専務理事のばたばた日記 

第150

商工会事務局 伊東 義員




9月 生活情報日 日本人若者向け生活情報セッション
知人の紹介ということで、ワーキングホリデーの若者から商工会に連絡が入った。最初は、仕事を見つけたいので相談に乗ってほしいとのこと。経歴を聞き、その経歴が活かせそうなこころあたりがあったので、履歴書を送って、と話した。

そして最後に聞いたのが住むところの話。ワーキングホリデーの若者がよく利用しているらしいあるインターネットサイトで住むところを見つけ契約しデポジットを払ったが、渡された契約書をよく読むと不安になる事項が多いとのこと。

具体的な点を聞くと、本来は家主の責任であることまで借主の責務としたり、生活に不自由なルールを押し付け、それに違反した場合には毎回ペナルティーを請求するというもの。住宅賃貸については素人である自分から見ても、それはひどいと思える内容。

早々、不動産の専門家に連絡を取り、相談に乗ってあげてほしいとお願いした。ありがたいことに、親身になって相談を受けてくださり、解決(解約)に向けて進展があったようだ。

さらに後日、その若者の紹介という別のワーキングホリデーの若者から商工会事務所にメールが入り、今度は仕事についての相談を受けた。シェアハウスの管理人として、住み込みで働くという契約で、部屋代無料、新規顧客収入からのコミッションという条件。締結後、始めて数日後に、雇用主から口頭で、コミッションを変更し、時給3時間分でいいかとの打診。本人はよくわからないまま、了承した様子。

しかし、仕事の内容がとても多く、続けられないと考え「1か月で辞めたい、ついては働いた時給分の支払いをしてほしい」と要求したところ、「時給分は家賃だ」と拒否されたとのこと。本人はコミッションが時給になったものと理解したが、相手は、部屋代無料を取り消し、コミッションを時給3時間分に変更、時給分を部屋代に充当するという悪意だった模様。

契約数日後に口頭で説明するというのは、最初から悪意でだますことが明白。ただ、最初の契約書にはいつでも契約内容を変更できるとあり、「文書で」とは書かれていない。口頭でも契約は成り立つため、あとは言った、言わない、の交渉となってしまう。金額もそれほど大きくなく、訴訟にするほどではないので、1か月家賃なしで住めたとして、時給分はあきらめるしかないかと思う。

こうした事例のように、社会経験や知識が十分でない日本人の若者を狙って、詐欺まがいのようなことが多くなっているように感じる。留学エージェントを利用して来ている若者は、そこからある程度の安全情報は得ていると思うが、最近は情報をインターネットから入手し、手続きも自分で行い、そのまま当地に来る若者も多いようだ。

インターネットの情報は、すべてが正確で正しいものは限らず、あえて厳しい言い方をすれば、ほとんどが間違いもしくは悪意があるといってもいいくらい信用できないもの。そこで、商工会で、日本からきたばかりを対象にした生活安全情報セッションを始めてみた。

いろいろなルートで協力を得て広報したが、やはりなかなかそうした若者に情報が届かない。初回は2名の参加。以後、毎月2回開催する予定にしているが、まるで参加申し込みがない。ワーキングホリデーに情報を届けるのに、何かいい方法があれば教えていただきたい。

商工会としては、そこまで面倒を見てあげる必要もないとも思うが、やはり日本の将来を担う意欲ある若者には、トロントでよい経験をして欲しいと願っており、上記のようなことにならないよう情報を伝えてあげたいと思っている。


9月 査証監査日 四人に一人にあたってしまった
補習校には、日本より派遣教員として2名の先生に来ていただいている。そのためには、カナダの就労査証(ビサ)を取得する必要がある。今年の春、教頭先生の交代があり、新規の査証取得申請を行った。

近年、カナダの就労査証取得が厳しくなっている。一方で、日本企業では、駐在員の若年化がみられ、職務経験が十分でない若者が派遣されるケースが増えている。日本企業にとっては、人事ローテーション、人材育成の一環として非常に有意義な制度だと思うが、それを受け入れるカナダでは、カナダ人雇用が優先され、経験職歴のない日本人がなぜカナダに必要なのかを問われることが増えているようだ。

形式上、補習校が雇用することになる派遣教員は、文部科学省がその規則にそって経験職歴を含めた厳しい候補者選考をし、校長、教頭という高度なポジションで採用するため同じような理由での問題はないが、別の問題が発生する。

派遣教員の給与等は文部科学省が責任を持っており、日本の公務員俸給制度に準じて支給されることになっている。よって、査証申請もその金額に沿って雇用条件を記載する。査証申請にあたり、職種・役位に応じたカナダでの最低給与レベルが設定されている。

当地で校長、教頭という職種・役位はかなり高額な所得レベルとされており、日本の公務員俸給制度に沿った給与金額ではそれに満たない。そこで、日本円の為替換算やその他の手当てなども含めて申請し、なんとか査証取得することができた。

その教頭先生の査証について、カナダ政府サービスカナダからインスペクションを受けることになった。4人に1人の割合でランダムにインスペクションを実施しているとは聞いていたが、まさか対象者が2名しかいない補習校が当たるとは思っていなかった。夏休み明けに電話での一報が入り、その翌日、書類が届いた。

1か月の期限をもって、必要な書類や説明資料をすべて英語で提出せよとの指示。その後、担当インスペクターがトロントに実地検分に来ることになり、直接会って対応もした。補習校の特性、契約形態の特殊性などを説明し、どのような書類を提出すればよいかを聞いた。

さらに、慎重を期して、査証手続きをお願いした移民弁護士にも検証を依頼し、日本の政府文書などの正式翻訳なども手配してもらった。翻訳の時間が必要との理由で提出期限延長を要請し、無事その延長期限までに書類一式を提出。

ただし、提出できなかった書類が一つ。それは、文部科学省が給与責任を持つことを確認する書面。トロント総領事館を通じて、文部科学省に直接お願いしていたが、延長期限までに入手できなかった。延長期限の翌週に、サービスカナダからのフォローアップの電話があり、文部科学省からのレターがないとの指摘を受け、交渉の末1週間の猶予をもらった。

トロント総領事館に再度お願いし、文部科学省からのレターが入手できない場合、総領事に一筆いただけないかとお願いしていたところ、文部科学省の動きがあり、なんとかレターを発行いただけることが判明。PDFで送ってもらったレターを猶予期限前に提出することができた。その後、連絡が入っていないのでインスペクションについては無事終了したと願っている。

この査証インスペクションで申請と実体が異なり、そこに悪意や故意があると、ペナルティーを受ける可能性があり、最悪査証申請が数年間できなくなることもありうる。補習校は派遣教員の校長先生、教頭先生がいるおかげで日本の教育レベルを維持できているといっても過言ではない。今後も派遣教員の査証申請は慎重に対応していく。



(上記記述は、筆者の個人的意見、判断で書かれているもので、商工会の意見・意向を反映しているものではありません。また、個別内容について、誤解、理解不足等があるかもしれませんが、それらは全て筆者の責任によるものです。)



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