特別企画インタビュー



メジャーリーグサッカー トロントFC
遠藤 翼選手

Tsubasa Endo

今回は特別企画として、現在トロントFCで活躍されるサッカー選手、遠藤翼さんへインタビューをさせて頂きました。

5歳からサッカーを始め、名門校JFAアカデミー福島に第一期生として入学。同校在学中の2011年3月11日、練習中に東日本大震災を経験し  “Earthquake survivor” としても海外で知られています。アカデミー時代の海外研修プログラムをきっかけに、アメリカの名門メリーランド大学へ入学した後、 2016年のドラフト会議でトロントFCより日本人初のドラフト一巡指名で同クラブへ加入しました。たゆまぬ努力で常に躍進し続ける遠藤選手。今までのご 活躍からプライベートなお話まで、是非お楽しみ下さい。

-本日は商工会個人会員でもあるSynclex Enterprises Inc. 若狭輝行社長より、トロントFCで活躍されています遠藤翼選手をご紹介頂きました。遠藤選手と若狭社長がお知り合いになったきっかけは何ですか。
若狭)2016年に翼さんがトロントに来ることが決まり、当時トロントFCが主催されたイベントに私が出席していました。そこで翼さんとご挨拶をさせて頂 いたのが初めてです。新しい環境に来られてプレーに全集中されていた時期でしたので、それからしばらくは僕としても連絡はしていませんでした。

ちょうど昨年コロナ禍の中、翼さんのほうから「日本人のプロサッカープレイヤーとして、日系コミュニティーの方々に何か貢献できることはないか」という熱い思いを発信され、僕に連絡を頂きました。そこで、是非商工会でもご紹介も兼ねて本日お時間を頂くこととなりました。

-お声かけいただき大変光栄です!ありがとうございます。それでは早速、遠藤選手に色々聞いていきたいと思います。まず、ご出身はどちらですか?
遠藤)千葉県の四街道市というところで育ちました。

-プロサッカープレイヤーになろうと思われたきっかけについてお聞かせ下さい。

Tsubasa Endo遠 藤)僕がサッカーを始めたのは5歳のころでした。父親から強制的にやれと言われたのがきっかけでしたが、続けていくうちにだんだんと楽しくなって。本当に サッカーを楽しんでいた時期でしたね。そのうちに上を目指したいという気持ちが芽生え、小学校の中高学年くらいから、プロになりたいと思っていました。

-千葉でずっとプレーをされていたのですか?
遠藤)そうですね、小学校までは千葉でプレーをしていました。中学校へあがる時にJFAアカデミー福島に合格し、中高一貫教育ということもあって、6年間福島にいました。

若狭)JFAアカデミー福島はサッカー専門の学校なんですか?

遠藤)そうですね。フランスのクレールフォンテーヌという多数のフランス代表の選手を輩出している有名なアカデミーがあるんですけど、JFAアカデミー福 島はそれをモデルとしたアカデミー校です。僕は一期生として、全国から400~500名応募があった中、セレクションで17人に選ばれ入学することができ ました。第三次試験まであったのを覚えています。

若狭)すごい倍率ですね。同期の方で現役でプレーされている方も沢山いらっしゃるんじゃないですか?

遠藤)それがあまりいないんですよ。エリート校とずっと言われていましたが、今は概念やアカデミーも僕らがいた頃とは違ってきているみたいで。僕らがいた 頃は「海外へ出る」ということが大事だとずっと言われてきました。もちろん、ドイツで今活躍している選手もいますし、僕が一番仲がいい同期は現在もJ1で 活躍しています。それ以外は社会人リーグなんかでプレーしていますね。

若狭)そうなんですね。ずっと福島にいらっしゃったということですが、震災の日も福島にいたと聞きました。当時、翼さんは練習されていたんですか?

遠藤)そうですね、ちょうど練習をしていて「これ何だ?」って始めは思いました。直後に地震だってわかったので、センターサークルにみんなで集まり揺れが 収まるのを待っていましたが、照明やコンクリートの壁が全部崩れてきて。地震が収まってから走って寮内に戻り、各自必要なものだけ持って、大きなジムがあ るんですけどそこで皆で一夜を過ごしました。本当に大変でしたね。

若狭)停電なんかも起きていました?

遠藤)停電はなかったかな?それよりも福島原発から20km圏内だったので、放射線が危ないということもあり、次の日に福島の少し下の方へ移動し、体育館で一夜を過ごしました。その後は、JFAがバスを手配してくれたので東京に戻ることができました。

若狭)その後はどこかへ移動されてプレーをしていたのですか?

遠藤)それが3月だったので、その後1ヵ月くらい休学の時間がありました。その時は各自地元のクラブチームに参加したりして、身体を鈍らせないようにして いました。静岡に「時之栖(ときのすみか)」というサッカーの施設が充実している場所があり、高校最後の1年間はそこで過ごしました。

-貴重なご経験をされましたね。海外に進出しようと思ったきっかけは何ですか?
遠藤)小さい頃から母親に強制的に英語を習わせられていたんですよ。その影響かどうかはわからりませんが、中学・高校になるにつれて英語が好きになり、英 語がしゃべりたいという意欲が他の人よりもあったのかなと個人的に思っていました。いずれは英語圏に行って英語を喋りたいというのをずっと願っていました ね。

アカデミーにいる時にペアになって2、3週間多文化やサッカーの文化の違い、普通の生活の違いを体験する海外研修プログラムというのがありました。自分の行きたい国に行けるということで、僕はイングランドとアメリカを選びました。

第一希望のイングランドは残念ながらダメでしたが、アカデミーがアメリカ大学のサマーキャンプみたいなものへ応募をしてくれ、それがたまたまアメリカの中 でもトップの大学でした。二回参加する機会があり、二回目のメリーランド大学のサマーキャンプで監督に気に入られて「奨学金をあげるから来い」と言われま した。

若狭)メリーランド大学はサッカーの名門校ですよね。そこへ奨学金とはすごいですね。

遠藤)当時、僕の英語力が全くだったので、奨学金を貰うためにもまずはSAT(大学進学適正試験)に合格しなくてならず、そこからの一年半はずっと英語の勉強をしましたね。もう死ぬほどしましたよ。

Tsubasa Endo

-サッカーと英語の勉強の両立はどうでしたか?
遠藤)本当に行くことが決まってからも、サッカーが第一ということは僕の中で変わっていませんでした。1日はみな平等に24時間ですから、自分の将来の為 に何かを犠牲にしなければならないということは、自分の中で分かっていたので、毎日夜中の2、3時くらいまで英語を勉強しました。それほど自分の中でも行 きたいという思いがありましたね。その甲斐あって、メリーランド大学に入学できたのは、本当に良かったです。

-日本と海外のサッカー環境の違いについてお聞かせ下さい。
遠藤)環境の面でいえば、日本だと大学に行っている人が多く、寮では一部屋8~10人で生活しないといけないなんてこともあります。部員数が200人以上 いるところもあるので、どうしても埋もれちゃう選手もいるんですよ。また最初の1年目は雑用だったり、練習なんかも朝早くから夜も遅くまで残らなくちゃい けないなど不公平な部分もあると思います。

逆にアメリカだと全然それがなくて。僕の大学だと22、3人と、決められている人しか入れないのでチャンスがくるんですよ。練習もちゃんとできるし、設備も日本の大学に比べるときちんとしているので、そういう部分では恵まれていたと思います。

サッカーの部分でいえば、アカデミーの時は後ろからボールをずっと繋げて「ボールを失うな」と言われてきましたが、海外だとリスクを負って、そのパスがリスクであってもチャンスになるのであれば「パスを出せ」など最初は戸惑いましたが、だんだんと適応していきましたね。

若狭)大学在学中は学業とサッカーを両立されていたと思いますが、練習は日本のように朝練があって、夜遅くまでといったような感じでしたか?

遠藤)練習の時間によってクラスを組立てるので、シーズンじゃない時は、午前中に練習をして、午後は全部クラスを入れていました。例えばスプリングセメス ターはシーズンじゃないので、朝8時くらいから練習、フォールセメスターは午後2時とか3時から練習なので午前中にクラスを入れたりといった感じです。

若狭)専攻されていた社会学はどうでしたか、難しかったんじゃないですか?

遠藤)いや、結構簡単でしたよ(笑)僕的にはスポーツビジネスなんかのビジネス系を取りたかったんですけど、それはあとで自分でも学べると思ったので、卒業することを一番に考えて専攻しました。

若狭)食事はどうでしたか?何か困ったことなどありましたか?

遠藤)全然大丈夫でした。もちろん日本食を食べたいと思う時もありますが食べないとダメになるというまでにはならないので、そういった部分で僕は適応できるタイプですね。

-2016年2月にトロントFCからMLS(メジャーリーグサッカー)日本人史上初ドラフト一巡目で指名を受けたということですが、この瞬間はどうでしたか?
遠藤)ただただびっくりでしたね。その時9位指名でしたが、一巡目で指名されると思っていなかったので、本当にびっくりでした。

若狭)八村塁さんの遥か先駆けで、日本人メジャーリーグプロプレイヤーとされて一巡目で指名されたということは歴史的快挙です。ありきたりな表現しかでき ませんが、本当に素晴らしいです。他にも色々な名門チームがあるなかで、トロントに指名されたということについてはどうでしたか?

interview遠藤)実はカンザスシティというチームからずっと気に入っていただいていたので、絶対指名されるだろうと思っていました。確かトロントの指名順位が9番目で、カンザスシティの指名順位が11番だったと思います。それで「トロントか」って思いましたね(笑)。

アメリカの大学にいたので、アメリカにいたかったというのが正直な感想でした。カナダは行ったこともなく、近いと言っても国が違うので予想が全くつかなかったですね。

ドラフトが決まった時に、みんなから「絶対好きになるよ!」と言われていましたが、自分の目で見ないと信じられないタイプなので、当時は全然信じていませんでした(笑)。といっても、もう6年目の今では、最高の街だと思っています。

若狭)トロントに決まった時のご両親の反応はどうでしたか?

遠藤)母親が会場に来てくれ、本当に喜んでくれました。

-同年の5月7日、ダラス戦で初ゴールを決めてチームを勝利に導きましたが、その瞬間はどうでしたか?
遠藤)ゴールを決めた瞬間は頭が真っ白でした。その試合は確か8試合目か9試合目くらいで、その前まではずっとアウェイでの試合だったんですよ。ダラス戦 がそのシーズン最初のホーム開幕戦で、スタジアムも完売して3万人以上の方達が見に来てくれた中、3-0とか4-0ではなく、1-0という僕のゴールで勝 てたというのは本当に嬉しかったです。

Tsubasa Endo若狭)歴史に残る名ゲームでしたね。トロントだけではなく、カナダ全土の日系人に感動とインパクトを与えてくれたシュートでした。まさに「やったー!」っという感じでしたね(笑)。本当に素晴らしかったです。


-現在コロナ禍での練習はどのように行っていますか?
遠藤)昨年ロックダウンに入った状態のときgameは、 Zoomを使って練習をしていました。チームでグループに分かれて2日に1回のペースでストレングスや筋トレを40~45分ほどしていました。食事面で は、僕らがグロサリーショッピングに行って感染のリスクを高めるのを抑えるために、チームのスタッフがプレイヤーに二日に一回食事を届けてくれていまし た。

今はオフシーズンなので、国に帰っているプレイヤーもいますが、トロントにいるプレイヤーは自主的にトレーニング場でトレーニングをしています。

若狭)チームメイトと連絡を取られたりしていますか?
遠藤)しますよ。なんでか分からないんですけど、僕フランス人とめちゃくちゃ仲いいんですよ(笑)みんなまだフランスにいるんですけど、連絡はこまめにとっています。

若狭)6年間トロントFCに在籍されて、選手の入れ替わりもあるかと思いますが、チーム全体の雰囲気はいかがですか?

遠藤)だ いたい毎年いい人達が多いですね。僕が入ってきた2016年からコアな人たちはあまり変わっていないんですよ。安定性を求めるチームなので、選手の入れ替 わりがなければないほどケミストリーじゃないですけど良くなるのは自然なので、それを求めているというのはありますね。とはいっても昨年は多少入れ替わり はありました。一番大きいのは、監督が替わったということですね。

若狭)他のチームの選手と連絡を取ったりというのはありますか?

遠藤)ありますよ。同期や同じドラフト生、大学時代のやつらなんかも全然います。一部ですけど本当に小まめに連絡はとっていますね。

若狭)MLSは各国の代表の選手がいらっしゃるので、他のリーグと比べて色々な方と対戦する機会があるうえ、知り合いになれる機会もあり、刺激を受けることも多いんじゃないですか?

遠藤)そうですね。本当に色々なスター選手がくるので、そういう選手とプレーできるというのは他のリーグにない貴重なことだと思います。そういう意味では毎年の対戦は刺激にもなるので、楽しみです。

-少しプライベートなことについてお聞きしたいと思います。趣味はなんですか?
遠藤)趣味か~、何でしょう?最近だとゴルフですかね。

若狭)今度是非行きましょうよ!

遠藤)マ ジでいきましょう!親がめちゃくちゃゴルフにはまっていたので、大学生の時から毎年日本に帰るたびにゴルフをやらされていたんですけど、最近になって個人 的にはまってます(笑)。トロントではクラブがないのでまだプレーしてませんが、こっちでもやりたいなと思っています。

若狭)商工会も毎年コンペティションやってるので、是非是非参加して下さい!シーズン中のオフの時間は何をされてますか?

遠 藤)試合に出ていればリカバリーに費やしますが、出ていなければジムなどへ行ってトレーニングをしています。でも、トレーニングのしすぎもよくないので、 オンとオフは切り替えるというのをモットーにしています。あとはコーヒーが大好きなので、ローカルのコーヒー屋に行ったり本当にゆっくりしてます。

-トロントでお気に入りの場所はどこですか?
遠藤)今、トロントのダウンタウンに住んでいるんですけど、いってしまえばここが癒しの場所ですね。本当にここから出ません(笑)日本食のレストランなんかも沢山ありますし、とても住みやすいです。

若狭)チームメイトと食事なんかへも行かれますか?

遠藤)練習で毎日顔を合わせているので、しょっちゅうはいきませんが、たまに行きます。僕一人っ子なので、一人の時間って結構好きなんですよ。そういう時間も大事にしています。

-今期の目標についてお聞かせ下さい。
遠藤)今期は監督が替わるので、みんなフラットでスタートするんじゃないかと思っています。選手として「試合に出場する」ということは一番大事ことですので、個人的には普段通りにプレーをして、試合にコンスタントに出るということが目標です。

最近になって今を生きるじゃないですけど、「今」が大事だと思っています。もちろん目標を掲げるのも大事で、僕自身も大きな目標はありますが、今やれることをしっかりやっていけば、将来に繋がるんじゃないかなと思っています。

若狭)トロントFCのファンの皆さんについてはどのような印象を受けますか?2017年、2019年の決勝戦なんかも皆さんスタジアムで熱狂的に応援していましたね。

遠藤)本当に熱いファンの方達で、これほどない熱気を下さるので、選手としてはプレーをしているとモチベーションが上がりますよね。リーグの中でも熱いサポーターの方達なのでアウェイのチームなんかはトロントではプレーしずらいというのはよく聞きますね。

-先程 「大きな夢」とおっしゃっていましたが、それについてお聞かせ下さい。
遠藤)やはり日本人なので日本代表に選ばれたいです。日本代表のユニフォームを着てプレーしたいというのは日本人のプロとしてプレーしている選手は皆思っていることだと思います。ずっと自分の夢でもあるので、これからも目指したいですね。

event-最後になりますが、日系コミュニティーの皆様へメッセージをお願い致します。
遠藤)今 年でトロント6年目になりますが、あまり日系コミュニティーと交流がなく、今回このようにインタビューしていただいて、もっと僕のことを知ってもらえれば 嬉しいです。それプラス、試合があれば僕のこと、トロントFCのこと応援してくださればとても嬉しいですし、僕はピッチ上で活躍して日系コミュニティーの 皆さんへ勇気を与えられればと思っています。応援よろしくお願いします。






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