれます。






最後にレズリービルで最近話題の店をいくつか挙げておきます。

Leslie Jones (1182 Queen St. http://lesliejones.ca)
「Hello my name is...」と書いたコンファレンスなどで使うネームステッカーのデザインの看板が目印。イタリアン系のヌーベルキュイジーヌ。カジュアルで飾り気のない店内からはちょっと想像できない、素材にこだわった美味しい創作料理が食べられる。たとえば、ダークエール、エスプレッソ、あめ色玉ねぎなどで味付けした牛肉ブリスケット、トリュフオイルとハーブでローストポテト、そしてアーティチョーク、ローストペッパー、生ハム、ゴートチーズと焼いたポレンタなど。ここで2度食事しましたが、また行きたいと思いました。


Baldini Restaurant (1012 Queen St E http://www.baldinirestaurant.com/)
地中海風シーフードと肉料理、南イタリアのパスタなど。メインやパスタのソースに地中海地方のさまざまな素材を使っている。ワインとチーズを組み合わせたソース、ワインとサフランのソース、トリュフオイルなど様々。土曜日はブランチが人気です。

Coach House Shortbread Company (235 Carlaw Ave http://www.shortbread.ca/)
オーナーが一人でショートブレッドクッキーを焼き、それだけを専門に売る店。レモンピール、オレンジとカルダモン、ダークチョコとシーソルト、バラ花びらの砂糖漬けとアーモンドなどの入ったもの、またワインとチーズに合うゴルゴンゾーラとピスタチオ、アジアゴチーズとガーリック入りなども。

ショートブレッドやバタークッキー好きな人々から絶賛支持されている。毎年クリスマス前には1万5000パックの注文がはいるとか。

ここは目につきにくいロケーションのうえ営業時間が短いので販売所に行きにくいのですが、ウェブサイトのメニューを見て電話やメールで注文することができます。また、Cheese Boutique(45 Ripley Avenue Humber Riverの東側で QEWの北)また、ヨークビルのDinah’s Cupboard(50 Cumberland St)にも卸しているそうです。

Arts Market / DESIGN STORES(1114 Queen St E)
トロントのアーティストたちが店内のスペースを借り、自分の作品を中心に販売。アクセサリー、クラフトなど。先日寄ってみたら、アンティーク椅子に不思議の国のアリスのお茶会シーンを描いた素敵な作品に出会いました。

Baby On the Hip (969 Queen Street E http://www.babyonthehip.ca/)
赤ちゃんグッズとママファッションの専門店。大きなショッピングモールでは手に入らないような個性あるかわいい品揃えです。


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