あの人は今・・・ トロントOB便り

すばらしい国、日本!
江川 泰三郎


トロント商工会会員、理事、そしてこれをお読みくださっている皆様におかれましてはお元気でいらっしゃいますでしょうか。私事、この春にカナダから帰国した折にはきちんとご挨拶ができないままお別れした方が大勢いらっしゃいました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。

この平成最後の年に帰国命令が出たのも、定年を迎えたのも、何らかの偶然ではないような気も致しまして、これをひとつの人生の節目とし、所属していた会社から退職することといたしました。とはいえ弱冠60歳ということもあり、ただいま第二の人生の設計中でございます。のんびり時間をかけて今からやりたいこと、やれる仕事を模索しております。

私の35年間のサラリーマン人生は会社を中心に回っていたので、個人を中心に考えるということを少なからず忘れていました。そして約22年間の北米駐在を終えての帰国でしたので、日本のカルチャーショックたるやそれ相応のものがあります。

帰国後半年がたちましたが、まだ物珍しさであふれています。「あの人は今」的には今何をしているかということがテーマなのでしょうが、今は仕事から離れておりますので、日本で感じたことを記述してみます。


<変化し続ける町、東京>
豊洲市場、渋谷駅、高輪ゲートウェイ、などは私の記憶の片鱗にないほど変貌を遂げています。もう地下鉄路線図を見るだけで感動なのですが、一方で昔ながらの日本の慣習も大事にしているのでほっとします!

もう一つ驚いたのは、今や転職ブーム。景気が極端には悪くないことが追い風にはなっていますが、どこもかしこも転職サイトの広告ばかり。きちんと実績を上げていれば社外でも認められるチャンスは昔とは比べ物にならないほど多いと思います。起業を含め、個人を中心に人生設計できる体制が少しずつ整ってきたように思います。




<日本に詳しい外国人>
トロントに住んでいると全く普通のことなのですが、ここ日本でも私の住んでいる周辺ではいまや、外出すると外国語を耳にしない日はないといっても過言ではないくらい頻繁に耳にします。

さすが観光立地を目指す日本、有名どころには外国人がうようよ。自分も日本語のわかっていない観光客の一人なのですが、ばかにすることなかれ、日本人よりも外国人観光客のほうが見どころや背景を良く知っています。ソシアル・メディア様様なのですね。

東京から電車で一時間半、さらにバスで30分以上離れた郊外(田舎)に家を購入したのですが、気が付けばお隣さんも外人さん。いま引越し先で一番の仲良しでいろんな日本のことを教えてもらっています。


<オリンピックを控え日本は国際標準?>
私はずいぶん前に煙草をやめてから今は煙が苦手です。迂闊っと知らないレストランに入ると鼻っ先にぷ~んと匂ってくることがいまだにしばしば。外国からの訪問客はショックでしょうね。

道路で運転していると4 way crossingに慣れてしまった私は、向かってくる対向車と何度か正面衝突しそうになり、相手のドライバーは不服そうな顔をみせます。日本は直進車優先でしたね。ごめんなさい!

日本で素晴らしいのが渋滞の最後尾でのフラッシング。これは良いですね。街中では特攻隊のように一時停止せず猛スピードで十字路を横断する自転車を数多く見かけ、肝が冷えます。自転車に轢かれる人も多く、いまや自転車保険が必須です。

東京のエスカレータは左側に整列し右側が追い越しでしたが、事故が多いとのことで歩行を禁止するところが多くなってきています。駅ではエスカレーターしかないところも数多く、降車後かなりの間ホームから人があふれ次の電車が入ってくるのを見ると、私は追い越すほうが安全なような気がします。

日本は安全といわれますが、最近では小さな子供が他人だけでなく親によって被害にあい命を落とす事件が連日報道されております。地域の警察や学校、役所に事件の兆しが報告されていても、それに何ら有効な手が打てていないというのがとても悲しいです。

スクールバス送迎が当たり前の北米では自宅のフロントヤードで子供たちだけで遊んでいるとAbuseされているとして親が監視下に置かれます。それが良いかどうかはありますが、塾に行くのが当たり前の日本では深夜に子供が街中を独り歩きしているのを見るとどうしても疑問がわいてきます。

北米では訴訟が多い一方で、結局自分の命を守るのは自分の責任という考え方があります。だからアメリカの銃文化が根絶できないわけですが、かたや日本では小さいころから「そんなことをすると人に迷惑がかかる」と他人のことを気遣うことを教えられます。「おもてなし」といわれるように、他人を思いやる文化が日本の素晴らしさとして評価されていると思っています。

何でもかんでもルールを作るのではなく、先進国の代表として自国内だけでなく、世界のどこにいても人を思いやれるマナーを身に着け、小さなことからリーダーシップを発揮していけたら理想的ですね。



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