「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー



<第199回>
Toyota Credit Canada Inc.
トヨタクレジットカナダ(株)
Executive Vice President 平山 偉之

マーカム市に所在する、トヨタクレジットカナダの平山EVPにお話を伺って参りました。平山EVPには、今年度補習校運営委員を務めて頂いております。

金融商品を扱うお仕事ということで、私にも分かり易いように言葉を選びながらお話し下さいました。お客様のための改革だけでなく、未来を見据えた社内の改革など現状に甘んじず常に最良を目指し追及される姿勢には感嘆しました。ご経歴やプライベートのお話では、いくつかトリビアが出てきたりと話題を広げて下さり、大変気さくにお話し頂きました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願い致します。

(平山氏)トヨタクレジットカナダ(TCCI)は、トヨタ自動車の金融サービス部門であるトヨタファイナンシャルサービスグループ(TFSグループ)の一社です。

TFSグループ全体では現在37カ国・地域に拠点がありますが、トヨタ車、レクサス車などのご購入資金や、保険、クレジットカードなど様々な金融商品・サービスをご提供し、世界で2700万人を超えるお客様にご愛顧いただいております。

日本では、現金で車を購入されるお客様が多くまたディーラーさんが金融サービスの窓口となるので、我々の事業は理解しづらいかもしれません。しかしカナダやアメリカでは8割以上の方がローンやリースを利用されるので、厳しい目を持った現地のお客様に対して良質な金融サービスをご提供することが、車をご購入いただく上で大きな要因となります。

トヨタクレジットカナダは、1990年2月に設立され来年で30周年を迎えます。当地では個人のお客様向けの自動車ローン、リース、保険などに加え、販売店(ディーラー)さん向けに車の仕入れや設備投資などに必要な資金を融資しております。

このマーカムオフィスを本社とし、バンクーバー、カルガリー、モントリオール、ハリファクスに支店があり、全ブランド合わせると約380のディーラーさんをカバーしております。従業員数は約130名ですが、スタッフはそれぞれの持ち場で効率よく業務を回しかなりの業務量をこなしてくれています。中でも全体の7割を占める女性の活躍には目を見張るものがあります。

(松田)現在御社が注力されていらっしゃるのはどのような点でしょうか。

(平山氏)現在は、サービスの利便性を高めることに注力しています。具体的には、手続きの簡素化、タッチポイントの充実を図ることです。

一般的に金融の申し込みの手続きというのは面倒だというイメージをお持ちの方が多いのではないかと思います。実際、当社でもご来店いただいたお客様に様々な書類の記入や提出書類をお願いし、承認まで何時間もお待ちいただくケースもありました。

これまでも、書類を改廃するといったような改善は行っておりましたが、抜本的な解決を図るために「ローン申込の電子化」と「承認の自動化」を導入しました。

お客様には、パスポートなどの証明書類の提出と電子サインを店頭でお願いするだけです。すぐにそれらはデータとしてシステム上にアップロードされ、一瞬で当社のシステムに届きオート承認が行われます。例外はありますが、この簡素化と自動化により、速ければ数秒というスピードでローンの承認が下りるようになりました。

また当社では、コールセンターとポータルサイトの2つのお客様サービス窓口がありますが、様々なニーズにタイムリーにお応えするために、ポータルサイトの機能の高度化を急いでいます。ローン申込みはオンラインでも可能ですし、登録情報の変更や更新も24時間可能ですので、利便性は格段に向上すると思います。

(松田)御社の強みはどちらにあるとお考えでしょうか。

(平山氏)お客様の目線に立った商品・サービスを先んじて追求し、開発していくという姿勢、トヨタのDNAを貫いている、ことと考えています。

但し、金融サービスはクルマと違って手触り感が無く、差別化は容易ではありません。だからこそトヨタカナダ等の販売代理店やディーラーさんと一緒になってお客様の要望を確認しながら、安心して使いやすい商品やサービスの開発、提供に日々努めています。

また、約40カ国に広がるグループのネットワークの活用も強みの一つと思います。日々兄弟会社のどこかで様々なアイデアが生まれ、実行されています。例えば、今日はアルゼンチンでWEBサイトをこういう風に改良した、来月よりアメリカでこのようなモビリティサービスを始める、などと言う情報がほぼ毎日共有されます。

その中で活用できることがあれば当社で積極的に取り入れています。こうした手法は元々トヨタの生産現場で行われ、ヨコテン(横展開)と呼んでいますが、グループ内の成功事例をどんどんとヨコテンしよう、という姿勢は金融の現場でも変わりありません。

(松田)今後はどのようなことに取り組まれる予定でしょうか。

(平山氏)新しいサービスの構築と、それを支える人材の育成、が2つの大きな柱です。現在自動車業界は、技術革新が生活様式の変化を後押しする形で100年に一度の大変革期を迎えています。「CASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)」という自動車の今後の動向を示すキーワードも生まれています。

例えば、日本ではトヨタファイナンシャルサービスが「KINTO」という愛車サブスクリプションサービスを始めました。KINTOの名前の由来は孫悟空が乗っている筋斗雲で、つまり必要な時にすぐに現れ自由に移動できる、そのように車を使って欲しい、という意味が込められています。

例えば、「KINTOセレクト」と言うサービス は、3年間一定額をお支払い頂くと、6ヵ月毎にLEXUSの6モデルの新車に乗り換えることができる、嬉しいサービスです。

これまで車は「所有するもの」という思いが強かったと思いますが、車は所有ではなく利・活用するもの、という考えの方が増えつつあります。ここカナダにおいて、新しいトレンドに対応し、変革に合わせて進んでいくため、当社及びグループがどういった移動(モビリティ)サービスをご提供できるのか、追及したいと考えています。

(松田)もう一つのポイントである人材育成についてもお話頂けますでしょうか。

(平山氏)先ほど、従業員130名のスリムな体制であるとお話しました。効率的な運営ができる、柔軟に動ける、という利点がある一方で、イノベーティブな発想が出てきにくいというリスクも共存していると感じておりました。
 
 “Innovation in Action”の修了証 

そこで、社内研修やトヨタグループの研修プログラムに加え、York大学のThe Schulich school of businessに、“Innovation in Action”と言う全従業員参加型の特別な研修プログラムをお願いし、今年の1月にスタートさせました。このプログラムでは3ヵ月間の講義・座学と並行して、社内15のチームがそれぞれの革新的アイデアに基づく仮想プロジェクトの検討を進めました。

例えば、「便利で新しいGTA内の近距離移動サービスの実現」、「お客様ロイヤリティを高める新プログラムの開発」といったプロジェクトです。プログラム修了時には、経営陣の前でテーマの検討結果の発表と共に、チーム内のメンバーのINNOVATION度をお互いに評価してもらいました。

採算が合わないプロジェクトも少なからずありましたが、正直、各チームの柔軟な視点と独創的なアイデアには驚きました。日常の仕事場とは別の空間で学び、違った角度から業界や会社のことを考える機会に臨み、従業員自身もモティベーション高く参加すると共に新しい気づきも色々とあったようです。今後も同様の活動を続けることにより、イノベーティブな風土、文化をさらに社内に醸成し、それらを業務に活かしていきたいと考えています。

(松田)全従業員を対象とされたのは口で仰るよりもご苦労があったと思いますが、社を上げて取り組まれている姿勢が素晴らしいです。平山EVPのご経歴についてお伺いしたいと思いますが、ご出身はどちらでしょうか。

(平山氏)出身は兵庫県の養父市です。以前テレビで観ましたが、ヤブ医者という言葉は「養父」が由来だそうです。江戸時代に、養父市出身の名医がおり大変な評判を呼んだために、他の医師も自分は養父から来たと嘘をつき始めるようになりました。その中に多くの腕の立たない医師がいたために、ヤブ医者は下手な医師、という現在の意味になったそうです。また、松坂牛や神戸牛などのブランド牛のルーツと言われる但馬牛の取引が行われる養父市場でも有名です。

大学は東京に行きまして、ワンダーフォーゲル部に所属し、部活を中心とした学生生活を送りました(笑)。金融業界に就職し15年程勤めた後にトヨタ自動車に転職しました。財務部に配属になり主に企画業務に携わりました。

2000年頃ですが、トヨタの金融事業を拡大するプロジェクトチームのメンバーとなり、会社立ち上げの現場に入ることになりました。私が担当したのは、トヨタファイナンシャルサービス(TFS)という金融統括会社を作り、その傘下のクレジットカードビジネス、および証券ビジネスを立ち上げることでした。

その後は、トヨタ車、レクサス販売をサポートする形でトヨタの金融ビジネスも拡大していきますが、私自身はTFSや子会社の現場で資金調達、リスク管理、商品開発などの業務を経験しました。

海外経験は、カナダトロントで5ヵ国目です。前職ではボストンに留学させてもらい、その後、香港とロンドンに駐在しました。トヨタ自動車に入社後は、2011年から在オランダ子会社のマネジメントを5年半担い、名古屋に戻った後、2019年1月よりトロント駐在となりました。

(松田)平山EVPがお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(平山氏)一言で言うと自分自身のローカル化を目指すこと、そのために今いる会社や一緒に働く社員を好きになること、です。

当社ではカナダ人に会社経営を任せていますし、当然ですがスタッフは私よりカナダのビジネスにはるかに詳しく優秀で、豊かな業務経験も持っています。日本人マネジメントの立場と言うのは微妙で、ローカルスタッフが「あいつは自分の会社のことを思って働いている!」と思ってくれなければ必要情報も入らないし業務も回りません。ましてや「日本では、本社では」なんて言い方をしていたら疎んじられます。

心がけているのは、全社員のファーストネームを必死に覚える、笑顔で挨拶を欠かさず、ローカルネタでスモールトークするなどです。あと、スタッフと共にディーラーやオークション等の現場にできるだけ足を運び、現地現物で業務を確認しまた当社への要望に直に耳を傾けるようにしています。

(松田)プライベートなこともお伺いしたいと思いますが、ご趣味はなんでしょうか。

 
 ゴルフ仲間と
(平山氏)先ほど大学時代にワンゲルに熱中していたとお話しましたが、こちらに来てからはゴルフが中心です(笑)。カナダでのゴルフは大変気持ちが良く楽しんでいます。

冬は、こちらに来てからスキー板を買って30年ぶりに滑りました。私の出身地は山に囲まれた田舎で、4歳の頃からスキーをしていました。また、初めてカーリングも経験しましたが、競技性もあり奥が深そうなスポーツなので、今年の冬はもっと集中してやってみたいと思っています。

(松田)ワンゲルと登山にはどのような違いがあるのですか。
 
2019年8月 久しぶりのボストンにて 

(平山氏)私の考えですが、登山はパーティのうちの誰か1人でも頂上に立つことが目的ですが、ワンゲルはパーティ全員が到達できないのならピークを諦めることと思います。ワンダーフォーゲルはドイツ語で「渡り鳥」を意味し、活動対象は山登りだけではなく、ハイキング、沢登り、サイクリング、スキーなど、多岐に渡ります。

ワンゲルは何でも良いんです。自然の中で仲間と協力しながら、生活したり語り合ったりして楽しむ、ということが目的だとすれば、いくつになっても楽しめるスポーツだと思いませんか。

カナダには選択肢が多くあるので、少しずつ行動範囲を広げて楽しみたいと思います。実は、昔のワンゲル仲間が我が家をベースキャンプにしてロッキーに行こうなどと冗談交じりに言っているので、できれば駐在中に実現させたいです。

(松田)ご友人がいらっしゃる前に、身体を慣らしておかないといけませんね。最後になりますが、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(平山氏)今年度トロント補習授業校の運営委員を務めさせて頂いておりますが、トロント補習校の先生方は愛情と情熱をもって児童生徒の育成にあたられております。いろんな制約がある中で、学力向上に留まらずヒトとしての成長を目指して様々な取り組みを実践されていると思います。通常の運営自体も滞りなく進められていると思いますので、深い関与は必要ないのかもしれませんが、微力ながら今後もアドバイスやサポートをさせて頂ければと思っております。

(松田)今後も、補習校へのご支援をどうぞ宜しくお願い致します。インタビューは以上となります。本日はお時間を頂き有難うございました。




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