トロント街角めぐり ネイバーフッドホッピング  

フリーランスライター 三藤あゆみ

トロント市内に点在するエスニックタウンやローカル色の濃い商店街を“ネイバーフッド”と呼びます。世界各国の料理が味わえ、輸入雑貨や食材があふれるエスニックタウンのほかに、アートコミュニティ、ファッションディストリクト、学生街、ゲイタウン、ビーチーズ地区など、商店街のビジネスオーナーたちのこだわりや住人のライフスタイルが反映されるネイバーフッドが30ヵ所近くあります。マルチカルチャーな都市ならでの醍醐味、週末を使ってそんな街角巡り、ネイバーフッドホッピングに出かけてみませんか。


第13回 チェリービーチ(Cherry Beach)とポートランズ(Port Lands)


まだ冷え込む日が多いとはいえ、やっと春の陽射を感じるようになりました。待ちかねていた、トロントの青い青い空と緑が美しい季節がやってきますね。そこで今月号から夏にかけてのネイバーフッド巡りは、商店街を少し離れ、都会の自然に触れることのできる素敵な散歩ルートや憩いの場所をいくつか紹介していきます。今回は、ダウンタウンの南東側ウォーターフロントのポートランズ地区とチェリービーチです。

昔のウィスキー蒸留工場跡を再開発したディスティラリー地区は皆さんよくご存知だと思います。その東側を通るチェリーストリートをさらに南下し、小さな運河の橋を渡ると広い駐車場のあるアジア系スーパーマーケットT&Tが見えてきます。このあたりから、東のLeslie St.にかけてのオンタリオ湖岸をポートランズ地区と呼びます。水辺のレジャーやスポーツ、自然の中の散歩、ウォーターフロントトレールのサイクリングがなどが楽しめる、ローカルに人気の都会のアウトドアエリアとなっています。

T&Tの裏手Polson St.を湖に突き当たるまで進むと、湖越しにトロントの摩天楼を眺める絶好の撮影スポットがあります。ポストカードでよく見かけるトロントの美しい夜景の多くはこの桟橋から撮影しています。ダウンタウンの観光地やオフィス街からちょっと離れているため、トロントに詳しくなってみないとなかなか発見できない場所です。

Polson St.には、300ヤードのゴルフドライビングレンジ(http://www.polsonpier.com/attractions/view/2)、ドライブインシアター、ゴーカート、パットゴルフ、屋外プールなどの施設があります。ドライブインシアターは毎年5月にオープンし、Polson桟橋はこれから夏に向けてどんどん活気づいていきます。

もうひとつ運河の橋を渡り、Cherry St.をさらに下っていくと、チェリービーチに突き当たります。夏の週末は、日光浴やピクニック、BBQをしにくる人々で賑わいます。ここは泳げる安全なビーチに指定されており、水遊びをする子供たち、ウィンドサーフィンをする人、カヌーの練習をする人、カイトで遊ぶ人なども。また、犬を放して遊べるエリアも設けられています。

チェリーストリート沿いを走り、ビーチの横を抜けていく自転車道ウォーターフロントトレールは、さらに東のトミートムソンパークや、ビーチーズのほうまで続いています。ツタや木々の緑の間に白いヨットの浮かぶ湖が見え隠れするチェリービーチ沿いのトレールも、自然保護地区で野生の花や水鳥が多いトミートムソンパークのトレールも最高のサイクリングコースです。



チェリービーチは、映画やテレビのロケにもよく使われるところです。今年は、日本でも夏に公開予定の映画「サイレントヒル: リベレーション3D」にチェリービーチが登場します。大ヒットした、コナミのホラーゲーム「サイレントヒル」を実写化したものです。トレーラーを見てみるとやはりビーチも間違いなくホラーな設定で、チェリービーチは、不気味な“レイクサイドアミューズメントパーク”に見事に変身していました。

不気味といえば、1980年代チェリービーチ一帯は、日が暮れた後はあまり近づきたくないエリアでした。昔は倉庫や工場が集中していたところが1960年代にすっかり廃れてしまったそうですが、80年代にはいってもまだ再開発が進んでおらず、廃墟や草ぼうぼうの荒地ばかりが残されていました。当時、反抗的な若者やギャングが警察に捕まると、パトカーでチェリービーチに連行されて人影の無い場所でコワーイ尋問が行われるという噂がたち、「チェリービーチ エクスプレス」などという流行語が生まれたこともありました。



そんなチェリービーチも今ではすっかり整備され、アーバンライフを楽しむ若者や家族連れの集まる憩いの場所となりました。駐車場やロータリーも一新され、一般向けの更衣室やトイレもできました。ダウンタウン側の桟橋周辺には、摩天楼をのぞむドライブインシアターなどの新しいレジャー施設がありながら、そこから5分、10分離れただけで、都会のビル群が目に入らない水辺の自然が存在します。地理を生かしながら上手く設計し開発し、どんどん魅力ある土地に変わっていくのには感心します。


暖かくなったら今年はぜひ、ポートランズとチェリービーチに足を延ばし、ダウンタウンとはまた一味違ったトロントを体験してみてください。自然と水が大好きな方は、チェリービーチ周辺だけでなく、ぜひLeslie St.から続くトミートムソンパークへも。ダウンタウン住民やローカル達の週末の楽しみをきっと満喫できると思います。




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