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第63回 トロントからの日本語サポートサービスの提供

セールスフォース・ドットコム
出口 勝幸



私は米国のソフトウェア企業のトロント支社にて、日本にいらっしゃるお客様向けの日本語サポートサービスを提供しています。今回は、「私の所属しているグループでは」という限定ではありますが、トロントでの活動に至った経緯や内容に関して説明していきたいと思います。

弊社では自社の製品やサービスに対して24時間の技術サポート(一部オンコール)を提供しています。以前は日本の居住者だけで24時間のサポートに対応してきたのですが、クリティカルなビジネスでのご利用が増加しているため、さらなるサポートの品質向上を目指してカナダのトロントにて日本の夜間業務を引き継ぐことになりました。

アメリカではなくカナダのトロントとなった理由は、トロントにすでにグローバルのサポートチームがあり、日本との時差も日本の夜間業務を実施するにあたり十分であったためです。

ここに至るまでには、以下のような対応を実施しておりました。
- 日本で完全オンコールサポート(夜間は就寝し、電話が鳴ると対応を開始)
- 日本で夜間オンラインサポート(昼間と同様に常時夜間オンラインで待機)
- 日本からトロントへエンジニアを半年ごとの交代で派遣

完全オンコールは、システムの常時モニタリングができず緊急事態への初動が遅れることもあり、体制が整うまでの一時的な繋ぎの措置でした。日本での夜間オンラインサポートは、健康面とモチベーション維持に難があったため、上記と同様に一時的措置。

また、日本の担当者をトロントに送って約6か月ごとに交代させるという施策については、労働許可証の手続きの煩雑さを回避し経費を効率的に利用するために、定期交代制の継続は見送られました。

その後は、出張としてではなく、交代制で発生したような費用が掛からない日本からの転籍及び現地採用を実施することになりました。なお、現在は転籍は中断され現地採用のみとなっております。

さて、ここで実際の業務がどのように行われているかをもう少し詳しくご説明します。トロントだけで日本の夜間業務を引き継いでいるわけではなく、北米の東海岸と西海岸に分かれてエンジニアを配置し、東と西で夜間を2シフト勤務体制に分けて対応しています。そのため、トロントは日本の夜間業務の前半の業務担当エリアになっています。

それぞれのエンジニアは、同じ都市に住んでいるわけではなく、カナダやアメリカの様々な都市に分散して居住しているため、全員が実際に顔を合わせることはありません。遠隔での連携業務ということになりますので、ウェブ会議や社内チャットツールを利用して会議やコミュニケーションを行っています。

このような分散居住状態になっているのは意図的ではなく、現地採用の際に日本語の会話能力を保持しITスキルのある人材という要件がある中で、居住地域を限定して条件に見合うメンバーを集めることができなかったということがその理由です。同じ理由で、日本人だけには限定せず、要件に合う人材であれば日本人以外の人材も獲得しています。

現状、試行錯誤を繰り返しながら日々の業務をこなしておりますが、実際の業務以外でも国や州ごとに異なる公休でシフト調整が複雑になったり、日本の夜間時間帯での新人の教育方法を手探りで実施してみたりと、様々な問題に対応しています。

また、国や州で福利厚生、社会保険、人事制度が異なるため、お互いに情報を共有しつつ各自で自分が利用できるサービスかどうかや自分の居住地での相違点がないか等を確認するようにしています。



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