「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第204回>

Miura Canada Co., Ltd.

三浦カナダ株式会社

Director, CEO, President 公文

「ミウラのボイラ」でお馴染みの三浦工業のカナダ子会社である三浦カナダの公文社長にお話を伺いました。オフィスはミシサガに所在、ブラントフォードに工場を持っていらっしゃいます。インタビューをさせて頂いた会議室には、創業者、三浦保氏の格言が壁に飾られており、その前で写真撮影をさせて頂きました。

「環境」というキーワードが随所に聞かれましたが、その技術力と共に日本のみならず世界の省エネ、省資源、環境負荷低減に取り組まれているとのことです。現在、カナダとメキシコの社長職を兼任されており、月の半分はメキシコにいらっしゃるという公文社長より、カナダの今後の展望やメキシコでのお話、そしてお薦めの土鍋ご飯についても、大変気さくにお話いただきました。 

(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(公文氏)三浦カナダの母体である三浦工業株式会社は、工場でお使いいただくユーティリティー機器、蒸気ボイラの製造、販売、メンテナンスの事業を主軸とし、更にそこから発展した“熱”に関わる事業、また、熱を運ぶ媒体である“水”に関する事業、そして、燃料を燃焼させるボイラが環境に与える影響を考えた“環境”に関する事業の3つのテーマを元に事業を展開しています。

ボイラは燃料を燃焼させていますのでどうしても環境に影響を与えますが、当社では環境負荷を極力小さくできるよう、世界の中でもトップ水準の環境に優しいクリーンな排出ガスとする事と、ボイラ単体のみならず設備全体のシステム効率において高効率化を追求する事で排ガス量を削減できる蒸気ボイラを製造・販売しています。

三浦工業が環境分野で注力している事業のひとつに、バラスト水処理装置があります。船舶やタンカーが世界中の海を航海していますが、これらは常に貨物を満載するわけではなく、積載量の半分あるいは空の状態で運行することもあります。船体のバランスが取れていないと安全に就航できないため、バランスを取るための水(バラスト水)を満たす部屋が船内に設けてあります。

しかし、出航地の海水を就航地で排水すると海洋汚染や生態系への影響が懸念されることから、20179月に国際海事機構(IMO)によりバラスト水管理条約が採択され新造船への搭載が義務化されるなど規制強化がスタートしています。

当社では、その船内に搭載するための水処理装置を生産し海洋環境の保全に役立てていただいています。当社の本社は瀬戸内海に面した愛媛県松山市にあり、古くから造船業が盛んな今治地域で建造される船に、弊社のバラスト水処理装置を搭載して頂いています。

(松田)環境事業というのは奥深いですね。カナダでは、どのような事業を行われていますか。

(公文氏)三浦カナダでは、三浦工業の「熱、水、環境」事業の中の“熱”の事業に取り組んでいます。

モノ作りを行っている工場では、ほぼ全ての工場で熱や蒸気が必要です。蒸気ボイラは、電気や水と同様、工場のユーティリティーとして使っていただく装置です。そのため、食品、飲料、自動車車、家電品、半導体、衣料、家具などあらゆる分野の生産工場の8割から9割がお客様になり得ます。

例えば皆様が今着用されている衣服ですが、糸を作る撚糸の段階、糸を染める染工段階、糸を編んで布を織る素材作り段階、裁断・縫製後に形を整える段階、と最低でも4回蒸気ボイラの出番があります。衣料のみならず、多くの工場の様々な工程で蒸気が必要となるということです。

生産工場以外ですと、病院設備、ホテルなどの箱物設備でも、冷暖房などの熱源、加湿、給湯、お風呂、殺菌などでも蒸気が使われます。

(松田)カナダの設立と社員数について教えてください。

(公文氏)創立は1987年。セールスやメンテナンスの拠点としてミシサガをメインとしてケベックとBC、そしてブラントフォードに工場があります。

社員数は現在約75名です。会社としてビジネスモデルを再点検し、再構築するため、今年の1月から駐在員を2名増員し、現在私を含め3名の駐在員がおります。

(松田)御社の強みはどちらにあるとお考えでしょうか。

(公文氏)これは三浦グループ全体ですが、メンテナンス業務を一つの事業として取り組んでいることが、我々の経営基盤としての強みですし、お客様にとってのメリットであると考えています。特に北米圏では、製品の製造、販売、そしてメンテナンスを異なる会社が分業する形態が一般的ですが、当社では全て一貫、ワンストップモデルの事業を展開しています。

最近は「モノからコトへ」と消費志向が移行していますよね。三浦工業では、ボイラという“モノ”を作って売るだけではなく、“コト”つまり、蒸気を利用するための熱源やメンテナンスを含めたフルパッケージの事業、最近の表現としてはサブスクリプションモデル展開を1972年から行っています。

このワンストップモデルですが、実際に製品を使用されているお客様は肌感覚で製品の特性を理解されているため、現場の生きた意見としてフィードバックを得ることが出来る、そしてそれを製品設計や改善に反映でき、頂いた利益を製品や新しいサービスとして還元させる、この様なサイクルが生まれるビジネスモデルと考えています。

また、製品設計時のコンセプトや経緯などを理解している社員がお客様のメンテナンスや遠隔サポートを行うことで、迅速かつ的確に修理や点検といった対応が出来る、ということもメリットです。日本では、蒸気にまつわること、工場内の蒸気ボイラのある部屋は全て三浦にお任せ、というお客様が非常に多く、ご愛顧を頂いております。

(松田)今後はどのような事業に注力されるご予定ですか。

(公文氏)ボイラをご存知の方は、大型で少し危険な装置というイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、当社のボイラは、小型の貫流ボイラを複数台並べた多缶設置システムという設備(Multiple Installation)を特徴としていますので、スマートで安全性も優れています。

工場における熱の使用量は時間帯によって変動があります。大きなボイラが1台の場合は、使用量が少ない時間帯も出力を押さえながら大型ボイラを常に動かさなければなりませんが、多缶設置システムの場合は必要蒸気量によって燃焼量の調整だけではなく、運転するボイラの台数を自動で増減することができます。この様にボイラ設備をシステムとして自動制御することにより、エネルギー消費を1020%抑えることが可能となります。

日本でも以前は旧態イメージの大型ボイラのみでしたが、当社がこの多缶設置システム・自動台数制御技術を生み出した40年程前、丁度その頃日本はオイルショックが起きたため省エネ性を求められており、当社の貫流ボイラ・多缶設置システムが受け入れられました。現在日本で新設や更新、あるいは増設されるボイラ設備は、他のボイラメーカーも含め貫流ボイラ・多缶設置システムのボイラ設備が9095%を占めています。

しかしながら、原油始め資源が潤沢なカナダやアメリカ始め世界各国では現在も大型のボイラが90%以上を占めています。これまでカナダでは小規模ボイラを必要とするお客様を中心に営業活動を行っていましたが、今後は大型ボイラを使用する事業所をターゲットに事業展開に注力したいと思っています。

我々の貫流ボイラ・多缶設置システムを採用いただくことで、省エネ、低公害を可能にすることのみならず、貫流ボイラのコンセプトにより安全性も向上し、リスク管理の観点からも、当社のボイラをお客様に提案していきたいと思っています。

(松田)カナダは環境先進国でもありますし、今後風向きが変わることが期待できそうですね。公文社長のご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(公文氏)出身は四国の高知県です。当時の高知はソフトボール大国とも言われ数々のナショナルプレーヤーを輩出する時代でしたので、幼いころからソフトボールに熱中し、将来はソフトボールで身を立てたいと思いつつ社会人チームに所属していました。現役を引退してから三浦工業に就職しました。

入社後は、営業職として、大阪、北海道、東京、静岡、再び大阪、東京と転勤を繰り返しました。当社の営業はエンジニアリングを行いますので、日本各地のお客様に対してコンサルタント営業活動をしていく技術営業を行っていました。

そして8年前にロスアンゼルスに赴任しました。VPとして、LA地域で営業とメンテナンス事業の仕組みを作り伸ばす、という役割でした。3年間在籍し、アトランタのUS本社に2年所属しました。

アトランタには工場がありますので、フィールドのお客様の感覚を工場の生産部隊に繋げ、製品の品質向上や短納期化を実現させるために生産部門を改革していく仕事に従事しました。私は生産部門の経験はありませんが、顧客視線での生産システムの運用や品質、更に納期対応から輸送品質などの改善を担当した2年間で、私自身にとっても大変勉強になりました。

 その後、メキシコ社の社長として赴任し20184月よりカナダ社の社長職も兼任する事になりました。

 (松田)渡米後、特に印象に残っているお仕事についてお話し頂けますでしょうか。

 (公文氏)アメリカで、日本の食品メーカー様より、新工場を日本並みの省エネ工場にしたい、その熱源の設備を三浦にお任せしたいとのご要望がありました。他にスタッフがいなかったこともあり、原設計のシステム設計からスタート、納品までほぼ1人で行いました。

 スタートから約1年がかりでしたが、大変ハードな仕事だったため印象に残っています。ボイラ設備の設計は弊社が行いましたが、実施行はゼネコンですので私はオーナーの分身のように現場に入るなど、ゼネコンさんからはやや嫌がられる立場でした(笑)。

 私が東京と大阪にいた時の部隊は、テリトリーが日本国内全域で、全国様々な工場の立ち上げやボイラ設備のリニューアルに関りました。アメリカで経験させていただいた工場の立ち上げも同様のプロジェクトではありますが、言葉や習慣など様々な違いがあり、またアメリカの中でも巨大な工場でしたので、その立ち上げに関わったことは、自分自身の勉強にもなりましたし良い経験をさせて頂きました。

(松田)現在はメキシコの社長職と兼任されているとのことですが、メキシコではどのような取り組みをされていますか。

(公文氏)カナダとメキシコは、片や先進国、片や新興国ですから全く環境は違います。メキシコの事務所はメキシコシティにありますが、標高は2200メートル、沸点は93℃、酸素密度も77%程なので、メキシコに行くと息苦しく感じます。それと同時にメキシコシティはクレーターの中にあり、周囲が山に囲まれた盆地で、空気が滞留するために大気環境も良くありません。

三浦工業の創業者・三浦保氏が、設立から10年弱の1968年に「世界一安くて世界一良いボイラを作ろう」という当時としては夢のような大目標を掲げました。そしてその後に掲げたスローガンが、「東京の空を青くしよう」でした。

 当時は日本の高度成長期で、スモッグ警報などが良く出ていましたが、今はスモッグ警報など聞きせんよね。40年程前にこのスローガンを掲げ、環境負荷の少ないボイラの開発に努め、多くの工場で当社のボイラを採用頂いたことで、我々は少なからず日本の大気環境改善に貢献できたと思っています。

 その次の時代のスローガンとして「中国の空を青くしよう」を掲げて中国にも本格的に進出しました。もちろん我々の力だけではありませんが、北京では徐々に大気汚染が緩和され、最近は太陽が見え始めた(笑)そうです。今後も、創業者の想いを受け継ぎ、「世界の空を青くする」という事が我々社員の夢でもあります。

 私自身も、「メキシコの空を青くする」というスローガンを掲げています。メキシコは新興国で、様々な部分でまだ整備が充分ではなく、環境に対する配慮もこれからです。メキシコに行くと、目や鼻がかゆい、など身体の反応も見られます。この様な環境を少しでも変え、地球とそこで暮らす人々の健康と未来をより良いものにできるようにと、メキシコでは注力しています。

 (松田)公文社長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

 (公文氏)会社を経営する、仕事をする上では、「お互いのバトンタッチポイントを明確にすること」が大変大事だと思っています。

 当社はお客様に合わせてカスタマイズしたボイラシステムを提供していますが、行き違いが生じると、生産設備や二次側の装置が上手く動かない、あるいはお客様や弊社でも追加費用が発生する、といったトラブルが起こってしまいます。そういったトラブルを避けるために、お客様とは勿論ですが、社内の業務においても、業務のバトンタッチポイントを明確にする事で役割分担の明確化も進み、業務効率や精度も上がるため、先ずは社内での習慣化を心掛けています。

 バトンタッチポイントが明確になれば、習慣や言語を超えて摩擦が少なくなり、またそのポイントで渡すべき内容も明確になります。それにより、お互いの思い違いを無くし、事業活動をしていく上で正確な業務の遂行に繋がる、と考えています。

 (松田)プライベートも少しお伺いしたいのですが、好きなスポーツやご趣味はありますか。

 (公文氏)先ほど申し上げたように、ソフトボールをずっと続けていましたが、男子のソフトボールはテレビで観戦する機会はほぼありませんので、野球を観戦するのが好きです。ただ最近女子のソフトボールはオリンピックでの活躍もあり、テレビで観戦できるときは観ますね。

 アトランタにいる時は、商工会のソフトボール大会があり年に1回参加していましたし、草ソフトボールチームなどもあり時々プレイしていました。只、もう体が若い時の様に動かない事もあり最近はプレイしていないですね(笑)。


(メキシコのお酒「テキーラ」の原料であるアガベ竜舌蘭の葉先を取り除いた茎の部分)

 (松田)カナダとメキシコを兼任されお忙しいことと思いますが、休日はどのように過ごされていますか。

(公文氏)土日をカナダとメキシコ間の移動に当ててしまうので、あまり落ち着かないですね。ゴルフの回数もめっきり減りました。家にいる時は、お弁当のおかずを作っています。北米で外食すると量が多いですし、肉料理が一般的ですよね。

 私は日本にいる時含め17年ほど単身赴任をしているのですが、アメリカに来て食生活があまりにも違うために、自身の体調管理のためにお弁当作りを始めました。土日におかずを作り、パックに詰めて冷凍して、月曜から金曜に持っていきます。あとは買い出しや掃除洗濯などの家事中心に週末を過ごし、この年になって家事の大変さを体験しています。(笑)

 メキシコには日本製の炊飯器がありますが、カナダに赴任してJ-Townで炊飯器を探したら、800カナダドル程するので迷っていると、その隣りに35ドル程で土鍋を見つけ、これならご飯も炊けるし鍋もできると購入しました。土鍋でご飯を炊くと、めちゃくちゃ美味しいです。それから1年以上経ちますが、ご飯はずっと土鍋で炊いています。


こちらで普通に売っている日本米と同じものを、メキシコでも購入し炊飯器で炊いていますが、土鍋で炊いたご飯は、見た目の艶から違うなど、本当に美味しいです。日本でブームになっている美味しくご飯が炊けると評判の、炊飯器を自慢している家内も、先日の来加時に土鍋ご飯の美味しさを渋々ですが認めてくれました(笑)、是非皆さんにも試して頂きたいです。

 (松田)土鍋ご飯、試してみたくなりますね。私ちょうど炊飯器を大きいサイズに買い替えようかと思っていたので、土鍋を検討してみたいと思います。では最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(公文氏)ミウラカナダとして、これまで商工会のセミナーやイベントに参加する機会があまりなかったのですが、駐在員が3名おりますので、今後様々なイベントに参加し、皆様とお付き合いさせて頂ければと思っております。お会いした際にはどうぞよろしくお願いいたします。

 (松田)インタビューは以上となります。本日はお時間を頂き誠に有難うございました。


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