専務理事のばたばた日記 

第148

商工会事務局 伊東 義員




7月~8月 出張日 2年毎の事務長会議出席、さらに…
補習校は、在外教育施設として認定されており、外務省からは資金支援、文部科学省からは派遣教員支援などを受けている。教材、指導などについては海外子女教育振興財団が窓口となっており、教科書、指導書、学校情報提供などを行っている。

この度、財団主催の事務長会議に出席した。2年毎に開催されるもので、今年で7回目の出席となる。世界中にある日本人学校、補習授業校の事務長が集まり、運営面での話題を中心に意見情報交換を行うもので、今回の参加は日本人学校23、補習授業校13、日本人学校・補習授業校統括3の計39校、40名。

会議構成は、前日のレセプションでの参加者紹介と連絡事項から始まり、2日間の会議予定は、全体会、学校種別規模別に分かれた分科会が5セッションと講話が3セッション。今回の講和では、「日本の教育の現状とこれからの在外教育施設について」「在外教育施設への外務省援助」「在外教育施設のさらなる発展に向けて」の3つのテーマでお話を伺った。

お話の中で、興味深かったのは、やはり海外にいる子女の変化と支援の在り方。2018年のデータによると、就学形態別海外子女数(小・中学生)+幼児(3~5歳)+高校生の総数は、13.7万人となっており、その内、現在支援の対象となる小・中学生は8.4万人。しかし、支援の対象となるには、在外教育施設である日本人学校か補習授業校に通う必要があり、実際に対象となっているのは4.1万人と約半数のみ。

いわゆるその他(日本人学校にも補習授業校にも通わない子女)は50.8%で過去最高の比率となっているのだそうだ。その多くは現地校、インターナショナルスクールに通っており、中にはまったく日本の教育から離れている子女もいるのかもしれない。この「その他」の子女数は、2000年から2.8倍に増えており、子女教育の海外志向が見られるが、一方で日本人学校への入学者が減少しており、数年前から補習授業校の生徒数を下回っている。

また、現在支援対象になっていない幼児(3~5歳)は、海外駐在員の若年化傾向を受け、増加傾向にあり4.5万人となっている。さらに乳児(0~2歳)の推定数(外務省発表、永住予定者含む)は2.7万人いるといわれており、就学前子女への支援も検討されるべき時期に来ているのかもしれない。

分科会では、前回よりも1セッション増え、5セッションとなり十分な意見交換ができた。分科会毎にテーマを分け、各校の取り組みや悩みなどを交換した。補習授業校は英語圏である北米が中心となっているが、今回は、シンガポール、上海、メルボルン、ダービーの各校も参加し、国毎の違いを再認識した。

特に、米国内の補習校での安全対策の徹底、上海での教員採用の工夫、シンガポールや英国の学校規制などは、非常に参考になった。しかし、補習授業校の運営全体でみると、各校悩むところは同じで、児童生徒数の変動、現地採用教員の確保と給与、資金確保と授業料等、施設確保、安全対策といったところ。

各校の事情や状況を知ることで参考になることが多い。また、今回改めて、トロント補習授業校の特色を認識することもできた。改善すべきところや検討していくことへの気づきが多く、非常に有益な事務長会議であった。

今回の出張で折よく日程が続いていたので、「バイリンガル・マルチリンガル子供ネット研究会」にも参加してきた。国際基督教大学で開催された研究会で参加者の多くは教員や研究者の方。主なテーマは、日本で急増している外国人子女への日本語教育や、読み書き能力の判定アセスメントとその支援のあり方など。

プレゼンやパネルディスカッションに加え、ポスター発表もあり、中にカナダの継承日本語教育を取り上げたものがあった。多文化児童・生徒が増えている日本の継承語教育に参考になる取り組みがカナダにあるようだ。

中で興味深かったのが、「母子健康手帳プロジェクト構想」。日本特有の制度「母子健康手帳」には、妊娠、出生、成長が記録されているが、その中に、言語の発達記録も加えるというもの。正式に「母子健康手帳」に織り込むとなると法改正などが必要だそうだが、今後、バイリンガル・マルチリンガルの子供を育てようという方向性には合致するものではないだろうか。

さらに、文部科学省が主催する「トビタテ!グローバル教師フォーラム」にも出席した。目的は、「派遣教師の経験を国内の学校のグローバル化に活用するには!」というもので、派遣教員経験者の取り組み紹介や、それを受け入れる学校や自治体への期待や課題などのディスカッションが行われた。

参加者には、派遣教員を目指す若い教員も多く見られ、期待したいところだが、日本人学校の生徒数減少、補習授業校への派遣はシニア派遣に限定、となっている現状では、若い教員に経験させる機会が少なくなっているのではないだろうか。グローバル教師を増やしたいという政策意図と、現状が合致していないような気がする。

今回の出張は、従来の事務長会議だけでなく多方面からの教育の話題を勉強する機会となりとても有益であった。こうした情報をトロント補習授業校の運営に活かすとともに、トロント地区の継承語学校や日系コミュニティーに還元していきたいと思う。



(上記記述は、筆者の個人的意見、判断で書かれているもので、商工会の意見・意向を反映しているものではありません。また、個別内容について、誤解、理解不足等があるかもしれませんが、それらは全て筆者の責任によるものです。)



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