オンタリオで活躍する日本人に聞く



ホリスティックセラピスト&フリーランスライター

 三藤 あゆみ (Ayumi Mitou)さん

今 回はホリスティックセラピストとフリーランスライターとしてご活躍され商工会の『とりりあむ』にも携わっていただいている三藤あゆみさんに、合気道講師と して足を運ぶ道場にてインタビューをさせていただきました。「気」を使った民間療法を一人でも多くのカナダ人に広めるため、またライターとしても様々な情 報を日々発信しています。

(伊東 以下(伊))まず初めに三藤さんは何をされていらっしゃる方ですか?

 (三藤 以下 (三))ホリスティック(Holistic) セラピストです。日本では「セラピスト」と言いますが英語では 「プラクティショナー」を使うことが多いです。

(伊)具体的な仕事の内容を教えてください

(三) 心と身体をさまざまな方法で癒す療法の事を言いい、「補完医療」のセラピストです。

(伊)補完医療というのはどういった医療ですか

(三) 指圧や氣功、鍼、アロマセラピー、ホメオパシーなど、西洋医学以外の伝統医療、いわゆる民間療法、健康法などをまとめて補完医療とよびます。代替医 療とも言いますが、そう言うと、たとえばお医者さんに行く「代わり」に指圧だけに頼る、漢方薬だけに頼るという印象があるので「補完」つまり補うための療 法と言うほうが、カナダでは最近多くなってきました。

(伊)西洋医学の分野があって、そこではできない事をするといった認識でよいでしょうか。

(三)そうですね。

(伊)ちなみにこれらはOHIPの対象になる医療行為ですか。

(三) いいえ、残念ながらほとんどの補完医療はOHIPの対象にはなっていません。条件を満たしていれば、マッサージセラピーや、最近では鍼治療のように オンタリオ州のライセンスがあり、また、指圧、リフレクソロジー、レイキ、気功などはトロント市がビジネスライセンスを発行していますが、いずれも OHIPは適用されません。

(伊)施術は主にどちらでされていますか?

(三)道場と自宅で行っています。私が行っているのは推拿(スイナ)といって経絡やツボを使った指圧と按摩を併せたような中国の施術方法になります。もうひとつは気功治療です。

(伊)これらはどこに効く治療法ですか?

(三)スイナはツボや経絡を押したりマッサージして身体をリラックスさせたり、痛みなどの症状を和らげる指圧のような効果があります。気功療法は体操の気功ではなく、手当療法のひとつで、身体の「気」エネルギーの流れを整えます。

 呼吸法を含む気功療法のトレーニングをすると、まるでカイロのように手が非常に温かくなります。その手をクライアントさんのネルギーセンターや痛みのある部分にあてたり「気を流す」と、リラックスして5分もかからないうちに寝てしまったり痛みが緩和されます。

これはストレスが軽減されたり、リラックスモードの副交感神経が働くようになるからだと言われています。最近では「オキシトシン」という脳内物質が増えるからという説も出て研究されています。

手当療法と言うとちょっと怪しいと思われる人もいるかもしれませんが(笑)、気や経絡は目に見えないので不思議ですが効果があり、トロント市は「気」の考えに基づいた気功療法やレイキ療法にも条件を満たすセラピストにはホリスティックライセンスを出しているんです。

この2つで皆さんの疲れや痛みを取るお手伝いをさせていただいています。これが私の仕事の3分の2くらいを占め、残り3分の1はライターの仕事をしています。

(伊)商工会でも執筆校正に携わっていただいておりますが、たしか商工会のウェブサイトが出来たのが2003年頃だったのでそれくらの時期からお願いしていましたよね。

(三)商工会の『とりりあむ』のお仕事も長い間続けさせていただいています。実は商工会ウェブページができるもっと前にも編集を担当していました。学校へ行く事をきっかけに一度離れましたがまた月に一度の編集に戻ってきました。

(伊)何かのご縁ですね。当時のとりりあむは3ヶ月に1度、紙に印刷をして発行していましたね。それ以外での執筆活動を教えて下さい。

(三) 2006年まではフルタイムで取材・ライターをしていましたが、セラピストになってからは、3つぐらい執筆活動をしています。日本の宝島社や Nova出版がムック本や特集本を出すときに依頼をいただいています。定期的ではありませんが、自身の仕事にかかわるホリスティックや民間医療、またトロ ントに住んでいる人達の生活や文化についての題材が多いです。それからこれもプロジェクトごとの依頼ですが、朝日新聞の下取材のお仕事もあります。あとは 英語のオンライン合気道雑誌の記事の仕事を定期的にしています。

(伊)なるほど。なかなかお忙しいですね。3分の2がセラピスト、3分の1がライターの仕事ということですが、こちらの道場では何をしているのですか?

(三) 実はカナダ人の夫が道場長で合気道道場を運営していまして、私は趣味として合気道をやっていますが、何年も続けているので今は初心者クラスの講師も しています。道場はNPO団体で、カナダ人の大人や子どもにセルフディフェンスや日本の武道とその精神を教えています。時々ですが日本からの留学生やワー ホリの方も稽古に参加してくれます。

(伊)それでは、カナダに来たきっかけを教えて下さい。

(三)実はしっかりとしたプ ランは立てていませんでした(笑)。というのも高校卒業後、イギリスへ留学し、英語圏の大学へ行く準備をしていました。当時イ ギリスでは「Aレベル」という高校生レベルの英語などの教科をとって試験に合格すると大学に出願・入学できるシステムがありましてそれを1年半勉強してい ました。

Aレベルが取れた頃、トロントに来る機会があり、当時住んでいたロンドンやエクセターよりトロントの多国籍で雑多な文化に魅かれトロント大学へ進学したいと思いました。

(伊)その後トロント大学へ進学はされましたか?

(三)はい。心理学と東アジア学の二つをメジャー専攻しました。

(伊)卒業後はどのような進路をたどりましたか?

(三) レポーターになりたかったので、半年から一年程試行錯誤の後、トロントのジャパンコミュニケーションズ社からメディアのためのリサーチや下取材、 ニュース翻訳のお仕事をもらいながらしばらく生計を立てていました。日本からの一ヵ月がかりの大きな取材等にも携わり、そこではマスメディアの仕事に関し てほんとうに様々なことを勉強させてもらいました。

(伊)それは1990年代半ばごろですかね。

(三)1994年くらいだったと思います。1998年~2000年頃になるとテレビ番組の取材や準備リサーチの仕事を沢山していましたので、始めたのはそれくらいの時期でした。

(伊)その時のお仕事が今のフリーランスライターとしての三藤さんに繋がっていったんですね。

(三) そうですね。フリーとして仕事を頂くには、何か武器がないと最初は本当に相手にされませんが、日英両語で迅速にリサーチをして取材もできるというこ とでなんとか業界に入るきっかけがつかめ、色々なプロジェクトに使ってもらえたと思います。学生の頃から学校の勉強以外でも…というか勉強以外のほうが更 に集中しますが、一つのことに興味を持ったら日本語でも英語でも食事も忘れるほど調べて情報を読みまくっていたのがいつの間にかスキルに。

仕 事をはじめて10年程ほどたった頃にカナダから日本に取材に行く仕事も取り始めました。例えばカナダのヒストリーチャンネルやCBCが日本の事を取材し たいなどあれば仕事に応募し取材・撮影チームに採用されるようになり、カナダのドキュメンタリー番組作りに携わるようになりました。
ドキュメンタリー「For King and Country」これはカナダから日本へロケにいきました
https://www.youtube.com/watch?v=jXoFc1SSjO8

(伊)それは2000年頃ですか?

(三)そうです。2000年から2006年頃まで取材や撮影チームの一員として各地を飛び回っていました。2003年頃からはトロントのBest of Chinese Medicineというところで気功治療や東洋医学のコースで勉強もしていてとても忙しかったです。

(伊)セラピストの話に戻りますが、クライアントさんはどんな方が多いですか?

(三) カナディアンが多いです。日本人の方は3分の1くらい。はじめはアジア系の方が断然多いと思っていましたが白人の方も多いのは意外でした。男女差は なく、年齢層は18歳ぐらいから65歳ぐらいと幅広いです。商工会メンバーの方も時折、指圧やレイキに来てくださいます。いらっしゃる方は「気」や東洋医 学の知識の豊富な方が多いです。

(伊)そうなんですね。今後の目標を教えて下さい。

(三)気の健康法をもっとカナダに広めていきたいです。気功の運動や気を身体に流すなどは家でもできる健康法、リラックス法です。

以前商工会会員の方が来てくださった時にレイキを施術させていただきました。レイキの場合は30分間ほどエネルギーセンターに気を流していくのですが開始3分ぐらいで眠り「これ、催眠術でしょ?」といわれました(笑)。

それを自宅や職場で短時間でもリラックスしたり、寝付けない時などの健康法としてたくさんの人に使ってもらいです。「気」は合気道にも通じていますのでそれもふまえて教えながら広めていきたいですね。

(伊)こういった分野は実際に体験してみるのが一番分かりやすいと思うのですが、講座を開いて広めていく活動などは考えていますか。

(三)はい。既にカナダ人向けには施術室や道場で何度も講座を開催していますが、日本人コミュニティーの中でセミナーはまだ経験したことはありません。短時間でできるリラックス法や脳をリフレッシュするテクニックの講座を、機会があったらぜひ開催したいと思っています。

(伊)クリニックの情報や口コミがないとなかなか足を運びにくい部分もありますよね。商工会で協力できる事があれば是非おっしゃってください。

(三) ありがとうございます。是非お願いします。もう一つやりたい事としては、今まで私がカナダで書き留めた色々な民族の補完医療や民間療法の話、世界の おばあちゃんの知恵などをまとめた本をいずれ日本語で出したいと思っています。記事はブログにも掲載していますのでそれをもとにアップデートしてまとめよ うと考えています。

(伊)まずは日本語での出版をとのことですが、英語での出版も出来たら面白いですね。次のステップとして楽しみにしています。以上でインタビューを終わります。本日はありがとうございました。